13場面 新たなる出会い
さて、今日は学校の朝の時間。そういえば僕のクラスの担任を紹介してなかったですね……。
名前は
「川岸 蔵子」…。天然なんだか、作ってるんだか分からない。今は転校生が来るらしいので紹介をしようとしているんですが……。
「え〜っとですね…今日皆さんに転…校……なんとかが来ています」
転校なんとか!?何だそりゃ!?転校生っていう単語が言えない人この人以外に一人も居ないでしょ!
「では、入って来て下さい」
(ガラッ)
教室の扉を開けて転校生が入ってきた。
女の子だ。か…可愛いぞ…。
「始めまして!『尚早院 紗香』です!」
「おぉ〜!!」
クラスの男子全員から歓声があがる。
「藤宮君!ひっさしぶり!」
男子が全員僕の方を見る。
「は?」
「忘れちゃったの?よく一緒に遊んだじゃない!中学生の頃!」
「あ!紗香!?」
「思い出した?」
思い出した…思い出してしまった……。こいつには小学校から中学校まで散々つきまとわられた。
「お前…何故ここに……」
「偶然だよ!ぐ・う・ぜ・ん!」
「偶然ってお前……ん?」
クラスの男子の視線が恐い。目がヤバいぞぉ。逃げた方がいいかも…。
「先生!僕ちょっとトイレ行ってきます!」
「「「「待てぇ〜!遠志ぃ〜!」」」」
クラスの男子が僕を追って来る。
「僕は悪くな〜い!」
全速力で校内を逃げる僕。何か最近こんな事ばっかだなぁ…。
とりあえず皆をまいて屋上に来た僕。
「ふぅ〜。何で最近女の子が周りに集まってくるんだ?」
「え?そうなの?中学校の時は全然もててなかったのに!」
「うわぁ!何でお前がここに!?」
紗香が僕の後ろに立っていた。
「ふふふ。遠志が考える事は全部分かるんだよ!」
「それにしても、皆の前で幼なじみだってばらすなよ。色々とめんどくさいんだから」
「え?そうだった?ごめんね」
たいして反省しているようには見えない。それどころか目が輝いている。
「そういえばお前。何で転校なんかしてきたんだ?」
「父親の都合だよ。あたしのお父さん今色々とあるから…」
マズイ事を聞いてしまったか?少しうつ向く紗香。
「いや…何か悪い事きいちゃった?」
「大丈夫……お父さんが仮病で会社休んだ事がばれて会社を転勤させられただけだから……」
「……」
それは大丈夫なのか?ていうか仮病使って会社休んだのか?お父さん……。
と、そこに
「おーい!遠志ぃ!」
啓だ。屋上への扉を開けて入ってきた。
「何だ…啓か…」
「何だとわなんだ!なんだとわ!。お!そこに居るのは今話題の転校生!確か…紗香ちゃん!」
「あれ?もうあたしの事知ってるの?」
「可愛い子の顔と名前は忘れない!」
「いやぁ、照れるなぁ」
「照れるな!ていうか啓!お前は変態だ!」
「いやぁ!照れるなぁ!」
「褒めてねぇよ!」
啓の相手は疲れる…。しかも、ど変態だ。
「紗香…こいつには気をつけろよ…何されるか分からないからな…」
「……分かった」
「さ……紗香ちゃん!?こいつの言う事を真に受けたら駄目だよ!俺は至って普通の…」
「うっさいわ!行くぞ紗香!」
僕は紗香の手を引っ張って屋上を出た。
「俺っていつもこんな役ばっかり……ううっ」
啓が泣いていたのは気にしなかった。
最近、僕ってS?
皆に追い回されているうちに学校が終わってしまっていた。こんな事で大丈夫なんだろうか?
可視さんも、もう居ない。僕が教室に居なかったから帰ってしまったのか?
「遠志。久しぶりに一緒に帰らない?」
「え?……」
考えろ。僕には可視さんが居る。可視さん以外の女の子と帰っていいのだろうか?
でも、ただ帰るだけだし友達、というより幼馴染みが一緒に帰るというのも別に変では……。仕方ない折角久しぶりに会ったんだし帰ってやるか。
「いいよ。一緒に帰っても」
「本当!?やった!」
という事で一緒に帰っております。何か久しぶりだと少し恥ずかしいです。と言っても前は紗香が勝手に付いてきてる感じでしたが…。
『それってストーカーじゃない?』
何で筆者が突っ込みを?
『絶対、読者の皆さんが画面をみながら突っ込んでるから』
ではその突っ込みに答えましょう……ストーカーでした。別に怖くはなかったですけどね。
だから紗香にとっては僕からOKしてくれるのはとてつもなく嬉しい事なんだと思います。
だってその証拠に……
紗香の顔がいっちゃってる!にやけ過ぎで!
「おい。大丈夫か?」
そう言って紗香の顔の前で手を振ってみる。
「……」
反応無し!だけどこの前の沖坂の時のように蹴る訳にもいかないしなぁ……。よし!
「正気に戻らないと僕。どっか行っちゃうぞぉ!」
「え?嫌!ちょっと待って!」
我に帰ったかのように紗香が普通の顔になりました。
「大丈夫か?お前?顔が昇天してたぞ?」
「大丈夫!多分…」
「多分って、おい…」
しかし、それにしても紗香が可愛くなっていた事には驚いた。紗香から久しぶり!って声をかけられなければ気がつかなかったと思う。前は眼鏡をかけていてブスっていう感じまではいかなかったがもう少しおとなしかったような記憶がある。今は元気100%みたいな感じだし、眼鏡もかけていない。
女の子って少し会わない間に変わるものだと思いしらされました。
僕の家の前に着くと可視さんが家の前に居ました。
これはマズイ!女の子と一緒に下校している所を見られてしまっては、いくら言い訳をしようが多分怒らせてしまう!
僕は家に着く前に立ち止まり紗香を連れて違う道に入った。
「そ…そういえばお前の家何処?」
焦りからか僕は少し動揺している。
「うーんとね。この道を少し行った所!」
「へぇ〜。じゃあ僕と家が近いんだ」
「え?そうなの?じゃあちょっと偵察に…」
「偵察って何だ!偵察って!僕とお前は敵同士か!?」
「冗談だよ!冗談!じゃああたしはこの辺で帰るよ!じゃあね!」
紗香は走って行ってしまった。
「お…おい。まったく…」
とりあえず一段落して家に帰る。家の前にはさっきと同じ可視さんの姿。
「可視さん!待っててくれたんですか?」
「う…うん。まぁちょっとね!」
可視さんはたまに優しい所を見せてくれる。それがまたいい。
『お前は変態か!』
筆者うっさい!今回突っ込み多すぎ!
『ふふふ。俺の出番も少しは増やせ!ていうか増やして下さい!』
駄目!
『そんなぁ〜!(ド〇えも〇のの〇太風)』
そんな事より少し紗香にドキッとした僕はどうしたらいいんだろう。