大会を終えて 最後の仕事
会場周辺の反乱を押さえ込んだ俺は1夜明けた今日、ワーミン、俺、雷斗、魔王、元魔王のメンバーで武装集団ブルーギル(東西南北のそれぞれの国の兵隊が集まった集団)の高速魔導艦隊に乗せてもらい、故国神聖ミレルヴァ帝国の帝都へと向かっている。
昨日.....いや、昨夜に各国(と言っても大会に出た国のみ)の国王達と会談をし、俺が鎮圧するようと言われ、このメンバーと武装集団の皆様と共にというなんとも不幸なと。
まあ、俺としてもワーミンとしても腐っても故郷みたいなものだからというわけでなんとか承諾したってところなんだがな。
早く鎮圧して2日後の集会に間に合わないといけない。はあ、なんで俺なんだろう。嫌だな.......
「着いたぞ」
「ありがとうございます。武装集団ブルーギルの皆様」
「いえ、国王様方を救って頂いたのでこれくらいはなんとも。では、我々はここで待っているので終わり次第帰ってきてください」
武装集団ブルーギルはそう言ってジャック達を送り出した。
ジャック達は早速故国神聖ミレルヴァ帝国の国境に差し掛かった。
「なんだ君達は!?こら!!勝手に国内に入るんじゃない!!」
元アトランテ国の騎士団団員だと思われる人がジャックたちにそう言った。
「勝手に?ここは元々俺の故郷だった国の土地だ。後、俺達にそれ以上逆らうと魔王軍が攻めてくるかもしれないぞ」
ジャックはその人にそう言った。
「なわけないだろ........「ほら、魔王がちゃんとご来訪しているだろう?まあ、私は元魔王だが、ここにいる勇者と仲良くしているのが今代の魔王だが?」」
元魔王は闇属性の魔法で自身を恐ろしく見せながらそう言った。
それを見ていたジャックは
やりすぎだよ。魔王さん。
と思っていた。
「後、魔国及び、ギルド加盟国の外交文書だ
この国の重臣達に見せてこい」
ジャックは魔法で何があっても必ず城に届くようにし、その手紙を騎士団団員に持たせた。その手紙を受け取った騎士団団員は急いでそれを届けに行った。
なんと馬鹿な騎士団団員だ。
ちなみに、外交文書にはどう書いてあるかというと、
"貴国の王であるミレルヴァ皇帝は我らの国で暴れまわり、世界大会を無茶苦茶にした。だが、ジャックという、元アトランテ国の元国民がミレルヴァを沈めてくれた。これで貴国の王は死んだ。だが、貴国はまだ我らにちょっかいを出してくるだろう?だから二日後に我らギルド加盟国多国籍軍が貴国に攻めゆく。やめてほしいのならばアトランテ国に現領土の5分の4を変換し、アトランテ国に閃貨600枚の賠償金を支払え。また、神聖ミレルヴァ帝国にギルド加盟国の軍基地を配置する。それを許可すれば我らは手を引くだろう"
と。若干ではないが脅しをかけている。
「..........行っちゃったな....」
「ああ、あの騎士馬鹿なのか?」
全く同感だ。あの騎士は馬鹿なのか?って言いたくなるね。
「なー、ジャック。もうそろそろ魔王軍最新鋭の隼が来るからそいつらと貴族とか殺してきていい?」
え?隼来ちゃうの?
あの魔王軍のトップ10の猛者達が?
