初めての錬金修行(ポーション作り)
鍛冶修行を終え、
自分の武器「紅牙」を手にした翌日。
リオは小屋の前で深呼吸した。
(今日は……錬金修行……!
鍛冶とは違う、魔法みたいな技術……
僕にもできるかな……)
エルミナが小屋から出てきた。
「リオ。準備はできていますか?」
「うん!」
エルミナは微笑む。
「今日は“ポーション作り”を教えます。
戦う者にとって、回復手段は命より大切です」
リオは頷いた。
(確かに……昨日の戦いで痛感した……
回復できなかったら、僕は倒れていた……)
エルミナは手をかざし、
小屋の奥にある扉を開いた。
そこは――
錬金室だった。
錬金室は、鍛冶室とはまったく違う雰囲気だった。
静か
ひんやり
魔素がゆっくりと流れている
棚には薬草や鉱石が並び
中央には錬金釜が置かれている
リオは思わず息を呑んだ。
「ここ……すごい……!」
エルミナは頷く。
「錬金は“静の技術”。
鍛冶が“動”なら、錬金は“静”。
心を落ち着け、魔素の流れを感じることが大切です」
リオは釜の前に座った。
(静か……でも、なんだか落ち着く……)
エルミナはリオに小さな籠を渡した。
「まずは材料を集めましょう。
ポーションの材料は“森エリア”にあります」
重力調整ドアを抜けると、
白い砂の大地から一転して、
緑が生い茂る森が広がっていた。
鳥の声。
風の音。
魔素の流れが穏やかで、心地よい。
「ここが……森エリア……!」
エルミナは指をさした。
「リオ。
まずは“癒し草”を探しましょう。
ポーションの基本材料です」
リオは森の中を歩き、
魔力感知を使って草の魔素を探した。
(魔素が……優しい……?
これが癒し草……!)
リオは慎重に摘み取った。
次に、
清流の水
魔素花の花粉
小さな光石
を集めた。
エルミナは満足げに頷く。
「リオ。
あなたは素材の“魔素の質”を見抜けています。
錬金の才能がありますね」
リオは照れながら笑った。
錬金室に戻り、
リオは釜の前に座った。
エルミナは材料を並べる。
「リオ。
錬金は“混ぜる”だけではありません。
魔素の流れを整え、
素材同士を“調和”させる技術です」
リオは釜に癒し草を入れた。
ポワッ……
釜の中で緑の魔素が広がる。
次に清流の水を入れる。
シュワッ……
魔素が混ざり合う。
エルミナが言う。
「ここからが難しいところです。
魔素花の花粉は“魔素を増幅”させます。
入れすぎると暴走します」
リオは慎重に花粉を入れた。
ポワァァ……
釜の中の魔素が膨らむ。
(魔素が……暴れそう……!)
リオは魔力操作を使い、
魔素の流れを整えた。
スッ……
魔素が落ち着く。
エルミナは驚いたように目を見開いた。
(この子……魔素の流れを読むのが上手い……!
錬金の才能は鍛冶以上かもしれない……)
エルミナはリオの手を取り、
釜の上にかざした。
「リオ。
最後に“あなたの魔力”を加えなさい」
「僕の……魔力……?」
「ええ。
ポーションは“作り手の魔力”で完成します。
魔力が弱ければ効果も弱い。
強ければ強いほど、良いポーションになります」
リオは目を閉じた。
(魔力……流れろ……)
胸の奥の熱が、
腕へ、手へ、釜へと流れていく。
釜の中の魔素が光り始める。
ポワァァァ……!
釜の中の液体が緑色に輝き、
ゆっくりと透明になっていく。
エルミナは息を呑んだ。
(これは……初めての錬金で……ここまで……!?)
釜の光が収まり、
リオはそっと中を覗いた。
「これ……!」
透明な緑色の液体が、
小さな瓶に注がれていく。
エルミナは瓶を手に取り、
魔素を読み取った。
「リオ……これは……」
リオは不安そうに見つめる。
「失敗……?」
エルミナは首を振った。
「いいえ。
これは“初級ポーション”ではありません」
「え……?」
「“中級ポーション”です」
リオは目を見開いた。
「僕……そんなすごいもの作ったの……!?」
エルミナは微笑む。
「ええ。
あなたの魔力はまだ弱い。
でも――“魔素の調和”が完璧でした」
リオは胸が熱くなった。
(僕……できたんだ……!
初めての錬金で……中級ポーション……!)
若返りの泉で回復した後、
魔素文字が浮かび上がった。
《ステータス更新》
■ 新スキル
・錬金(F → E)
・魔素調和(新規習得)
■ ステータス
能力前後
MP3035
INT1113
WIS911
エルミナは言う。
「リオ。
あなたは今日、
“戦うための準備を整える力”を手に入れました」
リオはポーションを握りしめた。
「次は……もっと強いポーションも作りたい!」
エルミナは微笑む。
「ええ。
あなたなら、どんな薬でも作れるようになります」




