再び異世界へ
魔素体ウルフを倒した翌日。
リオは村の入り口に立っていた。
(昨日の裂け目……
あれは絶対に放置しちゃいけない……)
村人たちは不安そうに話している。
「また出るんじゃないか……?」
「夜が怖くて眠れないよ……」
「リオくん、昨日のは何だったんだ……?」
リオは胸が痛んだ。
(僕が……守らなきゃ……
でも……僕一人じゃ……)
そのとき――
頭の中に声が響いた。
――リオ。聞こえますか?
リオは息を呑んだ。
(エルミナ……!)
――裂け目は“世界の境界の崩壊”です。
あなたが戻らなければ、現実世界にも魔物が溢れます。
リオは拳を握った。
(やっぱり……!)
――戻ってきなさい。
中期修業を始める時です。
リオは深く息を吸った。
(僕は……行くしかない……!)
村長がリオに近づいてきた。
「リオ……
昨日の魔物、あれは……なんだったんだ?」
リオは迷ったが、
真実を伝えることにした。
「……異世界の魔物です。
僕がいた世界の……」
村長は目を見開いた。
「異世界……?
そんなものが……本当に……?」
リオは頷いた。
「はい。
そして……裂け目は広がっています。
このままだと……もっと危険な魔物が来ます」
村長は震える声で言った。
「リオ……
頼む……村を守ってくれ……!」
リオは拳を握った。
「守ります。
でも……そのためには……
僕は一度、異世界へ戻らなきゃいけない」
村長は静かに頷いた。
「……行ってこい。
お前なら、きっと何とかしてくれる」
リオは深く頭を下げた。
「必ず戻ります」
森の奥。
昨日の戦闘跡の先に、
黒い裂け目が揺れていた。
(昨日より……大きくなってる……!)
紅牙が声をかける。
――リオ。
この裂け目は“異世界への道”だよ。
でも……不安定。
早く行かないと閉じるかもしれない。
リオは頷いた。
(行くしかない……
僕が……この世界を守るために……)
そのとき、
裂け目から風が吹き出した。
ボォォォ……
魔素の匂い。
懐かしい空気。
(異世界の……匂い……)
胸が熱くなる。
(エルミナ……
紅牙……
僕は……帰るよ……!)
リオは裂け目に手を伸ばした。
光が身体を包む。
視界が揺れる。
世界が歪む。
(この感覚……懐かしい……)
そして――
ドンッ
リオは地面に降り立った。
そこは――
見慣れた森。
魔素の濃い空気。
異世界の匂い。
(帰ってきた……!
本当に……異世界に……!)
紅牙が震える。
――おかえり、リオ。
リオは笑った。
「ただいま、紅牙」
そのとき――
木々の間から光が差し込み、
エルミナが姿を現した。
「リオ……
おかえりなさい」
リオは胸が熱くなった。
「エルミナ……!」
エルミナは微笑んだ。
「あなたが戻ってくると信じていました」
エルミナはリオを小屋へ連れていった。
中は以前と変わらず、
温かい光に包まれていた。
「リオ。
あなたが戻ってきた理由……
それは“裂け目”です」
リオは頷いた。
「現実世界に……魔物が出ました」
エルミナは静かに言った。
「ええ。
世界の境界が揺らいでいます。
原因は――
“世界樹の魔素流の乱れ”」
リオは息を呑んだ。
(世界樹……!)
エルミナは続ける。
「中期修業では、
あなたに“世界樹の試練”を受けてもらいます。
世界の魔素流を整え、
裂け目を閉じるために」
リオは拳を握った。
「僕が……やるよ。
村を守るためにも……
エルミナを守るためにも……
この世界を守るためにも……!」
エルミナは微笑んだ。
「ええ。
あなたならできます」
紅牙が震える。
――リオ。
一緒に頑張ろう。
リオは頷いた。
「うん。
中期修業……始めよう!」
エルミナは小屋の奥の扉を開いた。
そこには――
巨大な魔法陣が刻まれた石の扉があった。
「リオ。
この扉の先が――
世界樹の根へ続く道です」
リオは息を呑んだ。
(ここから……
中期修業が始まる……!)
エルミナは言う。
「リオ。
あなたはもう“初期修業の少年”ではありません。
これからは――
“世界を守る戦士”として歩むのです」
リオは紅牙を握りしめた。
「行くよ、エルミナ。
僕は……もっと強くなる!」
エルミナは微笑んだ。
「ええ。
あなたなら、どこまでも強くなれます」
リオは扉に手を置いた。
光が溢れる。
(中期修業……
世界樹の試練……
僕は……絶対に乗り越える……!)
扉が開く。
リオは一歩踏み出した。




