質問事項。
「ここで問題。
さて俺は誰でしょう~か?」
「は?」
自分の所属しているサッカー部の
部品やら出欠状態、今後の予定の
チェックの真っ最中に何時の間にか
横に座っていた男に突然話しかけられた。
「――古文の紺里先生、ですよね?確か」
一週間前に家庭の事情で突如辞められた
古文の宗像先生の代わりに赴任してきた
と全校集会で紹介されてた記憶はまだ新しい。
「で、す、が、
此処にいる理由は何でしょう?
と、続いたのに。
問題は最後まで聞かないと
大学受験失敗しちゃうよ」
何を言い出すかと思ったら、
「アハハハ。
その受験を経て高校に入ったばかりの
新一年生なのでご心配には及びませんよ」
俺、岩倉秋一。
今年の四月、まさに厳木高校に
入学したてのピッかピカの一年生。
二ヶ月経ったからって
そんなこと言われても
ドキリともしませんが。
「あ~そういう油断良くないなぁ。
そんな言い訳するヤツに限って
絶対落ちるんだよな~」
「………………」
うっっざっっ!!!!
何なのこの人!?
「サッカー部の見学、ですか?」
「もっと考察しないと、
それじゃ簡単にアゲハマ取られるから」
……何言ってんだ?さっきから。
アゲハマ?揚げ足の言い違いか?
「投了?」
「とうりょう?」
「降参するって意味」
俺、絶対進路文系取るのよそう。
この人に習うとか想像するだけで嫌だ。
と、心で思いつつ
目の前の人物に笑顔で対応する。
「ええ、降参。
参った参ったって感じですよ」
「そう?じゃ仕方ないな」
心なしか嬉しそう。
しかも絶対この人負けず嫌いだ。
「へぇ、それは頼もしいですね」
無論、全く思っていない。
「時に、君マネージャーだろ?
此処の過去の戦歴とか見せて貰ったけど
勝率悪いな、すっごく。どう思う?」
「どう思うって言われましても」
一年で入部したての俺が
色々分析できる程このチームの事
理解してる訳じゃないし。
「ああ、マネージャーがそれじゃ……」
まるで俺が悪いから
チームが負けてるとでも
言いたげでカチンと来た。
「わーっ、先生って
さぞかし名のある選手だったんでしょうね。
全国に行きまくりだったんでしょう~
ポジションは何処だったんですか?」
口調は既に棒読みだけど
言い直す気も起こらない。
「囲碁部」
「―――はい?」
「囲碁で全国大会まで行ったんだ」
自慢?自慢なの?ソレは。
というか、
全然サッカー関係なくない?
いやもうホントどーでもいいけど……
でも最初に自分でふった話題だけに
投げることも性格上できず、
興味はないけど一応と質問を試みる。
――それが色々いけなかった。
「そ……の囲碁の覇者が
何故サッカー部顧問に?」
「さぁ、何ででしょう?」
聞いてるのこっちだし!
いい加減この人の相手に
ウンザリしていた俺は顧問とか
言われてなきゃとっくに
立ち去っていたかもしれない。
誓って言うけど人を無視したいとか
思ったのは生まれてこの方初めて
持った感情だ。
「やだな~
俺が先生に敵うわけないじゃないですか
教えて下さいよ」
気分は一年に一回会うか会わないかの
親戚の子供をあやしてるようだ。
「単になり手がいないみたいで
他の先生方みんなで押し付け合ってたから
立候補してみた」
「…………」
紺里の立候補発言が霞むくらい
先生達にこのサッカー部がお荷物だと
思われていることにショックを受けた。
確かにお世辞にも俺達サッカー部は
強いとは言えない。
その上団結力も欠けている。
今までも何度か別の部と兼任の
先生はいたらしけど常にメインは
そっちでうちの部はおざなりだった
と聞いていた。
しかも今年から新たな別の問題まで
抱え込んでるともなれば当然だろう。
それが
やっとちゃんとした顧問が来るらしい
って先輩達喜んでいたのに。
「言ってもらって全然良いし」
「……いえ、理由は言いません。
先生も経緯に関しては皆に言わないで
貰えませんか?」
そんな最悪な理由で決まったとか。
なによりそれがこの残念な人だったとか。
言えるわけないじゃないか。
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順序>>
1、クロイ ビネツ。
1.5 クロイ ビネツ。(裏18禁Va)
2 クロイ 灼熱。(スピンオフ)
2.5 クロイ 灼熱。 (裏18禁Va)
3 クロイ 発熱。(スピンオフ)コレ。
※悪ことは言いません、
クロイ ビネツとかを
先に読まれた方が賢明です。
でないとネタバレ満載です(笑)