15場面 トイレ!?
「ん?ここは?」
僕が目を覚ますとそこは…トイレの個室だった。
しかも、ご丁寧に便座に座っている。ちなみにズボンは下ろしていない。
「何でトイレ?ていうかここから出よ」
僕は個室の扉を開けた。
目の前に蛍光灯を頭に乗っけたおっさんが立っていた。僕はちょっとひきぎみに言う。
「ここは何処なんですか?」
おっさんは答えた。
「天国さ…。ふっ…」
「何キザに冗談ぶっこいてんだよ!」
「ホガッ!」
僕はおっさんを殴り飛ばした。
「冗談ではない。私は天使だ」
全くダメージを受けていない様子だ。
「じゃあ、あんたの頭に着いてる蛍光灯は天使の輪か!?しかも、何でトイレからスタート何だよ!天国というよりある意味地獄だろ!」
「そういう捉え方もあるさ」
無性に腹立たしい口調でおっさんは言う。
「じゃあ、僕はいつ死んだんだ?何時何分何十秒地球が何回廻った時だ?」
「お前が死んだのは一時二十二分四十五秒地球が二十億千十八万五千四十二回廻った時だ」
答えた!?しかも、筆者無駄に漢字で書いたから読みにく!
「そうか…僕が死んだの一時二十二分四十五秒地球が二十億千十八万五千四十二回廻った時か…」
「そうだ。お前が死んだのは一時二十二分四十五秒地球が二十億…」
『もうええわ!』
は!筆者が止めてくれなかったら一生続いていた。危ない危ない。
「でも、天使さん。僕はまだ死ねないんですけど…」
「そうか…。では現世に戻りたくばトイレに流されろ!」
何?生死の境をさまよって生き返る人ってトイレにながされてたの?ていうかそんな簡単に生き返らせていいのか神!ついでに何で最後の方は命令何だ!
うーん…と言っても後ろにあるのは普通のトイレだ。現に僕はさっきまで座って…。
えぇ!?でっかくなってる!?
さっきまで普通のトイレだったのに…。
「さぁ、現世に戻りたいなら早くしろ。早くしないとお前の体、焼却されるぞ」
「焼却?ていうか普通こういう場面ってだいたい時間が止まってないですか?」
「いいから早く行け」
そう言っておっさんに蹴られた僕はトイレに落ちた。
「さらばだ。息子よ」
「え?今何て?」
(ジャー)
おっさんがレバーを回したらしく僕はトイレに流された。
また、目が覚めた。
何かガタガタいってる。車の中みたいだ。しかも、何か箱の中に僕は入れられて…。って!もしかしてもしかすると僕、霊柩車に乗ってる?
冗談じゃない!
僕は蓋を無理矢理開けて車が信号か何かで止まった空きに車から降りた。
僕は白装束を着ている。これはやたらと目立つ格好だ。幸いまだ家からそんなに離れていない。
僕はダッシュで家に向かった。途中通行人にジロジロ見られたが気にしな…い。
家に着き、服を着替える。鍵はどうしたかって?合鍵があるのよ合鍵が…。
霊柩車に乗っていたという事は葬式はもう終わったという事かな?
って事は僕は今死んでる事になってるのかな?
じゃあ皆にちゃんと生きてるっていわなきゃね。
(ガチャ)
僕が家を出ようとした瞬間扉が開いた。
「遠…志…?」
可視さんがそこに立っていた。可視さんは目が潤んできている。
「遠志のばかぁ!何で死んだり何かしたのよ!」
泣きながら僕に抱きついて来た。いつもならここで体温が急上昇して倒れるのだろうが今はそうも言っていられない。
「ごめん…。でも僕…ちゃんと生きてるから…。可視さんの側に居るから…」
そう言って僕は彼女を抱き締めようとした瞬間。
「ん?遠志?お前何で生きてんだ?」
啓だ。空気読めよバカ野郎。こういう所にはすんなり入ってくんな。僕は彼女を抱き締めるのを止めたが彼女は止めない。
「おぉ。何か知らないけど生き返った」
「どうやって?」
「神の気まぐれ…かな?」
「何だそりゃ。まぁいい、皆にも言ってくるわ」
啓は去って行った。ていうか普通驚くだろ。何で平然とした態度で僕と話出来んだよ。
その後可視さんは黙ったままだった。他の皆が来て僕を見たが皆も啓と同じで普通に対応してきた。
いくらコメディーだからってこれはいくら何でも…。
この時僕はまだ気づいていなかった。自分の父親が天使だか神だか分からない物だと言う事に…。