刑罰と試験
人は月日を重ねるほどに強くなる生き物。そして、各部隊に分けられて積み重ねた任務の数とその者の能力次第ではあるが、降級したり上級したりして、力ある奴はたった五年で初心者から騎士になったりすることがある。
もちろん、五年でも力及ばず初級者留まりのまんまだったり、中級者になったりと人それぞれ。
CECIL『オレか?オレは中級者だよ。たった五年で騎士とか王様のランクを貰える人なんて中々いないぜ?』
五年前の初心者たちの殆どは中級者や初級者の者達が多い。
そして俺はと言うと恥ずかしながら『初心者』留まり。
つまり、俺の時間はあの五年前で止まっていると言うことだ。
CECIL『初心者を五年留まり……。お前………少しヤべぇかも……。』
『何がだ?』
CECIL『初心者留まりの勇者様は試験を受けさせられるらしい。』
『試験?』
CECIL『刑罰の代わりの試験で試験官は王様や女王が執行する決まりらしい。その名も【最後の試験】』
『最後の試験…………』
CECIL『その試験で《不合格》を受けた初心者の勇者様たちは塔の上の階へ登る権利を剥奪される。つまり、生き抜く事が出来ないんだ。』
『はっ剥奪……ぁ……ヤバい。』
CECIL『でも、合格すればスキル石とかの特別な石とか武器とか貰えるって噂だぜ?』
『スキル石……?』
CECIL『スキル石は武器の性能を大幅にアップさせる特別な石だ。売れば高い値で……ってこんな事をしてる場合じゃねぇか!』
その瞬間、俺は友であるはすだったCECILを恨んだ。
誰が予想できただろうか?
CECIL『すみませ〜ん!ゴウカさん!』
《ゴウカ》と呼ばれてやってきた彼は筋肉質でなんか熱血という感じでとてもウザそうな雰囲気を漂わせていた。
なんか何でも信じそうな脳筋バカっぽい人がやってきた。
CECIL『ゴウカさん、王様の補佐でしたよね。』
《ゴウカ》は騎士でレッド部隊の有力な人。
そんな《ゴウカ》さんは部隊を離れ《王様》の補佐を行っているとのこと。
ゴウカ『あぁ!それがどうかしたか?』
CECIL『実はここに違反者が居て……』
ゴウカ『違反者?どこだ!武器を取られたか?悪集団か?』
CECIL『隣にいるこの子何ですが……五年前の初心者だった方なんですけど……ランクがあがってないんです。いままで!』
ゴウカ『えっ!?お前……それは本当か!』
もう、何が何だか分からない。CECILが何を考えているのかもわからない。
そしてなにより、この馬鹿でかい声を出す脳筋バカ猿とあまり話したくなかった。
『ランクあがらないといけないなんて知らなかったんだよ』とツーンと反応をしてしまったのが悪かったのか、
俺は脳筋バカ猿に連行された。
ゴウカ『初心者からランクをあがらないということは罪なんだ。これは五年の間サボりを働いていたお前の罪だ。お前には最後の試験を受けてもらうことになるだろう!覚悟しとけ!お前……名をなんという?』
『ディオラ……。』
ゴウカ『ディオラ……何処かで聞いた覚えがあるな。まぁ、いい!次に呼ばれるまでこの牢屋にいろ!』
と言われたが、この牢屋に居座りたいと俺は入った途端に思った。
何故なのか、それは牢屋は快適で広くて食べ物も何もかもある何不自由ない場所なのに人はあまり少なくて人口密度も丁度良くて俺の住んでた森より環境設備も整ったパーフェクト・ルームだったからだ。
森に住んだら食べ物は限られて飽きた生活を繰り返す。そんな生活を5年と言う間、続けていた俺にとっては
まるで天国のような場所だった。
『最高ーー!』