完全にこの国滅ぼすつもりだろ。
まあ、どうせ滅ぼすつもりで魔王にこの場は任せるけども。
「貴族ならば構わない。だが、人を選べ。悪政をしている貴族、または奴隷に なことをしているやつは容赦無くやってもらっても構わない。ただ、一般市民等には極力手を出すな。出していい場合は義勇兵など兵を繰り出してきたのみ殺しは許可する」
一般人はただの被害者になるからな。
だいたいいちいち一般人まで殺す時間がないのもある。
「わかった。じゃあ僕は雷斗と隼の皆で東側の貴族を失脚させてくるからジャックは中央、叔父さんは西側、ワーミンさんは北側お願いします」
魔王はそう言って雷斗を連れて身体強化などで持ち前のマントを羽みたいにして飛んでいる。雷斗は聖剣に力を借りながらなんとか追いついている感じで東側、東海岸の砂浜沿いを駆けていった。
「じゃあ、私は行ってくる。集合は明日の朝四時で」
元魔王は手の甲にある契約証を展開してヴリトラを召喚した。そして、元魔王はヴリトラに乗って雷斗とは逆の方角へと飛んで行った。
「じゃあ兄さんはーーあれ?」
ワーミンはもうそこにはもういなく、1人で向かったようだ。ジャックは自分が一番最後に行動を起こすことになったのかと思いながら中央、神聖ミレルヴァ帝国、帝都アトランディに転移した。
◆ ◇ ◆
「じゃあまずは貧民街の人達から助けに行くか」
ジャックはそう言いながら歩いて関所へ向かった。
そして、そこにはやはり騎士団の隊長クラスの人がいた。だが、その人はいびきをかきながらねている。だから、全く意味のないことになっている。ジャックはそれを見て"本当にこの国の騎士団って駄目だね"と思いながらも目の前を通り過ぎようとした。
その時、ジャックの顔スレスレのあたりに弓矢が過った。それは、関所の壁に当たる否や、壁をぶち抜いて関所が半壊した。
関所はドガガガガガガガという音を立てながら徐々に倒壊して行く。
それを見てジャックはあまりの威力で口が開いたままになっている。
「ちっ。はずれたか」
その騎士は寝てたのではなく、寝たふりをしてジャックを狙ってすでで弓矢を飛ばしたのだ。
ジャックは何か、魔力の気配が横からしてギリギリで避けたが、本当に危機一髪と言っても過言ではないくらいのことになった。
「その紋章.....まさかギルドランクSSの『チーム夜桜』に所属する弓矢の使い手で有名なグランか!?何故お前がこのようなところにいる?」
ジャックはその騎士だと思われる人の手にある紋章を見てまさかだと思ってその人に聞いて見た。
ちなみに、ギルドではチームごとに紋章、印が作られ、夜桜だと桜の紋章、ΩだとそのままΩ、月光だと月などの紋章がつけられる。
そして、夜桜の弓矢の使い手は素手で弓矢を飛ばすことで有名な人で、その威力はカラードラゴンのブレスと同等ならしい。
なので、ジャックが避けてそれが壁ぶつかったとしたら、当然吹き飛ぶのだ。
「ほう、俺の名前を知っているか.......で、俺が何故ここにいるか?それは、この国に恨みがあるからだ。俺はお前と同じアトランタ国出身だ。その国を潰したこの国が憎い。だから騎士団に入って内部から壊してやるのさ」
グランは淡々とジャックにそう告げる。
「だが、現実は甘かったな」
「だろうな、例えこの国の女王であるものでもお前の存在は知っているだろう。そして、そんなグランに朗報だ。2日後、この国に魔王軍及び、その連合軍が攻め入ってくる。戦争期間は5時間。それぐらいやったら片付くだろう。その後、片付いたらこの国を連合軍で管理し、有る程度自立可能になったら解放するつもりだ。だからお前、グランもまず貧民街の連中を助けるのを手伝え」
ジャックはグランの腕を引っ張って関所を出て貧民街に降り立った。
貧民街は名前の通り、貧民層の人が住んでおり、よく犯罪が起こる地域だ。
近くには大監獄、アトフィクラル監獄という監獄があり、よく犯罪者が送られて行くというのがわかるくらいなところでもある。
後、こういう治安の悪いところにはもちろん、マフィア的な人々が存在し、よく人攫いなどが行われている。
「やっぱりここってやばいな」
