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第1話 ついに始まる物語

紫皇院一族にてある決断が下される。


詳しくは本編にて。

第1話 ついに始まる物語




紫皇院一族本家:


 そこでは一人を大勢で囲んで暴行が行われている。

「お前みたいな出来損ないが俺たちの役に立てるんだ簡単に壊れるなよ。」

 集団のリーダーが暴行を受けている相手にそう言った。

「そうだぞ。

 俺たちはこれから紫皇院一族の繁栄を支えていかなくちゃいけないんだから少しでも魔法の練習をしなくちゃいけないんだからな。」

「「「「「ハッハッハッ…。」」」」」

 暴行を行っている者たちが倒れている相手に笑いながら魔法を放とうとした。

「何をしているのですか!!」

 一人の少女が怒りの篭った声で少年たちに声をかけた。

「さ、桜様!!

 こ、これは…その…。

 ま、魔法の訓練です。

 訓練すれば剣様も魔法が使えるようになると思ったもので…。」

 リーダーが桜にそう答えた。

 しかし、リーダーが話すにつれて桜の目は鋭さを増していた。

「あなた方がそのようなことをしなくても結構です。

 自分の魔法も制御しきれていないものが人のことにかまけている場合ですか!!

 自分の訓練をしなさい!!

 お兄様の訓練には私が付き合います!!

 あなたたちは自分の訓練に行きなさい!!」

 魔力をあふれさせながらそう言った。

「「「「「は、はい!!」」」」」

 少年たちはあふれ出している魔力に恐怖を感じその場を後にした。

「今すぐに治療いたしますねお兄様。

 自然治療(きゅあ)。」

 桜が治療用魔法を発動させると剣の体が光だし体の傷や服が暴行を受ける前の状態へと戻った。

「何でここに来たんだ桜。

 あいつらのことだから気が済んだらどこかに行くのはいつものことなのに。」

 動けるようになった剣は桜にそう言った。

「いつもあのようなことをされていたのですか!!」

 桜は剣がいつもあのような暴行を受けているとは思わなかったため驚きの余り声を出してしまった。

「そういえばお前は知らなかったんだったな。

 なら、今言った事は忘れろ。」

 剣は桜がいつも自分が暴行されていることを知らなかったことを忘れていたため言ってしまったため忘れるようにといった。

「そんなことできません!!

 このことはお父様たちはご存知なんですか?」

「はあ…。

 この家で知らなかったのはお前だけだよ。

 いつもは母上が治療してくれていたからお前が知らなかったんだよ。」

 剣は桜に真実を告げた。

「そ、そんな…。

 知っていてお父様たちは何もしないのですか?」

「母上は何度も父上に止めさせるように言ったが聞き入れなかったんだよ。

 それに、母上は無能者を産んだという事で立場も悪いからな。

 だから、せめてお前には知られないように気を配っていたんだよ。

 それにしても何でお前はここに来たんだ?」

「誰かが魔法を行使していることを感じたため何があったのか確かめようとして…。」

 桜は顔を青くしながらも剣の質問に答えた。

「そうか。

 なられからは誰かが魔法を行使しているのを感じても来ないことだ。

 そうすればこんなことを見なくて済むからな。」

「そんなことできません!!

 今決めました。

 今日から私はお兄様のそばを離れません!!」

 桜は顔は青いままだが決心を口にした。

 しかし、

「止めておけ。

 お前の立場も悪くなるだけだぞ。

 お前はこれから紫皇院一族を背負うんだから俺みたいな無能者にかまっていないで魔法の訓練に集中しろ。」

「嫌です。

 たとえ立場が悪くなろうとも私はお兄様のそばを離れません!!」

「はあ…。

 それがどういうことになるかきちんと理解しているのか?」

「どういうことですか?」

 桜は剣が何を言っているのかが理解できなかったため聞き返した。

「お前が俺にかまっていると母上がそうさせているんだと周りの連中が考えて母上の立場が今以上に悪くなるんだよ。」

「そ、そんな…。」

 桜は自分の行動で椿の紫皇院一族での立場を悪くしてしまうと知りショックを受けた。

「だからこれからはお前は俺に関わるな。

 いいな。」

 剣は自分の言いたいことを言ったため桜をその場に残して去った。



剣の自室:


「剣今いいかしら?」

 部屋の外から女性の声がした。

「かまいませんよ母上。」

 部屋に来たのが母である椿であったためそう答えた。

「今日もまたあったのね。

 ごめんなさいね、魔力を持たないままあなたを産んでしまって。

 魔力さえあればこんなことにはならなかったのに…。」

 椿はいつものように涙声で剣に謝った。

「母上俺は気にしていません。

 それに、子供の魔力を親が決めて産むことはできないのですから母上は何も悪くありませんよ。」

 剣は椿を見ながらいつもとは違うやさしい笑顔を向けながらそう言った。

「剣…。」

 椿は剣を自分の胸に抱きしめた。

「それよりも母上、困ったことがありました。」

 剣は椿から身を話し今日あったことを話そうとしたが、椿は剣が離れようとしていることを感じ取りより強く抱きしめたためその状態で剣は話し始めた。

「困ったこと?

