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The End of the World 10/10
「……イツキは、どうやってここまで来たんですか?」
「……話すよ。全部話すから、聞いてくれ」
「もちろん。聞きたいです」
「そうだな───まず謝らなきゃなんだけど、実は俺、皆入樹は本名じゃないんだ」
「そうだったんですか」
「ああ。俺は───」
きっとこれから数多くの苦難が待ち受けている。
奥入瀬牧の過去は変わらない。そのうちのいくつかを取り戻せたからといって、万事解決めでたしめでたしとは収まらない。彼女の罪は贖われてはいない。いずれ裁かれ、相応しい罰を受けなければならない日はやってくる。
イツキの罪、新世界の破壊はこの世界で裁けるものではないが、手を染めた事実は彼の心に残り続ける。彼の罪悪感が、彼を許すまい。
けれどどれも、彼と彼女が在るからこその苦しみ。
耐えられるかどうかは分からない。それでも、耐えて生きていきたいと思える原動力は。
「牧。君のことが好きだ」
「私も───貴方を愛しています。イツキ」