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007

 手に持っていた小さな直方体の機械のスイッチを押して地面においた。

 少し光が灯ったかと思うと、隙間を広げるように体積を広げていく。

『なぁ、提案があるんだが、スキャンした情報はそっちだけが持った状態にして、通信と本部からのデータ取得は俺がするというのはどうだろう?』

「どうして?」

 理由を確認したかったが、確認する前に男に転送した情報が破棄された旨を示すメッセージが表示される。

『スキャンはそっちでしていたからどちらの情報を削除するのが楽かといえば俺の方だろ。それに、本部と通信をすると内部調査員が覗いて来るかもしれないしな。まだ価値があるかわからないが、手柄をあいつらに取られたくない』

 外部調査員と内部調査員はお互いに毛嫌いしている所はあるが、この男のように敵意をむき出しにする者は珍しい。

 過去になにか確執を生むような事があったのだろうか。

 そんな事を思いながら彼は、男の提案を飲む事にした。

『よし、こっちのデータは全て破棄したから、今から本部と接続を試みる』

「本部と連絡が取れなかったら、先程の内容は意味はないですしね」

 男が前腕のパネルを操作する。現在の位置から効果的な通信設定を行っているのだろう。

『怖い事を言うなよ。ダメだったらそのまま持ち帰って調べるだけだ』

 男は膝をついて通信機器の位置を調整する。そして

『……よし、接続を確認した。通信認証も取れたから、調べる事ができるぞ。まずは過去の記録に魔術を専門とする学校があったという記録があるかどうかだな』

「そうですね」

 日記をスキャンと翻訳をしながら返事をする。

「ただ、そんな記録がされてたらもっと重要視されるでしょうし、見つける事は難しいと思いますよ?」

 学校施設の痕跡が見つかった場合、魔術に関わるものだろうと、過去の魔術に関するもの全てが文明レベルが一気に繰り上がるという革命的な発見になるはずだ。

『ちっ、確かにそれらしい施設の遺物は見つからないな』

「……見方を変えたらどうでしょう?」

『みかた?』

「施設が見つかっていますが、それが魔術に関わる学問を行う場所と思われていないとか」

 普通の学校という遺跡の中に含まれていて、実際は魔術に関するものだと気づかれていなかった可能性だ。

 または、一般的な学校と形状が異なるため、現在は学校と認識されない可能性もありえる。

『そうなる場合、調べるのは……』

「過去に見つかった魔術に関する書物が大量に発掘されたけども、施設自体は学校または不明と分類されるとかどうでしょう?」

『了解。過去に用途不明施設から大量に第三ランク相当の本が大量に発見されたものを重点的に調べるか』

「では私はなるべく早くスキャンが終わって情報解析ができるようにします」

 ここから双方が各々作業に取り掛かる事となった。


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