カナリア湖 水鳥vs雷斗、ジャック、フラン、ティア
「..........!?」
「いや、だからあれは釣れたのかって聞いてんだよ」
何故か雷斗が俺の目の前でガタガタと震えている。何故だ。そんなに空から降ってきた俺が怖いのか?いや、ただ寒いだけか。
「雷斗.....お前、寒がりなんだな。早く戻らんとな」
本当、どんだけ寒がりなんだよ。今、夏だぞ?..........もしかして俺今血まみれ?
ジャックは自分の服を見るがそこには何もついていなかった。
「あ、ジャック、雷斗何し.........」
今度はフランが来たがフランも黙ってしまった。何これイジメなのか?俺のどこが黙る原因なんだよ。ん?さっき頭に何かぽつっときたような........
ジャックは試しに後ろを向いて見た。すると、そこには体長3mぐらいの水鳥がいた。
その水鳥は雷斗たちを睨みつけ、雷斗達は蛇に睨まれた蛙みたいな状態になっている。
ジャックはそれを見て見て見ぬ振りをしてフランと雷斗とティアを引きずりながら魔車に戻ろうとすると、水鳥が念話で怒りの剣幕で話しかけた。
『我が聖域を穢した者はどこだ?』
そう言いながら、水鳥はその鋭い目で雷斗やジャックを睨む。
そして、順番に一目みたところ、水鳥はあることを思い出した。そのあることとは、あの遺跡に青龍刀があったことを。
それを思い出した水鳥はジャックの目の前に羽ばたいて『我が聖域を穢した者とは貴様のようだな........我の聖域を穢した罪は重い。貴様には今すぐこの世から消え去ってもらうぞ、【我、この世の湖を清くする鳥獣が命ずる。我が生命力を糧に彼の者をこの世から弾き飛ばせ、排除】』と言った。
ほう。5大鳥如きが調子に乗りやがって。
『【我、この世を指揮するもの、7大龍の契約者がこの世の炎を祀る神に命ずる。その爆炎の炎を使いてこの世の地を祀る神の土を用い、ここにその力を示せ、風林火山】』
すると、ジャックの手の平から淡い炎等が出てき、それをジャックは水鳥に向けて物凄い何かの玉を投げつけた。
『ふん。小僧が舐めやがって!我、聖域を見守るもの、水鳥がそれぞれの使い魔に命ずる。ここに姿を現し、彼の者を数で押し殺せ、魔軍勢』
その球、ジャックの攻撃と水鳥の使い魔がぶつかり合い、それらは打ち消しあった。そして、そこを中心に爆発が起き、周囲の木々が消し飛んだ。これにより、水鳥は若干負傷したが、ジャックは無傷だった。
「随分と哀れのようですね。水鳥。後、貴方はわからないのですか?私は1人ではありませんよ?」
ジャックがそう言うと、水鳥の上空から聖剣を持った雷斗が現れ、『我、この世の終焉を喰らう者を退治し者、聖剣使いが命ずる。ここで彼の者の世界(人生)を断ち切り、同時に再生させよ』と詠唱し、水鳥の首に聖剣を振り下ろした。
『ちっ。勇者如きが舐めやがってッ!【我が使いし水の精霊らよ、ここに諸刃の剣を出現させ、聖剣を弾き飛ばせ】』
が、それはギリギリ水鳥に防がれ、雷斗は湖に突き落とされた。
『ふっ。この世代の勇者はこんなものなのか。堕ちたものだ。お前の未熟さはいずれ仲間のしに繋がるであろう』
水鳥はそういい、雷斗を殺そうとする。
「や、やめーー(俺はここで死ぬのか?あの世界で逝けないのか?俺の望みは叶わないのか?だが、これであいつらの命は伸びただろう。悔いがないと言えば嘘になるが、ここは悔いはないとしておこう)」
水鳥がくちばしでつかんでいる氷の柱を雷斗の首めがけて飛ばした。それにより、雷斗は死を覚悟した。そして、氷柱が雷斗の首に当たりかけたその瞬間、氷柱が砕け散った。
「!...........あれ?生きてる!?」
雷斗はまだ自分が生きていることを喜び、また何故自分が生きているかを考えた。なぜ、雷斗が生きていたのか?それは雷斗の首に氷柱が当たりかけた時、ティアが契約獣の力を借りて氷柱を砕いたからだ。それによって雷斗は傷がつかず済んだのだ。ティアは雷斗の恩人となったのだが、魔力が残り10%を切ったみたいなので今は失神している。
「まあ、あれだ。確かに俺らは人間だ。だが、人間だからと言って5大鳥より弱いってわけじゃねぇだろうがよ!!」
ジャックは水鳥にそう言い放ち、地面に本気の蹴りを入れた。それにより、地面は大きく地割れが起き、陥没した。さらに、湖の水は湖から溢れ出し、地震が起きた。そして、そんなこともあってか水鳥はいつの間にか転倒していて、ジャックは水鳥目掛けて光の超級魔法【光線】を放とうと手をかざす。
ああ、本当にこいつは哀れな奴だ。俺はその無駄なプライドをぶち壊す!!
そして、ジャックは「お前の自慢なくちばしの保証はできないが、絶対に避けろよ?『この世の希望を生み出し神よ、我との契約の証を認し、ここに我が望みし攻撃、光線を生み出し我が敵、水鳥のくちばしを切り落とせ』」ジャックが唱え終わると威力を増している光線がジャックの手から水鳥に向けて放たれた。これにより、水鳥は避けようとしたが避けるほうを間違えて光線は胸からは若干ずれたが肩に命中したため、一時的ではあるが当分は飛ぶことができなくなった。
それを確認したジャックは興が冷めたのか、立ち上がって破壊の詠唱をとなようとすると、雷斗がジャックの目の前に立ちはだかった。
「なんのつもりだ雷斗」
ジャックは雷斗に殺気を出しながらそう問う。雷斗はその殺気でガタガタと震えながらもその問いに答えた。
「.......もう、いいじゃないか.......もう十分仕返し、しただろ?ジャック。これ以上攻撃すると、水鳥が死んじゃうじゃないか!!俺は、誰かが死ぬところを見たくない!!だから、俺は誰も絶対に殺させない。絶対に殺させないんだ!!」
雷斗は勇気を振り絞ってジャックに応えた。もう雷斗を死を覚悟しているのか目をつむり、ジャックの前で震えながら立っている。その行動を見た水鳥は『少年!やめろ、やめるんだ!!』とテレパシーで話しかけている。
誰も殺させない........か。
ジャックは心の中でそうつぶやき、立ち上がった。そして、殺気をやめて「雷斗、帰るぞ」といいそのまま立ち去ろうとした。が、後ろから謎の人物が現れ、ジャックの足を止め、ジャックはその人物の方に振り向いた。
「はあ、聖域の危険だと思ったらこれかぁ。ま、そんなことより久しぶりだね。ジャック」
「お前はあの時死んだはずだろ!?」
その人物はジャックのことを知っていた。そして、ジャックもその人物のことを知っていた。その謎の人物とは如何に......?
前の続きなので前から読んでいただけると…