第2話
マスター「3人ですね」
味噌「結構いるんだね、で何かな?話したいことって」
京都「わざわざネットで話すって|ω・)」
マスター「今の世界に満足していますか?」
かなり意味深な質問だった。
まるで、そう、新興宗教の教祖のような、そんな言葉。
井戸「なんやそれww」
味噌「それって満足してるって答える人の方が少ないんじゃないかな」
井戸「ここまでひっぱってそれかよ、ほんまのクソスレやん。で何?この後壺でも売るん?でその収益の半分が手に入るとかいうやつ」
味噌「宗教イコール詐欺とかネズミ講じゃないとは思うけど」
京都「ネズミ講とかだとわざわざムちゃんでする必要ないと思うよ|ω・)」
井戸「なんで?」
京都「匿名掲示板だからねー。するんなら匿名じゃないサイトとか呟いて友達増やしたりするやつとかのがいい|ω・)」
味噌「まぁ、そうだけど」
井戸「じゃあなんなん?」
味噌「黙って聞いてれば?」
井戸「はぁ?なんなん?いちいち反応してくんなや」
味噌「え?思ったこと書き込んだだけなんだけど。どれだけ沸点低いの?」
井戸「あ?沸点とか難しい言葉使えば頭いいと思われるとか思ってんの?」
味噌「沸点が難しいとか思えないんですけど」
京都「ストップ。やめよ|ω・)」
味噌「マスターに目的聞こうよ」
井戸「そっちが喧嘩売ってきたのになんなん?」
どうやら井戸は単純な性格のようだ。
だが、世界に満足しているか、という質問の意図は気になる。
京都「マスター?どういう意味|ω・)」
マスター「すみません。私の聞き方が間違っていたようです。私は宗教の勧誘でもネズミ講でもありません」
井戸「じゃあなんなん?」
マスター「満足していない者の1人です」
味噌「世界に?」
マスター「そう。この世界にです」
井戸「満足してる人の方が少ないんやない?」
味噌「それさっき私が言ったよね?」
井戸「は?べつに誰がゆーてもいいやろ」
マスター「満足してない者の方が多いのに回り続ける世界に疑問はないのですか?」
ある。
すぐに心が反応した。たしかにそうだ。
満足していると言えない世界が何故か平和だとされ回り続ける。妥協点を探しそこで止まり続け回り続ける。
マスター「私は絶望の淵に落とされた。具体的には言えませんが」
味噌「それで?」
マスター「変えたい。そう思っています。そのために何ができるんだろう。それを話したいのです」
井戸「え?世界をよくするために、こんな掲示板で話そうやってこと?あほやんww」
味噌「たしかに、話しただけでは変わらないと思うしね」
マスター「行動しようと思っています」
井戸「はなしたことを?」
マスター「そうです」
味噌「たとえばさ、鬱病の人って1億円受け取ったら治るって言われてるよね?それみたいに世界中の人にお金渡せば?ってなったら渡すの?」
マスター「はい」
井戸「はいってww無理やんww」
たしかにそうだ。60億人を越す人口にお金を渡すなんて誰ができよう。
京都「無理、以前に世界中の人間がお金持ちになったらお金の価値が下がるだけで結果的に今と変わらないと思うよ?|ω・)」
味噌「あ、たしかに」
井戸「いや、まず無理やしww」
マスター「可能ですよ。私には資産があります。ですから世界をよくするために必要であれば」
井戸「は?なにゆーてん」
味噌「さすがに釣りじゃない?」
井戸「なら犯罪者殺せばいいんじゃね?そんなお金あるんなら殺し屋雇って犯罪者を、どっかの漫画みたいに」
味噌「じゃあその殺し屋はどうするの?それも犯罪者でしょ」
井戸「いや、お金がねーじゃんって話」
味噌「確かにね、そんなお金ある人なら満足してるんじゃない?世界に」
マスター「信じてもらえませんか」
味噌「そりゃあね」
京都「じゃあ」
さっきまで読んでいた本のせいか、何故こんなことを思いついたのかは分からない。
京都「未解決の事件を解決してみたら?|ω・)」
机の上のシャーロックホームズが文庫本から「そんなこと出来るわけないじゃないか」と嘲笑っているようにも思えた。
マスター「と、いうと?」
京都「例えばさ、お金があるんなら何でもできるよね?パソコンのデータ復元とか科学捜査とか。それを使って、ここで推理するの|ω・)」
味噌「私設捜査団みたいなこと?」
井戸「なんで信じとん?wwお金なんてあるわけないやん」
京都「それはしてみればいいじゃない?だつまてみんな暇だからこんなスレに居るんだし|ω・)」
味噌「まぁ、ね」
井戸「そやけど、警察ができひんことできるか?」
マスター「なるほど。異論がなければそれにしますが」
味噌「まぁ、面白そうだし、できるんならしてみて、騙されたら騙されたじゃない?」
井戸「まぁ、なんか取られるわけでもないしな」
味噌「でも未解決の事件なんかあるか?」
マスター「それなら、これはどうでしょう」
マスターがほかのサイトのURLを貼り付けた。
そのサイトを開くとニュースサイトのある事件が載っていた。
要約すると2年前の傷害事件。
深夜2時に道端で女性がナイフで太股を刺され犯人が逃走したというもの。警察は無差別通り魔としている。被害者は相手の顔を見ていないが相手は170cm前後の細身の男性だったと証言している。
味噌「え、こんなのどうして解決するの?」
井戸「見てないんなら無理じゃね?警察犬とか?」
味噌「2年前なのに?馬鹿なの?」
井戸「いちいちバカにすんなよおい」
味噌「わかるでしょ?それに証拠かなにかを残してないと警察犬も使えないでしょ?」
井戸「わかっとるわそんなん」
京都「とにかく必要なものは現場の写真と詳しい事件概要|ω・)」
井戸「死んでないんやろ?そしたら警察もそんなに詳しく調べてないんちゃう?」
味噌「どうかなー?とりあえずマップで見てみる?」
京都「そうですね。場所ってどこか分かりますか?|ω・)」
井戸「わかるで、ちょっと待って」
味噌「調べたらわかるものなの?」
井戸「ここ」
井戸がマップの情報を貼り付けた。
場所はやけにおおきな個人宅の前、道路と個人宅の間の歩行者路で道路を挟んで向かいにはコンビニがある。道路も大きな国道で人通りは少なくは無さそうだ。
味噌「こんなとこで?」
井戸「せやなぁ、人通りあったんなら犯人すぐ捕まってもおかしないとおもうねんけど」
京都「近くにコンビニありますよね?コンビニって駐車場で事故あったりした時のために外向きに監視カメラありません?それ見れないかな?例えばお金でどうにか|ω・)」
この映像さえ見れれば事件のことがわかる。そう思ったと同時にマスターがほんとうに財力を持っていてそれを使うことが出来るのか判断できる。そう思って発言した。
マスター「出来ます。映像を買えばいいんですよね。少し待って頂けますか?」
ハッタリなのか。本当なのか。
これでわかる。