プロローグ
趣味で書きました。
読んでいただけたら幸いです。
何から語ればいいのかわからない。
というよりは何処から語り始めればいいのか分からない。
そう起承転結の「起」というものは「結」より重要である。どれも重要であるが「起」がないと全てが始まらないのだから・・・
僕はあの頃自分の世界観が壊れる刺激がほしかったのだ。
語る必要がある。最初の最初から。
僕の日常が壊れる前日から語らねばならない・・・。
僕は教室に一人忘れ物を取りに来ていた。なんというかいつものことだ。明日は理科の問題集の提出なのに忘れてしまうなんて困ったやつだ僕ってやつは。
理科の先生は、実際「先生」ともつけたくな嫌なやつなのだが提出物を忘れるとすごく面倒くさい。
しかし、今はそんなことはどうでもいい。早く家に帰ってこの提出物を片付けてゲームでもしようと思ったときに彼女はいた。
教室には誰もいないと思っていた僕だったが違った。
思い違いだった。
じろじろとこっちを見ている。じろじろという表現もなんだかと思うが僕を彼女は理科の実験で植物を観察するかのように僕を見ていた。
彼女は女子にしては身長は高く髪は長いというのか男だからいまいちわからんが肩まで髪はギリギリかかっていなかった。
確か同じクラスの、名前は・・・。と考えていたときに彼女の方から声をかけてきた。
「あんた忘れ物したの?確か名前は・・・。」
「司馬。司馬弾。司るに馬。でシバ。」
「ふーん。」
「理科の問題集を忘れたから取りに来たとこなんだ。」
「ふーん。」
「お前は、確か八乙女かおり。だよな。」
「よく覚えてたわね。フルネームまで。」
「昔から記憶力だけはいいからな。」
八乙女かおりはあまり友達を作らない。
というかいない。
八乙女が「友達」と呼べるようなやつは僕が見てきた中ではいないと言ってもいいだろう。
友達がいないという点に関しては僕と同じである。いつも関わらないでオーラを出しながら休み時間に本を読むやつが話しかけてくる事自体に僕は若干驚いているのだ。
「あんた、今から暇?」
「いいや、全然。僕は一秒も無駄にしない主義だからな。失敗も次に生かす。そう、簡単に言っちゃえば僕のすることは僕にとって価値のあることなんだ。」
「あんたはあんたのしたことに意味を見いだせるということ?」
「まあそういうことだ。じゃあ、とゆうわけで・・・。」
我ながら上手いかわし方。自分を褒めてやりたいくらいだ。早く提出物を終わらせてゲームをしたいのだ。
「あんた結構筋肉質だよね。」
「まあな、帰宅部だけど筋トレはしているぞ。」
「あんたに頼みたいことがあるんだけど。」
「おう、その前にさっきから思っていたことだが。話すの初めてなのに『あんた』はないんじゃないか?更に話すの初めてなのにもう頼みごとか。」
「あんた結構面倒くさいわね。分かったわ司馬君。話すの初めてなのに申し訳ないけど頼みたいことがあるのだけれど聞いてくれないかしら?」
早く帰りたいのだがまあいいか。ゲームならいつでもできるからな。
「頼みって?僕ができる範囲ならいいぞ。」
「簡単に言うと。ある男と殺し合いをしてほしいのよ。」
「ほえっ!?」
「どうなの?」
「んんんん?ごめんもう一回言ってくれないか。本当に最近耳が遠くて困っちゃうわー。」
「ある男と殺し合いをしてほしいのよ。いわば決闘よ。」
んんんんんん?聞き間違いではなかったみたいだが。いつから最近の女子はこんな凶悪極まりない言葉を使うようになったんだ?もしかして八乙女は高校デビューを失敗してそれを二年生の九月の終わりまで引きずってるのか?だとしたら可哀想すぎる!
「そのある男ってのとどうして殺し合いをしなきゃいけねーんだ?というかもっと他に頼みごとはないか?ものを運べとか・・・。」
「どうして殺してほしいのか話すと長くなるわ。司馬君にしか頼めないのよ。」
「そいつのこと殺したいなら殺し屋でも雇えよ。」
「私は普通に暮らしたいのよ。・・・普通に高校生活を送りたいのよ。」
「普通に暮らしたいだ?おいおいだったら殺してほしいやつがいるとか言うなってn・・・。」
八乙女は結構顔ががちだった。いつもは平気で嘘つくやつなのにコイツ・・・今回はガチな顔だっ!
という顔をしていた。うまく説明できているかわからないが・・・。
「まあ、なんつうかあれだな。うん、聞かせろよ。その話すと長くなる話。」
「殺し合いしてくれるの?」
「それは約束できない。聞くだけだ。」
「まあ、いいわ。理由もないのに人と殺し合うなんてできないものね。」
「理由があっても僕は殺し合いなんてしないぞ!」
僕の言葉を無視して八乙女は語り始めた。
更新は早めにします。