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ザッザッ
小さな足音をたてながら、一面に広がる砂地を歩く影が2つ。
ゆっくりと動くその影を辿った先には、全身を白と黒で覆い紡がれた服装の姿があった。外からは肌など一切晒されていない。勿論、顔も例外ではなかった。
顔を覆っているヘルメットの前面は黒いシールド状になっており、外からその顔を覗き込む事はできなかった。
『まったく! こんな所を調査とか、左遷もいいところだ!』
先を歩く男の苛立ちを隠せない声を耳元で聞きながら周りの様子を伺う。
陽の光が強く照らされているが、外的状況を完全遮断するボディスーツを纏った彼らにはその暑さを感じる事はなく、シールドに数値として外敵状況が表示される事で外の過酷さを感じていた。
「その話は移動中にも何度も聞きましたよ。よく飽きませんね」
『何度も言っても飽きるかよ!』
右手でヘルメットに触れ、短距離通話で聞こえる男の声を小さく設定した。
『そりゃ前回の調査ではパートナーが事故で亡くなったけども、外部調査員の作業はそれだけ厳しい仕事だって事は上もわかってるだろうが!』
男が砂地を怒りを込めて蹴り上げる。埃にも似た細かな砂粒が空へ舞い上がり、そして散っていった。
『なのに、俺が帰還して報告をしたら、次はこんな調査をし尽くした上に危険度の高い場所だなんて、絶対報復指示としか思えんっ!』
「それについては出発前に確認したじゃないですか。この島の中心地は以前に調査をしてましたが、この砂地の周辺は文明調査の必要性が低いと判断されていたので詳細な調査が今までされていなかったって」
彼は、片膝をついて砂を少し掬い上げる。
前腕にある操作パネルに触れ物質スキャンモードを選択し調査をするが、手の平に乗ったそれは細かな石が集まった単なる砂という結果だった。長く外気に晒されているためか、若干角が書けている印象がある。
『良いように言ってるが、結局ここの調査は優先度は低い場所だろ? じゃあ俺達が今する仕事じゃなくてもいいじゃないか』
「でも、文明なんてどこにあるかわからないですしね。ほら、昔は海の底に大きな街が見つかったっていう話もありますし」
『それは船の上からでも見えた文明だろう? この一面の砂地のどこに文明の欠片があるんだよっ!』
男が大きく腕を広げ、彼へ振り返った。
彼らは『外部調査』という仕事を行い世界中を飛び回っていた。
調査を行っているもの。
それは『文明』と呼ばれるものの残滓。
彼らの種族がこれからも生存するためにはどうしても必要な仕事だった。