初めての鍛冶修行
重力5倍の世界での体術・剣術・魔法修行を終えた翌日。
リオはエルミナに呼ばれ、小屋の前に立っていた。
「リオ。
今日は“鍛冶”を教えます」
「鍛冶……!
僕、武器を作れるようになるの?」
エルミナは頷いた。
「ええ。
あなたが戦うためには、
“あなた自身の武器”が必要です」
エルミナは重力調整ドアに手をかざした。
《重力設定:5倍 → 3倍》
「今日は鍛冶に集中するため、重力を少し下げます」
「ありがとう、エルミナ!」
ドアを開くと、
いつもの白い砂の大地ではなく――
赤黒い岩山と、熱気が渦巻く世界が広がっていた。
「ここは……!」
「火山エリア。
鍛冶修行に最適な場所です」
地面は熱を帯び、
空気は揺らぎ、
遠くでは溶岩が流れている。
リオは息を呑んだ。
(すごい……!
こんな場所があったんだ……!)
エルミナは岩山の影にある洞窟へ案内した。
洞窟の奥には――
巨大な炉が鎮座していた。
赤い魔素が渦巻き、
炉の内部は太陽のように輝いている。
「これが……魔素炉……?」
「ええ。
世界樹の根から分けた魔素を使い、
どんな金属でも溶かせる炉です」
リオは炉の熱気に圧倒された。
(こんな場所で……武器を作るんだ……!)
エルミナは手を叩いた。
「まずは素材を集めましょう。
火山エリアには“鍛冶用の鉱石”が眠っています」
エルミナはリオに小さなツルハシを渡した。
「このツルハシは魔素製。
重力3倍でも扱えるはずです」
リオはツルハシを握りしめた。
(よし……やってみよう!)
火山エリアの岩壁にツルハシを振り下ろす。
ガンッ!
「うっ……!」
重力3倍でも、岩は硬い。
腕が痺れる。
だが――
(僕は……負けない!)
リオは何度もツルハシを振り下ろした。
ガンッ! ガンッ! ガンッ!
汗が流れ、腕が震える。
だが、岩壁にヒビが入り――
パキッ……!
赤い光を放つ鉱石が姿を現した。
「これ……!」
エルミナが微笑む。
「“紅炎鉱”。
初級武器に最適な鉱石です」
リオは慎重に鉱石を取り出した。
(これが……僕の武器の材料……!)
洞窟に戻り、
リオは紅炎鉱を魔素炉に入れた。
ゴォォォォ……!
炉の魔素が渦巻き、
鉱石が赤く輝き始める。
「リオ。
鍛冶は“金属を溶かす”ところから始まります。
しかし――ただ溶かすだけではダメです」
エルミナは炉に手をかざした。
「金属の“魔素の流れ”を整える必要があります」
「魔素の……流れ……?」
「ええ。
金属にも魔素が流れています。
それを整えることで、武器は強くなるのです」
リオは目を閉じ、
炉の中の金属に意識を向けた。
(魔素……流れろ……)
胸の奥の熱が、
炉の中の金属と共鳴する。
金属が光り、
魔素が整っていく。
エルミナは驚いたように目を見開いた。
(この子……鍛冶の才能がある……!)
金属が溶け、
炉から取り出される。
エルミナはリオにハンマーを渡した。
「リオ。
ここからが本番です」
「うん!」
リオは溶けた金属を台に乗せ、
ハンマーを振り下ろした。
ガンッ!
火花が散る。
ガンッ! ガンッ!
金属が伸び、形が変わる。
(重い……でも……!)
リオは歯を食いしばり、
何度も何度も叩いた。
腕が震え、
汗が滴り、
呼吸が荒くなる。
だが――
(僕は……僕の武器を作るんだ!)
リオは止まらなかった。
エルミナは静かに見守る。
(この子は……本当に折れない)
金属が形を成し、
剣の原型ができた。
エルミナはリオに言った。
「リオ。
武器には“魂”が必要です」
「魂……?」
「ええ。
武器はただの金属ではありません。
持ち主の魔力と心を宿すことで、
初めて“武器”になるのです」
エルミナはリオの胸に手を当てた。
「あなたの魔力を――剣に流しなさい」
リオは剣を握り、
目を閉じた。
(僕の魔力……僕の心……)
胸の奥の熱が、
剣へと流れていく。
剣が淡く光り、
魔素が脈動する。
――ビキィッ!
剣の内部で何かが“生まれた”。
エルミナは微笑む。
「成功です。
あなたの剣に“魂”が宿りました」
リオは剣を持ち上げた。
重い。
だが――しっくりくる。
(これが……僕の剣……!)
剣は赤い光を帯び、
刃は薄く輝いている。
エルミナが言う。
「名前をつけなさい。
武器は名前を持つことで、
より強くなります」
リオは少し考えた。
そして――
「“紅牙”」
エルミナは微笑んだ。
「いい名前です。
あなたの初めての武器にふさわしい」
リオは剣を握りしめた。
「ありがとう、エルミナ。
僕……もっと強くなる!」
小屋に戻り、
若返りの泉で回復した後、
魔素文字が浮かび上がった。
《ステータス更新》
■ 新スキル
・鍛冶(F → E)
・魔素鍛冶(新規習得)
■ ステータス
能力前後
STR810
VIT810
MP2730
INT1011
エルミナは言う。
「リオ。
あなたは今日、
“自分の武器を作る力”を手に入れました」
リオは剣を握りしめた。
「次は……この剣で戦いたい!」
エルミナは微笑む。
「ええ。
あなたの道は、まだ始まったばかりです」