ジャックはあまりの匂い、様子にそういった。
「当たり前だ。そんなことより、早く金銭ばら撒くぞ」グランはそう言って魔法で大きな塔を作ってジャックと共にそこに登った。
そして、
「自由の欲しい者、早くこんな人生から抜け出したい者よ!!我らと共に戦い、この国の王族を追い出そうぞ!我らと共に戦いたいものは手をあげろ!!最後まで生き残ったものには白金貨3枚やる!どうだ?」
とグランがそういった。そして、白金貨5枚分の銀貨を下にばら撒いた。
その声、金を見たものはぞろぞろと集まり、武器を手に取った。
そして、銀貨を何枚かとって言って帝都の方へぞろぞろと向かって行った。
「じゃあ、グラン。俺はこの貧民街の人達を助けてから戦場に向かう。だから指揮を頼んだ!」
ジャックはそう言ってこの地域一帯の病気浄化し、グランの後を追った。
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その頃、元魔王は
「流石私の契約獣であるヴリトラだ。これで貴族を全滅出来たぞ」
とヴリトラに感心しながら、この国の重要機関を破壊し、軍人及び騎士団を投降させて南側に進んでいく。
元魔王曰く、貴族は屋敷ごと焼き払えばいいんだ。
貴族は豚しかいない。
豚を殺しても殺人とは言われない。
豚は殺すべき生き物なのだ。
と、次々とブレスで焼き払っていく。
「ん?」
元魔王はしたが騒がしくなっていたので下を見てみると何時ぞやの神聖グランディン國の勇者である比良概羅 魔裟斗がそこにいた。
「おい、魔王ヴィールン、何故お前がここにいる?何故遠く離れたこの国を襲うんだ!?」
「いや、私は魔王ではない、現魔王の友達な頼まれてな、この国を一時期属国化するためにこう私が貴族類を焼き払っているのだ。例え数ヶ月戦ってきた仲と言っても邪魔をするなら容赦無く殺すぞ?」
元魔王ヴィールンは魔力を湧きただしながら勇者魔裟斗にそう言う。
「殺れるものなら殺ってみろ」
勇者は元魔王(歴代で2番目に強い)ヴィールンを挑発しながら山々があるところへヴィールンを誘った。
「いいだろう。だが、死んでも後悔するなよ?」
魔王はそう言って闇魔法で上空に隕石を出現させ、それを勇者目掛けて落とした。
隕石はドドドドドドっとクレーターを作っていく。
そして、そのうちの数個が勇者魔裟斗の方へ飛んで行ったが
「【比良概羅流八式、天空斬り】」
魔裟斗がそう言った瞬間、隕石は真っ二つになって魔裟斗の目の前で砕け散りながら落下した。
「ほう、私の隕石落下を防いだか。ならこれは防げるかな?【我、元魔王が命ずる。この地の闇の力を増幅させ、その力を刀とし、それをここに示せ、闇剣】」
魔王は何本もの闇の力で出来た剣を魔裟斗に斬りつけて行く。
魔裟斗はそれを優雅にかわし、雷斬りをして魔王の首をはねようとしたが、物凄い速さで飛んできた石によって魔裟斗が吹き飛んだ。
その石はあまりの速さで流星の如く、光と熱を放ちながらここまでやってきたのだ。
そして、この石によって魔王はあることを思い出した。
一般市民を巻き込む戦いをするな。と。
それを思い出した魔王は吹き飛んで失神している勇者を担ぎ、ヴリトラで帝都へ飛んで行った。
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「間に合ったか。雷斗とも合流したし後はワーミンだけだな」
ジャックはワーミンの向かった方を見ながら言った。だが、この時ワーミンは呑気に城下町でお食事中だった。
ワーミンは素早く片付けると名物の海鮮丼を頼んで食っていたのだ。
だが、ワーミンは知らない。
これがジャックには筒抜けでジャックが微妙に笑みを浮かべていることを。
「さあ、ワーミンをほっておいて帰ろうじゃないか。後、ヴィレオス、頼んだぞ」
ジャックは予定より早く魔導艦に乗って会場へ戻った。
そして、数時間後、ワーミンは集合場所に戻ったらしいが、艦隊がなく、仕方なしに高速船で帰ったとさ。
そして、同時刻、会場で盛大なパーティーがあったそうだが、そこにはワーミンがいなく、さみしい状態になっていた。




