夢の話だよね??(暗示)
「秋一、春から大学だろ」
「はい」
「実家から遠いだろ」
「いえ、充分通えますよ」
電車で四十分。
通勤通学に平均的な?時間だといえる距離だ。
なんといっても地元だから。
なのに……
「遠いだろっ?」
怖いくらいに笑った顔には
“同意して”とメチャメチャ書いてあって。
「…………ええ?で……すかね?」
今度は何?
「だろだろ!?そこでだ!
通学に大変だから近くに部屋を借りたいんだけど
家賃大変だから同居して折半して欲しいと泣きつかれたから
優しい俺はそこまで言うならと同意しましたと
昨日お前の両親に言っておいたよ」
「……え~っと、その“俺的な人”大学決まって何時辺りに
監督に泣きついたのか正確な日時を教えて頂けませんか?」
「そこ大事じゃないから飛ばして」
いやいやいや、貴方の妄想にそう易々と
泣きつく俺を登場させないで下さいよ。
「……はぁぁ。
で、うちの両親は何て?」
「申し訳ないですね。
うちの子ったら、もう!そんな我儘を?って」
「でしょうね~その“うちの子”我儘すぎやしませんか?」
「良いんだよ、可愛いから」
「ぐ……」
も、もう何かムカつく。
そんなの言われたら何も言えないでしょうが!
「許可は取った。
お前の返事は?」
返事も何も既成事実の事後報告じゃないですか……。
あ~~~~~~なるほど。
この為に、うちに来たんだ?
なんとも手回しのいい。
こういうことのみ特化してるのもどうかと思うけど
今回は嬉しいから見逃しますよ。
「良いですよ」
断る理由なんか勿論ないから。
「ホント??やった!」
可愛いのはどっちだか。
もう……本当に大人子供なんだから。
朝、父と親戚一同がまだイビキをかいて寝ている中、
俺と監督、それと弟、秋助と母さんの四人での朝食となった。
「ねぇねぇ兄ちゃん、昨日さ、俺凄い夢見たんだ」
隣でご飯を一緒に食べてる秋助が
珍しく声を潜めて話しかけてきた。
「へぇ、どんな?」
可愛いなぁ。
嬉しそうに夢の話をするとか
秋助やっぱまだまだ子供だな。
「AV。
すげーアンアン言ってるヤツで超リアルで
なんか真横でヤッってるくらい臨場感あんの。
でもさ、なんか相手の女の子の声がやたら低くってさ……」
「ぶっっ!!!!」




