魔法修行の応用
ダークウルフとの激闘から一夜。
リオは小屋のベッドで目を覚ました。
(昨日……僕は勝ったんだ……
紅牙で……魔力武技で……!)
胸の奥が熱くなる。
だが同時に、
昨日の戦いで感じた“限界”も思い出す。
(もっと……強くならなきゃ……)
そのとき、扉がノックされた。
「リオ、起きていますか?」
エルミナの声だ。
「うん、起きてる!」
扉が開き、エルミナが微笑む。
「今日は“魔法修行の応用”を行います。
あなたには、初級魔法を習得してもらいます」
リオの胸が高鳴った。
「魔法……!
僕、本当に使えるようになるの?」
「ええ。
あなたはすでに魔力操作と魔力放出を習得しています。
あとは“術式”を覚えるだけです」
リオは拳を握った。
(よし……やるぞ!)
エルミナはリオを小屋の外へ連れ出した。
重力調整ドアを抜けると、
そこには――
青く輝く湖が広がっていた。
湖面は鏡のように静かで、
魔素が淡く光りながら漂っている。
「ここは……!」
「“魔素湖”。
魔法修行に最適な場所です」
リオは湖の美しさに息を呑んだ。
(こんな場所が……あったんだ……)
エルミナは湖の中央に立つ小島を指さした。
「リオ。
まずはあの島まで歩きましょう」
「歩く……?」
「ええ。
湖の上を」
リオは固まった。
「えっ……湖の上を……歩くの!?」
エルミナは微笑む。
「魔力操作の応用です。
“魔力歩法”を使えば、水の上も歩けます」
リオは深呼吸した。
(魔力……足に……!)
足の裏に魔力を集中させる。
スッ……
足が軽く光る。
リオは湖に足を乗せた。
チャプ……
沈まない。
「できた……!」
「ええ。
あなたは魔力操作の才能があります」
リオは慎重に歩き、
湖の中央の小島へ向かった。
小島に着くと、
エルミナは四つの魔素球を取り出した。
赤(火)
青(水)
緑(風)
茶(土)
「リオ。
初級魔法は“四大属性”から始まります」
リオは魔素球を見つめた。
(これが……魔法の源……!)
エルミナは説明する。
「魔法は“魔力操作”と“術式”の組み合わせです。
あなたは魔力操作が得意なので、
あとは術式を覚えるだけです」
リオは頷いた。
「まずは“火”から始めましょう」
エルミナは赤い魔素球をリオに渡した。
「リオ。
火魔法は“攻撃の基本”。
しかし、暴走しやすい属性でもあります」
リオは魔素球を握りしめた。
(熱い……!
これが火の魔素……!)
エルミナは手本を見せる。
「術式は――
“燃えよ、火の精霊”」
エルミナの手のひらに小さな火球が生まれた。
ボッ……
リオは息を呑む。
「すごい……!」
「では、リオ。
あなたもやってみましょう」
リオは魔素球を胸に当て、
魔力を流した。
(火の魔素……僕の魔力と……混ざれ……!)
魔素球が赤く光る。
リオは手を前に出し、叫んだ。
「燃えよ、火の精霊――
フレイム・スパーク!!」
ボッ!!
小さな火花が弾けた。
「出た……!」
エルミナは微笑む。
「ええ。
あなたは火魔法の素質があります」
次に青い魔素球。
リオは魔素球を握りしめた。
(冷たい……!
火とは全然違う……)
エルミナは言う。
「水魔法は“制御”が大切です。
形を保つのが難しい属性です」
エルミナは手本を見せる。
「術式――
“流れよ、水の精霊”」
シュルル……
水の矢が生まれた。
リオは魔素球に魔力を流す。
(流れろ……水の魔素……!)
魔素球が青く光る。
「流れよ、水の精霊――
アクア・ショット!!」
シュッ!!
水の矢が飛び、湖面に落ちた。
「やった……!」
「ええ。
あなたは水魔法も扱えます」
次は緑の魔素球。
リオは魔素球を握りしめた。
(軽い……!
風の魔素って……こんな感じなんだ……)
エルミナは言う。
「風魔法は“速度”が命。
あなたの敏捷性が試されます」
エルミナは手本を見せる。
「術式――
“駆けよ、風の精霊”」
シュバッ!!
風の刃が生まれた。
リオは魔素球に魔力を流す。
(風……走れ……!)
魔素球が緑に輝く。
「駆けよ、風の精霊――
ウィンド・カッター!!」
シュバァッ!!
風の刃が湖面を切り裂いた。
「すごい……!」
「ええ。
あなたは風魔法も適性があります」
最後は茶色の魔素球。
リオは魔素球を握った。
(重い……!
土の魔素って……こんなに重いんだ……)
エルミナは言う。
「土魔法は“防御”の基本。
あなたの精神力が試されます」
エルミナは手本を見せる。
「術式――
“守れ、大地の精霊”」
ゴゴゴ……!
土の壁が生まれた。
リオは魔素球に魔力を流す。
(大地……守れ……!)
魔素球が茶色に輝く。
「守れ、大地の精霊――
アース・ウォール!!」
ゴゴゴ……!
小さな土壁が生まれた。
「できた……!」
「ええ。
あなたは四大属性すべてに適性があります」
リオは興奮していた。
「僕……全部使えた……!」
エルミナは微笑むが、
表情は少しだけ厳しい。
「リオ。
魔法は便利で強力ですが――
“危険”でもあります」
「危険……?」
「ええ。
魔力が暴走すれば、
あなた自身が傷つきます」
エルミナは手をかざした。
湖の魔素が渦巻き、
小さな暴風が生まれた。
「魔力暴走は、
魔力操作が乱れたときに起こります」
リオは息を呑む。
(魔法って……怖いんだ……)
エルミナはリオの肩に手を置いた。
「でも、あなたなら大丈夫。
あなたは魔力操作が上手い。
暴走を抑えられる素質があります」
リオは頷いた。
(僕……もっと上手くなりたい……!)
エルミナは紅牙を取り出した。
「リオ。
魔法は“武技”と組み合わせることで、
真価を発揮します」
「魔法と……武技……?」
「ええ。
剣に魔力を流し、
属性を付与する――
“魔力剣”です」
リオは紅牙を握った。
(魔力……剣に……!)
紅牙が赤く輝く。
エルミナは言う。
「では、火属性を付与してみましょう」
リオは火の魔素を剣に流した。
紅牙が赤く燃える。
「すごい……!」
「ええ。
あなたは“魔力剣”の才能があります」
若返りの泉で回復した後、
魔素文字が浮かび上がった。
《ステータス更新》
■ 新スキル
・火魔法(新規習得)
・水魔法(新規習得)
・風魔法(新規習得)
・土魔法(新規習得)
・魔力剣(萌芽)
■ ステータス
能力前後
MP4255
INT1417
WIS1316
エルミナは言う。
「リオ。
あなたは今日、
“魔法使い”としての第一歩を踏み出しました」
リオは拳を握った。
「次は……もっと強い魔法も使いたい!」
エルミナは微笑む。
「ええ。
あなたなら、どんな魔法でも習得できます」




