百鬼 数百万屋台舟の上に
卓上には大量の札束が積まれていた
やり取りが行われていたわけでもなく
賭博場と化していたわけでもない
右手には油
左手には火のついた蝋燭
何をするかは明白だろう
簡単
大きな火をつけたかった
騒音
懐かしい記憶
彼らは勇猛果敢に大地を
一歩一歩踏み締めて進んでいた
決して歴史には残らないであろうそれは
英雄譚とも呼べる
拙が二人を目の前にした時
そこまで色々と考える事はなかったが
今思えば
騒音
油で黒ずんだ札束に
ゆっくり
時間をかけて
火を垂らす
ただの道楽
ただの1日
拙にとっては
それくらいしか考えれなかった
きっと
きっと
小さな拍手のような音を目の前に
鰻屋にて笑う