その理由は……
子供ぽい独占欲とは裏腹に監督の大人のキスに
段々翻弄されて頭がボーっとしてきた。
「ん……っ」
キスの合間にも何度も繰り返される俺の名前。
「舐めてあげるよ、好きだろ」
「……え……」
頭の中がふわふわして何を言われたのか分からなかった。
「アッ……は!!」
出かけた声を手で塞がれた。
監督の熱い舌先は過ぎた快感をもたらすから
自分では声を抑えようがなくて、監督の手が俺の口を押えても
どうしても漏れ出てしまう。
「シュウ、俺の指噛んで」
「……ふーっ……ん、んんぁ」
加減せず噛んでるから多分監督は痛いだろうけど
それでも俺のモノを口に含んだまま舌で唇で愛撫してくれて
そのままイクまでやめなかった。
「……気持ち良かったろ」
そう言って笑う監督の格好良さといったらもう、
普段のふざけた印象なんか微塵もない。
好き……凄くこの人が好き。
「監督、もっとシて」
「うん……そのつもり」
上着をパサリと脱ぐその仕草にさえドキリとしてしまう。
「足、閉じないで」
「全部は入れない、今度ちゃんと声を聞ける時に取っておく。
今日は感覚だけ知って欲しい。
怖くない、セックスは気持ちイイってことだって
感じてくれればそれでいいから」
「……っ!!」
「痛い?」
俺は頭を横に振った。
入ってくる感覚に違和感というか
ものすごい圧迫感はある。
でも、痛いというより……変な感じ。
“コレ”が監督のだと思うと恥ずかしいのか
嬉しいのかもう何が何だが分からない感情が
ごちゃ混ぜになって。
「ちゃんと顔を見せて」
思わず隠していた両手を頭の上で固定されて
俺の息が少しだけ落ち着いたところを見計らい
監督はゆっくり腰を前後し始めた。
「や……、あっ」
「大丈夫、ゆっくりするから。
秋一……秋一、俺を覚えて……」
優しい声が降ってくる。
「アッ……監督っ……」
俺は夢中で監督の背中にしがみついた。
「好きっ、監督っっ」
「うん……俺も、秋一」
上擦った監督の声。
薄目を開けると見たことも無いくらい
余裕の無い表情がそこにあった。
俺で気持ち良くなってくれてる?
「秋一……秋……ずっと待ってた」
「あっあっ……ん、は」
俺だって。
「好きだよ、秋一」
「んんっー!」
段々激しくなる監督の動きに
もう意識が途切れ途切れで
最後にイク瞬間、監督にキスされてなければ
階下に響くほどの声を上げていたんじゃないかと思う。
“気持ちイイってとこ覚えておいて”
忘れる筈がないじゃないですか、こんな強烈な快感。
初めてだったけど、念願の監督とのセックスが
こんなに気持ち良いとか……知らなかった。
前に一度抱いたら止めどなくお前を求めてしまうからと
言われた意味がようやく理解できたような気がする。




