大門く〜ん!?
こんにちは。
どこか暑くも寒くもないところはないですかね? 気温の乱高下で自律神経をやられて歩くこともできません。まあ、行くところも、歩くところもないのですがね。
さて本題です。もっか、長編小説恐怖症の続くわたしは、積ん読から、ある作者の本の塊を見て、「あちゃーっ」と思いました。
……あれは一二年前のことでしょうか? わたしのお付きの者で、副業に書店で働いている、正直あまり頭の回転が良くない輩がいました。そのものが、
「前の殿、お願いがございます。どうぞ、お助けください」
と頭を下げてきたのです。
「金以外のことなら聞くよ」
わたしが言いますと、
「こちらの本でございます」
と出してきたのが、大門剛明『テミスの求刑』でした。
「大門剛明? 知らないな。はしがきを見たけれど弁護士ものかあ。うーん、正直気が乗らないよ」
「そこをなんとか。わたくし、ひらがなもまともに書けないのです」
「じゃあ、書店になど勤められないだろう?」
「ところが、ウチの書店はバカ、心の病、融資先銀行の送り込んできた者しかいないのです」
「アドバイスするけど、潰れる前にそこは辞めて、退職金を貰いなさい。気分は乗らないが読んで、書評もどきを書いてあげましょう」
「ありがとうございます」
お付きの者は帰って行きました。
さて、本当に気は乗りませんが、「仕事きっちり!」なわたしはページを紐解きました。
「うん、うーん、うん! 誰か大門剛明の文庫を全部買ってきてください」
『テミスの求刑』は抜群に面白かったのです。そのため、書評に力が入り過ぎ、とんでもない名文を書いてしまったため、お付きの者は会社から月一で書評を頼まれたり、出版社から新刊の推薦文を頼まれたそうです。当然、わたしのところに助けを求めてきましたので、
「たわけ! わたしは守拙の身。自分の楽しみを追求しているのだ。それを読みたくない本を月に何冊も読まされ、書評を書けとは。わたしの堪忍袋の緒が切れかけているぞ。情けは一度限り。あとは自分で考えなさい」
と久しぶりに説教らしきものをしました。
お付きの者は、考えた末、書店をやめ、『ロバのパン屋さん』に就職したそうです。町を行くと「懐かしい」「珍しい」と大評判だそうです。で、お礼に参上し、手土産に食パンを持ってきたのですが、わたし、食パン嫌いなんです。あんぱん持ってこいよ。
本題に戻りまして、大門さんをWikipediaで検索すると、横溝正史賞作家だったのです。小説もかなり書かれています。ですので、お付きの者(別のね)が買ってきた文庫の量も結構なものでした。
「またやってしまった」
わたしは非常に後悔しました。世の中にわたしの好きな作家はたくさんいるのです。それに、積読本が百冊近くあります。行きている間に読めるでしょうか?
心に不安を抱えつつ横溝賞受賞作品『雪冤』を読みました。これも面白い。そのあとに三冊続けて大門作品を読みました。そこに、気の利くお付きの者が、
「新刊の文庫が出ていました」
と持ってきましたので、大いに喜んで読み出したのですが、これが失敗の元。わたし、警察小説が大嫌いなのです。例えば笹本稜平さんは山岳小説は素晴らしいのに警察小説を読むのは苦痛でしかありません。
で、大門さんの新刊『両刃の斧』がもろに警察小説! ここで大門フィーバーは終わり十冊近くが積ん読の奥の方へ押しやられました。
さて、今回発掘してしまった大門さんの『優しき共犯者』はミステリーですので、ちょこっと警察も出てきますが、大阪のいい人ばっかり出てきて、面白かったです。
ああ、ここにきて言うのもなんですが、わたしは読んだ本の書評や内容には触れません。本当の出会いは偶然のもの。他人の口出しは不要だと考えます。
まあ、この辺りで。