初めての武技修行と魔法修行
若返りの泉で回復したリオは、
再び重力調整ドアを開いた。
ズシッ――!
重力5倍の圧力が身体を押しつぶす。
だが、前回よりも確実に軽い。
「……いける」
エルミナが小屋の入口から声をかける。
「リオ。
今日は“武技”の基礎を教えます」
「武技……!」
「ええ。
あなたはまだ剣も持っていませんが、
体術はすべての武技の基礎です」
エルミナは白い砂の地面に立ち、
ゆっくりと構えを取った。
「まずは“立ち方”から始めましょう」
エルミナは足を肩幅に開き、
重心を低く落とした。
「リオ。
武技の基本は“立つこと”です。
立てない者は、戦えません」
リオは真似をする。
だが――
ズシッ……!
重力がのしかかり、膝が沈む。
「うっ……!」
「膝を曲げすぎないで。
重心は“丹田”に置きなさい」
「丹田……?」
「おへその少し下。
そこに力を集めるイメージです」
リオは深呼吸し、
丹田に意識を集中させた。
(ここに……力を……)
身体の中心に“芯”が通るような感覚。
「……できた!」
エルミナは微笑む。
「ええ。
あなたは飲み込みが早いですね」
「次は“歩法”です」
エルミナはゆっくりと前へ歩いた。
重力5倍の世界でも、
彼女の動きは滑らかで美しい。
「リオ。
重力は敵ではありません。
“味方”にするのです」
「味方……?」
「ええ。
重力に逆らうのではなく、
重力に“乗る”のです」
リオは歩こうとする。
ズシッ……ズシッ……
足が重い。
だが、丹田に意識を置くと――
(あ……少し軽い……!)
エルミナが頷く。
「その感覚を忘れないで。
あなたは今、“武技の入口”に立っています」
「次は“打撃”です」
エルミナは拳を握り、
ゆっくりと構えを取った。
「拳は縦に。
肩の力を抜いて、肘を締める」
リオも真似をする。
「そのまま――突きなさい」
リオは拳を突き出した。
ズシッ!
重力が拳を押し返す。
「うっ……!」
「力みすぎです。
重力に逆らわず、
重力の“落下”を利用して拳を出すのです」
エルミナは軽く拳を突いた。
ドンッ!
砂が爆ぜる。
「……すごい……!」
「重力は“落ちる力”。
その力を拳に乗せれば、
あなたの拳は何倍もの威力になります」
リオは再び拳を突いた。
ズシッ……!
前よりも深く、強く、速い。
「できた……!」
「ええ。
あなたは才能があります」
エルミナは小屋の中から一本の木剣を持ってきた。
「リオ。
これがあなたの“最初の剣”です」
「剣……!」
リオは木剣を受け取った。
重い。
重力5倍の世界では、
木剣ですら鉄の棒のように重い。
「まずは“構え”から」
エルミナは剣を構えた。
「剣は腕で振るものではありません。
“腰”で振るのです」
リオは真似をする。
だが――
ズシッ……!
剣が重くて持ち上がらない。
「うっ……!」
「焦らないで。
剣は“振る”のではなく、
“落とす”のです」
エルミナは剣を軽く振り下ろした。
ドンッ!
砂が爆ぜ、地面に溝ができる。
「……落とす……?」
「ええ。
重力を利用して、剣を“落とす”。
それが剣術の基本です」
リオは剣を持ち上げ、
重力に任せて振り下ろした。
ズシッ……!
地面に浅い溝ができた。
「できた……!」
「ええ。
あなたは剣の才能もあります」
エルミナはリオを小屋の前に座らせた。
「次は“魔法”です」
「魔法……!」
「まずは“魔力操作”。
魔法の基礎中の基礎です」
エルミナはリオの胸に手を当てた。
「リオ。
あなたの魔力は、まだ“眠っている”状態です。
まずは魔力を“感じる”ことから始めましょう」
リオは目を閉じた。
(魔力……魔力……)
胸の奥が熱くなる。
(これが……魔力……!)
「感じましたね」
「はい……!」
「では、その魔力を“動かす”のです」
「動かす……?」
「ええ。
魔力は“水”のようなもの。
流れを作れば、魔法は発動します」
リオは魔力を腕へ流そうとする。
だが――
ズキッ!
頭が痛む。
「うっ……!」
「焦らないで。
魔力操作は“呼吸”と同じ。
自然に、ゆっくりと」
リオは深呼吸した。
(魔力……流れろ……)
胸の熱が、腕へ、手へと流れていく。
手が淡く光った。
「……できた!」
「ええ。
あなたは魔力操作の才能もあります」
「次は“魔力放出”です」
エルミナは手を前に出し、
魔力を集めた。
「魔力放出は、魔法の“原型”。
これができれば、魔法は使えます」
リオは手を前に出した。
(魔力……集まれ……!)
手のひらが光る。
「そのまま――放ちなさい!」
リオは叫んだ。
「はぁっ!!」
パァンッ!!
光が弾け、
砂が舞い上がる。
「……出た……!」
エルミナは微笑む。
「ええ。
あなたは“魔法使い”になりました」
リオは拳を握った。
「僕……魔法が使えた……!」
「ええ。
あなたは“全属性適性”を持っています。
これから、どんな魔法でも使えるようになります」
エルミナは言う。
「リオ。
武技と魔法は別物ではありません。
“融合”させることで、
あなたは真の強さを手に入れます」
「融合……?」
「ええ。
魔力を拳に乗せる。
魔力を剣に乗せる。
それが“魔力武技”です」
リオは拳を握った。
(魔力……拳に……!)
拳が光る。
リオは剣を握った。
(魔力……剣に……!)
剣が淡く輝く。
エルミナは満足げに頷いた。
「リオ。
あなたは今日、
“戦える存在”になりました」
リオは胸を張った。
「僕……もっと強くなりたい!」
「ええ。
あなたなら、どこまでも行けます」
若返りの泉で回復した後、
魔素文字が浮かび上がった。
《ステータス更新》
■ リオ・アークライト(10歳)
スキル
・努力(E)
・異世界転移
・魔力感知(E → D)
・体術(E → D)
・剣術(F → E)
・魔力操作(F → D)
・魔力放出(新規習得)
・精神耐性(E → D)
■ ステータス
能力前後
HP3136
MP1827
STR58
VIT68
AGI67
SPD67
INT810
WIS79
LUK1313
エルミナは言う。
「リオ。
あなたは今日、
“武技”と“魔法”の基礎を手に入れました」
リオは拳を握った。
「明日も……修行する!」
エルミナは微笑む。
「ええ。
あなたの努力は、必ず実を結びます」




