魔導武器化
ヘルハウンド上位種との死闘から数日。
リオは紅牙・改を磨きながら、
あの日の戦いを思い返していた。
(僕は……勝った。
でも……紅牙・改は……限界だった……)
刃には細かな欠けがあり、
柄には魔素の焼け跡が残っている。
(上級上位種の攻撃……
紅牙・改でも……完全には耐えられなかった……)
そのとき、エルミナが現れた。
「リオ。
あなたは気づいているはずです。
紅牙・改は――
“あなたの成長に追いつけていない”と」
リオは息を呑んだ。
(やっぱり……!)
エルミナは続ける。
「だから今日は――
紅牙を“魔導武器”へ進化させます」
リオは目を見開いた。
「魔導武器……!」
エルミナは静かに頷いた。
「ええ。
武器に“魔素核”を宿し、
魔力と魂を循環させる――
それが魔導武器です」
リオは紅牙を握りしめた。
(紅牙……もっと強くなるんだ……!)
エルミナは紅牙を手に取り、
魔素湖のほとりに座った。
「リオ。
魔導武器とは、
“持ち主の魔力と魂を循環させる武器”です」
リオは息を呑んだ。
「魂を……循環……?」
「ええ。
魔導武器は“意思”を持ちます。
持ち主の感情に反応し、
魔力を増幅し、
時には持ち主を守ることもあります」
リオは紅牙を見つめた。
(紅牙が……意思を……?)
エルミナは続ける。
「しかし――
魔導武器化は非常に危険です。
魂の調律に失敗すれば、
武器は暴走し、
持ち主を傷つけます」
リオは拳を握った。
「僕は……絶対に成功させる……!」
エルミナは微笑む。
「ええ。
あなたならできます」
紅牙を魔導武器化するには、
“魔素核”が必要。
エルミナは言う。
「リオ。
魔素核は“上級地帯奥部”にしかありません」
リオは息を呑んだ。
(上級地帯奥部……!
あそこは……上級モンスターが群れでいる場所……!)
エルミナは静かに頷いた。
「ええ。
危険度Sの領域です」
リオは紅牙を握りしめた。
(でも……行く……!
紅牙を……進化させるために……!)
上級地帯のさらに奥へ進む。
空気が重い。
魔素が濃い。
視界が揺れる。
だが、リオは魔素視で世界を見通す。
(魔素の流れ……全部見える……!)
エルミナは言う。
「リオ。
ここから先は“魔素の海”。
魔力操作を止めれば、
魔素に飲まれて死にます」
リオは魔力を巡らせた。
(魔力……流れろ……!)
身体が軽くなる。
(大丈夫……行ける……!)
洞窟の奥。
赤い光が脈動している。
リオは息を呑んだ。
(あれが……魔素核……!)
だが――
その前に巨大な影が立ちはだかった。
黒い鱗。
赤い瞳。
翼は未発達だが、
身体は大きい。
魔素体ドラゴン・幼体(上級最上位)
「グルルルル……!」
リオは震えた。
(ドラゴン……!
しかも……魔素体……!)
エルミナが言う。
「リオ。
魔素核は“ドラゴンの心臓”。
ドラゴンは魔素核を守るために生まれます」
リオは紅牙を構えた。
(勝つしか……ない……!)
ドラゴンが地面を蹴った。
ドォォォォン!!
地面が砕ける。
洞窟が揺れる。
(速い……!
ヘルハウンド上位種より……ずっと……!)
リオは横へ飛ぶ。
ズシッ!!
重力七倍の世界での回避。
だが、ドラゴンの爪がかすめる。
ザシュッ!!
「っ……!」
腕から血が流れる。
エルミナが叫ぶ。
「リオ!!
ドラゴンは“魔素装甲”を持っています!!
普通の攻撃は通りません!!」
リオは紅牙を握りしめた。
(魔素装甲……!
なら……魔力流し……!)
リオは魔力を腕に流す。
(魔力……流れろ……!)
紅牙が赤く輝く。
リオは踏み込んだ。
ズシッ!!
剣を“抜く”ように振る。
ズバァァァッ!!
ドラゴンの装甲にヒビが入る。
「グアァァァッ!!」
リオは息を荒げた。
(通った……!
