カナリア湖1 ジャックの過去
日鳥、火鳥、水鳥、闇鳥、飛鳥…5大鳥
夕食を終えたジャックは地面に魔法陣を描き、そこに魔車を止めて自分が寝るところにはもっと強度な結界を張り暗闇の中で薄く黄色く光っている月をみていると、雷斗が口を開いた。
「本当、綺麗だよな。あの月」
「ああ。星というのは実に神秘的で謎が多い。そして、何よりも綺麗だ。けど、それがどうしたと?」
確かに星は綺麗だ。けど、偶に馬鹿がいる。星を使って大陸を落とそうと魔法陣を書く馬鹿が。まあ、それは大抵星の動きや、星の消滅。新しく生まれた星。によって阻止され、秘密裏に暗殺されるんだけどね。でも、それがどうしたんだろう?
「黄色くて丸い月。ああ、もう一度あそこで眺めたい。どうして俺はここでしかこの空を望めないのだろう?どうして俺は勇者になったのだろう?早く故郷に帰りたい。そう思うだろう?ジャック。故郷というのはいいものだ」
故郷はいいね〜。あの出来事以外素晴らしかったよ。.........あそこ?
「もしかして、自分が少し前まで暮らしていた世界のことか?」
「もちろん」
やっぱりそうか.......正直言ってこのことを言っていいのだろうか?もう、あの世界に帰れないと。一応帰れないことはない。けど、それを実現するにはこの世界に散っている神々を集めなければならない。いつになるかわからないことだ。
「帰れると、いいな。故郷に。あの時スマートフォンだったか渡してもらって少し情報を見させてもらったけど本当に平和で楽しく暮らせそうなところだな。俺ははっきり言って羨ましいよ。そんな過去を持っていて」
素晴らしい。素晴らしかったよ。10歳の時まではね。このような力を持っていた俺を支えてくれた父と母が兄と姉によって殺されるまではね。
本当に思い出すのも辛い。そして、父と母が亡くなったら今度は俺が殴られ、蹴られ、殺されかけた。
毎晩必死に神聖魔法で回復した。そして、回復したと思ったらまたおもちゃ、玩具のようにもて遊ばれてもう散々なことでしたよ。だけど、そんな俺を救ってくれた人がいる。
それは、65代目魔王カレント。彼は偶々この地の下見をしに来ていてそれもまた偶々怒声が聞こえ見てみると俺が虐待?されているのを発見して。保護された。
そして、魔王城でいろいろなことを学んだ。その事件から4,5年後彼は何処かへと旅に出た。俺も着いて行こうとしたけど阻止された。また、孤独。そう思った俺は手紙を残してギルドに加盟。
1,2年かけてようやく史上初めてのSSSランカー入り。その後久しぶりに事件のあった地に戻ってみると兄と姉がまだいた。
その時、あの時感じた恨みがふと蘇ってきて俺は思い出と負の思い出が詰まっている屋敷の周りにある森に炎龍の炎で燃やして去った。後日見てみると兄と姉はいなかった。それでよかった。と思ったら後ろにある人物が。それは俺の兄、ワーミン・アトランティスが俺の頭を掴み、岩に叩きつけようとした。そう、兄は知っていたのだ。いずれ俺が復讐しに来ることも。兄は暴れている俺を見てすぐ手を話した。其の後、俺が頬を殴っても抵抗しない。気が済むまで殴り続けた。そして、兄が死ぬまで殴り続けた。その時、兄はこう告げた「あの時は悪かった。俺は今、罰を受けている。当たり前のことだ。自分の両親を殺してまでも弟、お前をあの魔の手から助けようとしたのだからな。お前からしたら俺はまるで殺人鬼で許す気などないだろう。だが、嘘でも心の中で少しでも許してくれ。俺のことを......」
やっと意図がわかった。後悔した。何故、兄を殺したのかと。そして、同時に疑問が生じた。魔の手とはなんぞと。........ああ、悲しい。雷斗の気持ち、重々わかる。それはさておき話題を戻す。
「そうそう。お前は知りたいか?あの世界のことを」
「ああ、話してくれ」
雷斗はジャックに向かってそういった。そして、ジャックは雷斗に地球のことを語ってもらった。
「じゃあ俺もお礼となるかわからないが、俺が知っている異世界へ転移する方法だが、雷斗、お前は世界龍をしっているか?その龍を頼れ。その龍は7大龍よりは実力が怠るが世界学はどんな世界の生き物よりも詳しいだろう」
「ありがとう」
「さあて、俺は寝る。お前も早く寝ろよ?」
ジャックは雷斗に告げて意識を手放した。
◆ ◇ ◆
久しぶりに悪夢を見てしまった。はあ、やっぱり負の思い出はいかんな。
ジャックは心の中でそう思い、地べたから立ち上がった。
まだこいつらは寝ているみたいだし朝食の準備......そういえばスマートフォンだったかそんなかに美味しそうな料理の情報が入っていたな。確かたこ焼きだったか本当に美味しそう」
ジャックは小声で独り言を言い、自分のバックの中を漁り始めた。
「っしゃ!見つけた」
ジャックは小麦粉と何処かで釣ったタコと何処かでもらったソース(未開封)を取り出した。
未開封だから大丈夫だよね。きっと。でも、俺が食うわけではないから別にいっか。
ジャックはそう思いながらレシピを思い出しながらそれを作っている。
「器を作り損ねた【我、力の源である魔力を糧にここに鉄鋼で出来た器を出現させよ】」
ふぅ。出来たぞ。後はこれを流し込んで.....
..................よし、完了。これであいつは少しでも故郷を思い出せるだろう。あ、枕元に赤い靴下も用意しておこう。そして、その中に。
「お、おおお起きたんか、雷斗」
俺がそう言うとどうした?とでもいっているかのように首を傾げた。そして、雷斗は俺が作ったたこ焼きを見た。
「これ、誰が作ったん?」
「俺。ああそれ食っていいぞ(腹壊しても知らんがな)」
ジャックがそう言うと雷斗はたこ焼きを食い出した。そして、ジャックはこう思った。
ふふふ。腹を壊しても知らんぞ。いやー、今日も平和だ。と。
※赤い靴下…クリスマスの時のプレゼント袋。季節、全然違うんだけどね。
やっぱカナリア湖は普通通り?