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 叫び声が聞こえる。暴れるような足音も聞こえるが、すぐにその音は止んだ。

 近距離通信からは何かが吹き出すような音が鳴り続けるだけなので、彼はそっと通信を切った。

 背中のバックに手を入れて、野営用のテントを取り出す。その布部分を自身に被せて外気の侵食を少しでも遅らせようとする。

「さて、本部との通信は生きてますかね」

 シールドが壊されているため、操作手順を思い出しながら画面を見ずに本部への通信を試みる。

「本部へ。外部調査員より発信中。事故があり双方負傷。救援は……まず助からないので救援より追加の調査員の派遣を要請します。遊戯会の島の調査で魔術に関わる第一ランクに相当するの書物を確認。他にも存在する可能性があります。現在の座標は……」

 受け取るかわからない。そもそも発信できたかわからない報告を行う。

「今のが届けばいいですが……あとは、この書物が私のいた内部調査部隊に伝われば……」

 内部調査員として文明遺産の魔術についての研究を行っている時に、とある問題で一時頓挫していた事柄があった。

 魔法を使う事ができる者が何名が出てきたが、それらが常に一定以上の力を発揮する事ができなかったのだ。

 そのため全員、他の書物に書かれていた大きな魔法などは誰も使う事ができていない。

 歴史書にはある時代から急に魔術文明が衰退したという記述もあり、遺物のあった時代の種族か環境など外的な要因で大きな魔法が使用できていた。

 という結論に至っていた。

「称号と、『魔術師の平均を征く者』か」

 書物の内容を思い出す。

 称号という存在は知っていたが、ここまでの大きな影響があった事は研究段階では認識していなかった。

 魔術師の能力が『魔術師の平均を征く者』によって制限されているとは。

 この書物が、どこまで真実を示しているのかはわからない。しかし今行っている魔術の研究には必ず必要になるという確信が彼にはあった。

「あなたは魔法を証明した者として名を残す事はなくても、魔術研究を発展させたという意味では名前を残す事はあったかもしれないですね」

 我々を見つける事ができれば。ですが。

 そう呟きながら、彼は意識を失った。

 今度は目をさます事はないだろうと確信しながら。


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