魔力流し……効く……!)
だが――
ドラゴンが口を開く。
黒炎が集まる。
エルミナが叫ぶ。
「リオ!!
“魔素ブレス”が来ます!!」
リオは叫んだ。
「フレイム・ブレイカー!!」
無詠唱。
ドォォォォン!!
火風土の爆裂球がドラゴンのブレスを相殺する。
(相殺できた……!
でも……押されてる……!)
ドラゴンのブレスが強まる。
リオは叫んだ。
「アクア・テンペスト!!」
シュバァァァァッ!!
水風土の竜巻がブレスを切り裂く。
ドラゴンが怯む。
(今だ……!)
リオは魔素視を使った。
世界が光で満ちる。
ドラゴンの身体の中で、
魔素が渦巻いている。
(あそこ……!
魔素の流れが薄い……!
装甲の弱点……!)
リオは踏み込んだ。
ズシッ!!
紅牙を振る。
ズバァァァッ!!
ドラゴンの装甲が砕ける。
「グアァァァァ!!」
ドラゴンが最後の突進を仕掛ける。
リオは紅牙を構えた。
(僕は……もう逃げない……!
奥義……使う……!)
魔力が身体を巡る。
芯が消える。
重力が消える。
紅牙が消える。
リオは踏み込んだ。
スッ……!
距離が消える。
紅牙が閃く。
「奥義――
零閃!!」
ズバァァァァッ!!
ドラゴンの身体が光に包まれ、
霧散した。
リオは膝をついた。
「はぁ……はぁ……!」
エルミナが駆け寄る。
「リオ……!
あなた……本当に……!」
ドラゴンが消えた後、
赤い光が残った。
リオはそれを手に取った。
(これが……魔素核……!)
エルミナは言う。
「リオ。
それが“武器の心臓”。
紅牙を魔導武器化するための核心です」
リオは魔素核を握りしめた。
(紅牙……これで……進化できる……!)
火山エリア最深部。
巨大な魔導炉が赤く輝いている。
エルミナは言う。
「リオ。
紅牙を魔導武器化するには、
“魔導炉”を使います」
リオは紅牙と魔素核を炉に入れた。
ゴォォォォ……!
炉が赤く輝く。
エルミナは言う。
「リオ。
魔素核と紅牙の魂を“調律”しなさい」
リオは目を閉じた。
(紅牙……僕は……もっと強くなりたい……
一緒に……戦いたい……!)
魔力が炉に流れる。
紅牙が赤く輝く。
魔素核が脈動する。
(紅牙……応えて……!)
炉の中で、
紅牙が震えた。
リオは息を呑んだ。
(紅牙……!?)
エルミナは微笑む。
「リオ。
紅牙が……あなたに応えています」
紅牙が光り、
魔素核が吸い込まれる。
刃が赤黒く輝き、
紋様が浮かび上がる。
紅牙が“声”を発した。
――リオ。
リオは震えた。
(紅牙……僕の名前を……!)
エルミナは言う。
「ええ。
紅牙は“意思”を持ちました。
あなたの魔導武器です」
炉から取り出された紅牙は、
赤黒く輝き、
刃には魔素核の紋様が刻まれていた。
リオは紅牙を握りしめた。
(これが……僕の……紅牙……!)
エルミナは言う。
「リオ。
その武器は――
紅牙・魔導
あなたの魂と魔力を循環させる、
“魔導武器”です」
紅牙が震えた。
――行こう、リオ。
もっと強くなろう。
リオは涙が出そうになった。
「うん……!
一緒に……強くなろう……!」
若返りの泉で回復した後、
魔素文字が浮かび上がった。
《ステータス更新》
■ 新スキル
・魔導武器操作(新規習得)
・武器共鳴(進化 → 完全共鳴)
・魂調律(強化)
・魔力循環(新規習得)
・紅牙の意思(新規習得)
■ ステータス
能力前後
STR4552
VIT4552
AGI4250
SPD4250
MP170190
INT5560
WIS6068
エルミナは言う。
「リオ。
あなたは今日、
“魔導武器を持つ戦士”になりました」
リオは紅牙魔導を握りしめた。




