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自分のことは言えませんか?

「ふぉぁぁぁ、じゃ譜都、模擬試合よろ~

チーム分けはお前に任せる」



「はい!監督」



敬礼でもするんじゃないかと

思うくらいの勢いで譜都キャプテンは

返事をし、踵を返して皆の元へと走っていった。



「ふぁ~~~イイね~素直で。

譜都って公務員志望だっけ?

自衛隊とか警官とか向いてそうだよなぁ」



「人の進路どうこう言う前に

その枕詞、どうにかならないんですか?」



全く、もう。


いくら教師だからといって

折り目正しい生徒に対して欠伸をしながら

指示とか失礼だとは思わないんだろうか。



「良いんじゃない?

向こうは気にしてなさそうだし」



「俺が気になるんです」



「なになに?俺のことが

気になって仕方ないって?」



紺里監督は変な言いがかりをつけて

身を乗り出し俺に顔を近づけてきた。



「ちょちょ、何やってるんですか?」



こんな学校のど真ん中、公衆の面前で。



「そういやこの前のキスの約束

果たしてないよな?」



「何いってんですか、約束してないし、

オイコラ……冗談やめて下さいよ」



「冗談かどうか試してみる?

あの幼馴染が見てる前で……」



「!!」



後、数センチでって所で

顔面パンチを食らわした。



「いてぇぇぇ~~~」



「自業自得です。

それと、こんな下らない話に

日野を持ち出すのやめて下さい」



「……分かったよ」




やっと大人しくなったのを確認して

淡々とその日の仕事を片付け、

ようやく一区切り着いたところで

戻ってみると監督は腕組みをしたまま

スヤスヤと寝息を立てていた。





「何処まで自由なんですか……」




グランドでは模擬試合が終わったようで

それぞれがシュート練習やボール回しを

行っている。



指導するわけでもなく、起きていても

ロクなことは言わない。


かと思えば、観察眼だけはやたらきいて

的確な助言や妙な交渉をしたりと

ホント何なんですか?貴方は……



深い溜息が出る。




(もう放っておこう)



部員日誌を取り出し今日の記録を書いたら

キャプテンと合流しようかなと、

起こしもせずそろそろとその横に座った。




「お疲れさん」




「起きてたんですか……

ま、普通はそうですけど」



さっきまでの何一つ変わらない姿勢で

目を瞑ったままその声は聞こえた。



俺もそっちを見るのが億劫で

グランドの方角を見たまま

互いの視線が合うことはなかった。




「……白刀田先輩、変な手で監督に

石を生かされたのなんのって怒ってましたよ」



「あれ、バレてたのか。

結構さり気なくやったんだけど、

やっぱ流石だな」



「そういうの地味に傷つくと思いますよ」



「だな~今度からはもっと上手くやる」



「…………」



“もうしない”とは言わないですね


人の気持ちとかこの人分からないのか?


本当そう思っていたらそんな軽い言い方

なんてしませんよね?



「それと、プロだったんですね」



「あ、そっちもバレたか」



「何で辞めたんです?」



「そりゃ、男子高校生に出会えなく……」



「もういいです、別に興味ないですから」



「アハハ相変わらず手厳しいなぁ」




笑って終わり?



俺にはズケズケ言うし、

抉るように勝手に踏み込んでくるくせに

自分の事は言わないとか虫が良すぎませんか?




何で隠したんですか?


どうして誤魔化すんですか?




ホントどうでもいいけど、



そうやって誤魔化されると

気になってくるんですよ、




本当に~~どうでもいいんですけどね!




なんか~~~~~~~腹が立つ!!!




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