 何があったの?」

 椿は剣にやさしく問いかけた。

「桜に暴行されているところを見られてしまいました。」

「そう。

 ついに知られてしまったのね。

 いずれ知られると覚悟していたけどこんなに早く知られるなんてね。」

 二人の間に沈黙が下りた。

 しばらくして椿は剣にあることを話し始めた。

「剣、私は決めました。」

「何をですか母上。」

「一緒にこの家を出ましょう。

 そうすればあなたは傷つかなくて済むわ。

 私と外の世界で幸せになりましょう。」

「でも母上、桜はどうするの?

 それに俺のことは気にしなくてかまいませんよ。」

「桜は大丈夫よ。

 私たちがいなくてもこの家や一族の者たちがいるからね。

 私はあなたが傷つくことに耐えられない。

 それに、この一族にも愛想が付きました。

 だから出ていこうと決めました。

 剣あなたは私と一緒に来てくれるわよね?」

 剣は椿の真剣な瞳を見て決心をした。

「うん。

 俺は母上と一緒にこの家を出て行くよ。」

「ありがとう剣。

 それでは今日その事を告げて明日にでも出て行きましょう。

 だから準備をしておいてね。」

「わかりました。

 すぐにでも準備を整えます。」

「ええ、お願いね。

 私も準備してくるわ。」

 そして、椿は準備をするために部屋を出て行った。

 剣は椿が出て行くまで見ており出ていたのを確認してから準備を始めた。




紫皇院本家居間:


 そこには一族の大人たちと椿、剣、桜がいた。

「私と剣は明日にもここを出て行きます。」

 椿は紫皇院頭首である紫皇院源一郎にそう告げた。

「好きにしろ。

 お前もその出来損ないもわれらには必要ないからな。」

 源一郎は妻と息子にそう言いはなった。

「ありがとうございます。

 それではこの離婚届に氏名を書いて判を押して役所に出しておいてください。

 それと桜の親権はそちらが、剣の親権は私がもらいます。」

「それでかまわん。

 桜さえいればそれでかまわないからな。」

「「「「「そうだ。

 桜様さえいればこの紫皇院家は安泰だ。」」」」」

 源一郎の言い放った言葉を分家たちが肯定した。

「椿よ、出て行くならこれをもっていきなさい。」

 今まで黙っていた総一郎が椿にそう声をかけた。

 そして、通帳を一つ投げ渡した。

「これは?」

 椿は渡された通帳を見ていぶかしげに総一郎に問いかけた。

「子を育てるにはそれなりに金がかかるだろう。

 それだけあれば事足りるだろう。」

「確かに剣を育てるにもお金がかかりますからね。

 もらえるのであればもらいますよ。」

 椿は中身を確認してそう言った。

「父上そのようなことをこの者たちにしてやらなくても良いのではないですか?

 無能者を産むような女と無能者には過ぎたことではないのですか?」

 源一郎は総一郎の行ったことに納得できなかったためにそう問いかけた。

「確かに椿は魔力を持たぬ子を産んだ。

 しかし、世界屈指の魔力を持った桜を産んでもいる。

 そのことへの対価だ。」

 総一郎が源一郎に対してなぜ渡したのかを明かした。

「なるほど。

 確かにこの女は桜の母でもありましたね。

 そのくらいはしてやらねばわれら一族の何も傷が付きますね。」

 源一郎や分家のものが源一郎の言葉を聴き納得した。

「待ってください!!

 父上私も母上とお兄様と一緒に行きます。」

 今まで黙っていた桜がついに口を開いた。

「それはダメだ。

 お前はこの紫皇院一族が皇神一族を従えさせるという使命があるんだ。

 ゆえに出て行くことは許さん。」

「そうよ桜。

 あなたはここにいれば幸せになれるわ。

 だからあなたはここにいなさい。」

 源一郎と椿は桜にそう言った。

「嫌です。

 私は母上とお兄様と一緒に行きます。」

 しかし、桜はそれでもあきらめなかった。

「それならば仕方ないな。」

「それじゃあ、父上私も…。」

 源一郎がわかってくれたと思った桜は喜んだ。

 しかし、

「力ずくで解ってもらうしかないようだな。

 静香(しずか)香苗(かなえ)、桜を取り押さえよ。」

 源一郎は一族内でも屈指の実力を持つ二人にそう命令した。

「「はっ!!」」

 命令された二人は一気に桜に近づき、魔法を放った。

「「強制睡眠(すりーぷ)」」

「そんな…。」

 桜はいきなりされたため抵抗することができなかった。

「よくやった二人とも。

 桜が明日も起きないようにそばに控えておれ。

 良いな。」

 源一郎は二人にそう告げた。

「「はい。」」

 二人は源一郎に頭を下げた。

「それでは今日の集まりはここまでだ。」

 源一郎は集まっている全員にそう告げて部屋を後にした。



この決断が今後どのように影響していくのか。

それはこれから剣の行動にて語られる。


今後の投稿は不定期となっています。

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