ジャーネット
"ジャーネット"という女の子は天真爛漫で自由人な人だった。
悪魔な姿をしたジャーネットは俺が力を嫌々と使っているのが気に食わず態と力を使えなくしたらしい。
ジャーネットの気が収まれば俺は力を取り戻すことが出来る。
しかし、ジャーネットの気を収めるのは骨が折れた。
ジャーネット『わたし知ってるよ?貴方の全部の事。この世界に来る前に住んでたあなたの事情もぜ~んぶね!』
ジャーネットと言う存在は大きく、ジャーネットこそがこの世界の辞書。
ジャーネットは僕の事も、世界のことも記録した過去の事ならなんでも知っていた。
ジャーネット『力を欲しいならジャーネットを愛してくれないとダメなんだからね〜♪』
愛する人なんてこの世には何処にも居ないって分かっていての発言だろう。
僕は人知れず愛される事を禁じられた鬼の子、
僕を捨てた母親は夜遊びが酷く本当に鬼のような人だった。
一緒に住んでいた父親も本当に血の繋がった人なのかすらも分からない。
ただ、母親がよく言ってた。
『アナタには理解できないだろうけど、こんな古びた世界より素敵な天国のような世界に私は住んでたのよ?どう?笑えるでしょ?』
その意味は未だにどう言う事なのか分からない。母は元々がここの住人だったのか?
それとも僕のようにこの世界に来てしまったのか、
その言葉にはなにかの意味があってのことなのか、
毒を持った母が言った言葉は何を意味するのか……。
ジャーネット『それにしても災難ね、あのナルシスト野郎に弱みを掴まれたなんて♪』
『ナルシスト野郎?』
ジャーネット『うん!エリックの事だよ~♪元は落ちこぼれ、何も自分では出来ないくせにね~家来を失えばただのなんの力も持たない癖にね!』
『嫌いなの?』
ジャーネット『そうだな~今のあんたよりは嫌いじゃないかなー♪』
欲を持たず、何もしてやれない。その事に苛立ちを感じた。
ジャーネット『三大欲って知ってる?』
『食欲、睡眠欲、性欲のことだろ?』
ジャーネット『うん!実はね〜ジャーネットは超~絶級にレアな悪魔ちゃんだからエリックなんてナルシスト野郎を倒すのは簡単なんだよね!つまりどういう事かわかるよね~??』
『ぼっ僕がお前を受け入れる事が出来ればあいつを助け出せる……ってことなのか?』
ジャーネット『そうだよ〜♪でも、力なんてものは欲と共にあるから欲を持たない人ほど弱い。君は弱々ちゃんなんだよ〜♪』
『それと三大欲となんの関係が?』
ジャーネット『ジャーネットが欲しいのは美味な三大欲なの。だから仲間を助けたいならジャーネットに対価を払えって事。』
その時の僕の発言は間違えたも同然。友を助けるためにだとしても力を手にする手段だからと言えどこんなにも恐ろしい事だったなんて思いもしなかった。
『好きなのを持っていけ。それであいつを助けれるなら……力を使えるなら構わない。一石二鳥だ』
ジャーネット『いいの〜?後悔しないでね~♪』
『しっしない!』
少し弱気でヒビってるのをバレたのか、ジャーネットはクスクスっと笑い、そっと僕のところまで近づいた。
ジャーネット『本当は怯える子鹿の様に弱々しいのに周りには付け込まれたくないから毛皮を被って隠れて……。でも、今のアナタの方が私は好きだよ♪さっき言ったことは取り消してあげる。ナルシスト野郎よりアンタの方が数百倍も好きだよ♪』
その予想もしなかった言葉に僕は温もりを感じた。
ジャーネット『じゃぁ、睡眠欲を貰ってくね♪これでアナタは眠る事を許されない。でも……その代わりに力を手に入れる。今までとは比にならないほどの力をね♪』
ジャーネットはそれほど悪いヤツではないのかもしれない……、
悪魔だけど。
ジャーネット『それじゃ!友達を助けに行こー♪さっさと最後の試験をクリアするぞー♪』
『おっおぉー…………』