必殺技が使いたい
みんなと5年ものリードを許してしまい、俺はみんなの元へ戻るようにして勇者様として塔を上がる気で満々だった。
塔を上がり『元の世界へ戻りたい』『生きたい』という願望を叶えるために。
なのに俺はどうやら無能過ぎたようだった。
ラスタ『リングの最大の特徴を教えてやる。それはリングは感情の強い昂りによって最大の力を発揮することだ。つまり、お前は武器との共鳴は出来ても本来の力を手にすることがまだ出来ないってことだよ』
オッサンの言ったように俺は確かにクマと修行をしていた期間の中で一度も大きな力を発揮したことが無い。
そう、一度も。
怒りや悲しみ、快楽などの感情の異常なる昂りが力を強くする。
例えば大切な人が出来てその人を必ずしも守り抜きたいという強い思い。
これも力を手にすることができる感情のひとつ。
その感情が俺には欠けている。
CECIL『リングってのも大変なんか。ごくろうさんだな。』
CECILとの久しぶりの再会を果たして立派になったCECILに言っても何もならないのは分かってはいるものの塔をふたりであがりながら俺はこの五年間の出来事とリングについての不満を愚痴っていた。
CECIL『別に問題ないだろ?だってモンスターたちを普通に倒してるし…それB級リーダーモンスターだぞ?』
※モンスターにはランクが有りS・A・B……と大きいほどモンスターは強い。
※リーダーモンスターは弱小モンスターの残党の中で混じって強いリーダーモンスターの事。
『でも、CECIL……お前は必殺技的なの使えるだろ?そのエイで。』
CECIL『あぁ。エイのお陰で使える。でも、エイ(こいつ)マイペースだから回数が限られてんだ。だから結局は自分の力に頼るしかないんだよ』
『CECIL…………お前……』
CECIL『?』
『成長したんだな……』
CECIL『うるせぇっ!』
CECILくんは5年と言う月日で変わりました。
少しマイペースかな?という所は相変わらずです