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006

「ですから、ここに書かれているのは街の戦争の開始についてだと思います」

『確かに、「ミサイルが目視できている」という記述もあるな。今は弾道を目視で捉える事はできないしな』

 足を止めて拾い上げた書物の精査に入っていた。

 持ち込みを行った過去の記録データと比較しながら、客観的事実の再確認を地道に行う。

「そこから、この書物が書かれた時期が予測できますね」

 旧文明について収集したものを時系列にまとめた情報を確認しながら時代を検証する。

「先程の航空写真には森の中に住居らしい物がなかったですが。。写真は戦争開始より前なので否定要素にはならないですね」

 書物の内容が正しい事を証明すると同時に否定する要素も確認する。

 少しでも嘘が混じると書物全体の信憑性も下がってしまうので、それは避けなければならない。

『戦争をしている街から著者を勧誘するためにロボットが訪問しているという記述があるな。これも時代を特定する要素にならないか?』

 訪問者を戦争には参加しないために追い払う。という記述を指す。

『同じ事を繰り返すだけという記述は工夫や進化をする高性能ロボットではなかったという事だよな。確か街から引き上げた情報だと早々に戦争の中心はそういったものに置き換えられたという話だったと記憶しているが』

「単純に勧誘するロボットまで高性能化できていなかったのかもしれないですし。まだ司令機能の中枢が機械に置き換えられる前かもしれません」

『そもそもの問題なんだが、記述の半分が魔術・魔法という言葉が飛び交っているんだが、その時点で第三ランクじゃないのか?』

 魔法が書かれている文明遺品について、過去第三ランクから昇格した書物は存在しない。存在したものでも魔法について部分ではなく、それ以外の部分についての客観的事実や文化風俗についての記述のみ適応されただけだった。

「過去の情報が事実でないから、これから発見される新情報も事実ではない。とは言えませんからね。そこに明確に否定できる理由がないと……。それに簡単に否定するにはここに書かれている内容は、魔法が生活に自然に溶け込みすぎている事が気になりますね」

『基本的には第三ランクな魔術を使った日常生活の描写ばっかりだな。』

「しかし、生活に密着した現象を扱ったものが多いですね。物語だとすればもっと派手な表現があっても良いと思いますが」

『ここまで密着して書いているなら、著者の生活習慣についての風俗文明としても価値が少なそうだな』

 内容を確認しながら、とある部分で彼の手が止まる。

「魔法について専門的に学ぶ場所があるみたいですね」

『教育機関? 魔法についての本でもそういった物は少ないんじゃないか?』

 スキャンを続けながら、日記の著者が学生だった思い出について記述された部分を重点的に確認する。

 続いて、彼が持ち込んでいたこの島に関する情報を再確認する。文字情報や画像がヘルメットのシールドに映し出され流れていく。

「魔術教育機関。しかも、内容から結構な規模な機関ですね。この島には不明な施設は確認されていなので、この島の話ではないですね」

『若い頃という感じで思い出話としてしか出てこないしな』

 彼は持ち込んでいた情報の中に過去の思い出話の情報に一致するものがあるか確認する。そしてそれは全て空振りに終わった。

「持ち込んだ情報の中には、該当する物はないですね……そちらはどうですか?」

『俺は確認より調査記録を重視していたからな。そっちに空き容量を確保していたから、そこまで詳しい情報は持ち込んでないぞ』

 調査記録映像を見せて無駄だった事を上に訴えるつもりだったんだがな……。

 と、男は小さく呟いていた。

「こうなったら、本部に通信して詳しい情報を引き出すしかないですかね」

 彼は立ち上がり、空を見上げる。薄っすらと白い雲が流れているが、遮るものは何もなかった。

 その光景が少し眩しいと感じたが、すぐにシールドの明度の調整がされ、見慣れた明るさになる。

「確か、本部との通信用の端末は持ってましたよね?」

『ああ、持ってるが……』

 腰にあるバッグから手の平に乗るぐらいの立方体の機械を取り出した。

 しかし、手に持ったまま男が少し考え込む仕草をする。

『なぁ、提案があるんだが』


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