全部、俺のモノ
「折角親御さん公認で同じ部屋に堂々と公認で
寝て良いと言われてんのに活用しないと悪いじゃないか」
始末に困って俺に投げただけでしょうが……
「多分、そう来るだろうなとは思ってましたよ」
だってこの人がそう簡単に俺が思った通りになった試しなんか一回もないし。
諦めもかなり悪いから。
「やっぱり本当は待ってたのか。
遅くなって悪かったな」
いや……そうじゃなくて。
どんな理屈が貴方の頭の中で回ってるのか
分かりかねるんですけど……
「激しく意味合いが違いますねぇ。
俺ねむいんで大人しく寝て下さい」
「無理」
「子供ですか、寝て下さい」
「だから“寝”ようよ」
「……監督、大人でしょう?
隣に弟、階下には家族のみならず親戚が沢山いるんですよ。
よもやこんな状況でコトを起こそうとか考えてるんじゃないですよね」
「思ってるよ?」
「か、」
「だって思うだろう。
ずっと成長していくお前を間近で見てて
手を出したくてもずっと我慢してきたんだ」
急に真剣なトーンで言われて思わず怯みそうになったけど。
「今日一日だけ我慢してくれれば明日
……その、監督の家に行くから」
つまりそういう目的でって言わんばかりで
恥ずかしくって後半ちょっと口籠ってしまった。
「だから、それすらもう待てないんだって」
「!?」
半身を起こしていた体を監督に布団にそのまま押し倒された。
「ちょま、待って」
「どうしても、本当にどうしても嫌なら抵抗して。
じゃなきゃもう無理だから」
聞いたこともないような声で囁くの止めて欲しい。
俺も……俺だって、自分の家じゃなきゃ
監督とそうしたいって思ってるんだから
煽らないで下さいよ。
「抱いて良い?……秋一」
「ッ!!」
ヤバイ、ソレ直撃した。
無理無理無理、それはズルいよ、監督。
初めて監督から自分の名前を呼ばれてこんなに
嬉しくて恥ずかしくて興奮するとか思わなかった。
それくらい……本当に貴方が好きなんですよ?俺は!
「もう!バレたって知りませんからね。
きっと淫行で捕まっても俺待ってませんから」
俺は悪態をつきながらも監督の首に腕を回した。
「秋一、ずっと呼びたかったんだ、この名前。
お前がそう呼ばれる度、俺のなのにって嫉妬してた。
何で教師ってだけで我慢しなきゃいけないのかって」
「監督」
「シュウ、秋一、全部、俺のだから」




