売られた喧嘩はどこよりもお高く買い取りますぜ
こんにちは。少し間が空きました。ごめんなさいね。
言い訳をさせていただくと、小説もどきやエッセイはいわばその気になれば脳みそに浮かんだ(たぶん左脳)イメージを即興で書いているので、調子さえ良ければ二時間くらいで一章くらい書けてしまうこともあるんです。
しかし、『勉強家』を書くには、ネタ元の本を読まなくてはなりません。これ必須。でも、ここだけの話ですが『カクヨム』に残してきたこのシリーズには激躁状態の時に、なんの資料もなく、無茶苦茶な文章を書いてしまい、正気に戻ってから慌てて大改造して、なんとか人様にお見せできるようなものになったもありました。今は自律神経がおかしいだけで脳みそはたぶんフラットだと思いますのでアクロバチックなキチガイ文章は書かないと思いますが「激躁は忘れた頃にやってくる」ものなのでねえ。こればかりはなんとも。
さて、本題です。今回の本も昨年のキチガイ状態の時にお付きのものに買わせた本であります。
柳川範之『東大教授が教える 独学勉強法』草思社文庫。
ふーん。草思社って、昔一回潰れていますよね。どこが介入したのかは知りませんが、文庫を出せる出版社にまでなったんですね。素晴らしい。草思社は一風変わった本、特に翻訳ものが多かったのですが、結構話題の本を出していて、平積み連発でしたので、倒産したと聞いたときはびっくりしました。遠い過去のことなので売れた本とか営業さんの顔なんかみんな忘れました。
ええと、今回の主役にスポットライトを戻しましょう。この本のオビに書かれた惹句には「2018年最も読まれた文庫」「東大生協、三省堂 第1位」とあります。
実はわたし、参考書とか勉強法の本を今まで一度も買ったことがなかったのです。教科書ガイドなんて書店で売っているんだと知ったのは、書店の参考書担当になったときです。完全なる自慢ですが、わたしは三十代後半までは『超人的記憶力』の持ち主で、勉強には教科書と授業のノートで事足りたのです。中学の夏休みに『日本国憲法』前文を暗記するというのがあったのですが、わたしは九月になってから二時間ぐらいで覚えちゃいました。でもね、その国語教師、読書感想文にロマン・ロランの『ジャン・クリストフ』全四巻を指名しやがって……失礼、お命じになりましてね、最初は頑張ってみたものの、「ムリ!」ってなもので、後ろの解説丸写しで提出しましたらすごい高評価。先生、自分が読めない本を読書感想文にするなよ! と思いました。それ以来、外国文学アレルギーにかかり、エドガー・クィンもアガサ・クリスティなどのミステリーも避けて通っています。
自慢話が過ぎましたな。では、結論から言います。人にもよるのでしょうが、わたしはこの本を推薦しません。この作者の半生は特殊で、お父様の仕事の都合で高校三年分を海外で過ごし、その間独学で勉強したんですって。それから大検とって慶応の通信で学び、帰国後、東大の経済学大学院博士課程卒業。はい、おめでとうございます。
でもね、考えてください。著者のお父さんって、おそらく外交官でしょうね? キャリアですよ。もともと著者は地頭がいい家系なんですよ、たぶん。だから自分で勉強法を生み出せたのです。それを我々一般ピープルがやろうたってできません。この本が何万部売れたか知りませんけど、そのほとんどがチリ紙交換(はもうないか?)か木曜日の資源ごみに出されているでしょう。
と、言うひがみでした。買うのも読むのも自由ですよ。