再戦
上級地帯での本格修行を終えた翌朝。
リオは紅牙・改を磨きながら、
あの日の戦いを思い返していた。
(ヘルハウンド……
あの時の僕は……ただ必死で……
ただ怖くて……
でも……今は違う……)
三重複合。
無詠唱。
武術と剣術の進化。
魔素視の進化。
環境適応。
すべてが“再戦”のために積み上がってきた力。
そのとき、エルミナが現れた。
「リオ。
今日は“上級モンスターとの本気の再戦”を行います」
リオは立ち上がった。
「……やっとだ」
エルミナは静かに頷いた。
「あなたはもう、
あの日のあなたではありません。
恐怖を超える準備ができています」
リオは紅牙を握りしめた。
(僕は……もう逃げない……!)
重力調整ドアを抜け、
上級地帯へ向かう。
空気が重い。
魔素が濃い。
視界が揺れる。
だが――
リオはもう怯えなかった。
(魔素圧……魔素霧……
全部……見える……!)
魔素視が世界を照らす。
エルミナは言う。
「リオ。
あなたはもう、
上級地帯に“適応”しています」
リオは頷いた。
(あの日は……息をするだけで苦しかった……
でも今は……呼吸ができる……!)
そのとき――
空気が震えた。
リオの背筋が凍る。
(この気配……!)
エルミナが言う。
「来ます……
あなたが恐れた“あの存在”が」
黒い霧が揺れ、
巨大な影が姿を現す。
四足。
黒い毛並み。
赤い瞳。
だが――
前よりも大きい。
魔素体ヘルハウンド・上位種(上級上位)
「グルルルル……!」
リオは息を呑んだ。
(前より……強い……!
魔素の密度が……違う……!)
エルミナが言う。
「リオ。
これは“上位種”。
あなたが倒した個体より、
“二段階”強い存在です」
リオは紅牙を構えた。
(怖い……
でも……逃げない……!)
ヘルハウンドが地面を蹴った。
ドッ!!
地面が砕ける。
砂が舞う。
(速い……!
前より……ずっと……!)
リオは横へ飛ぶ。
ズシッ!!
重力七倍の世界での回避。
だが、魔力歩法でなんとか避けた。
ヘルハウンドの爪が地面を裂く。
ズバァッ!!
(当たってたら……死んでた……!)
エルミナが叫ぶ。
「リオ、気をつけて!!
上位種は“影移動”が強化されています!!」
影が揺れる。
リオは魔素視を使った。
(見える……!
影の魔素の流れ……!)
ヘルハウンドが影から飛び出す。
リオは紅牙で受ける。
ガキィィィン!!
衝撃が腕に走る。
(重い……!
前より……ずっと……!)
リオは踏み込んだ。
ズシッ!!
重力を利用した踏み込み。
武術第三段階。
紅牙を“抜く”ように振る。
ヒュッ……!
空気が裂ける。
ヘルハウンドの肩に浅い傷が入る。
「グアァァッ!!」
リオは息を呑んだ。
(通った……!
紅牙・改が……通った……!)
エルミナは微笑む。
(この子……
本当に“戦士”になった……!)
ヘルハウンドが口を開く。
黒炎が集まる。
リオは叫んだ。
「フレイム・ブレイカー!!」
無詠唱。
ドォォォォン!!
火風土の爆裂球がヘルハウンドの黒炎を相殺する。
(相殺できた……!
前は……何もできなかったのに……!)
ヘルハウンドが影に潜る。
リオは魔素視を使う。
(影の魔素……流れが……見える……!)
リオは叫んだ。
「アクア・テンペスト!!」
シュバァァァァッ!!
水風土の竜巻が影を切り裂く。
ヘルハウンドが飛び出す。
リオは紅牙を構えた。
(来い……!)
ヘルハウンドが突進する。
リオは魔力を腕に流す。
(魔力……流れろ……!)
紅牙が赤く輝く。
リオは剣を振る。
ズバァァァッ!!
ヘルハウンドの胸に深い傷が入る。
「グアァァァァ!!」
リオは息を荒げた。
(魔力流し……
威力が……段違い……!)
エルミナは息を呑んだ。
(この子……
もう“上級戦士”の領域に……!)
ヘルハウンドが吠える。
「グルァァァァァ!!」
魔素が暴れ始める。
エルミナが叫ぶ。
「リオ、気をつけて!!
上位種は“魔素爆裂”を使います!!」
リオは息を呑んだ。
(魔素爆裂……!?)
ヘルハウンドの身体が黒く輝く。
ドォォォォォン!!
巨大な爆発が起きる。
リオは吹き飛ばされる。
「うわあああっ!!」
地面を転がる。
ズザザザッ!!
(痛い……!
でも……まだ……動ける……!)
エルミナが叫ぶ。
「リオ!!
魔素爆裂は“上級魔法級”の威力!!
避けなさい!!」
リオは立ち上がった。
(避ける……!
魔素視で……見える……!)
リオは魔素視を使った。
世界が光で満ちる。
ヘルハウンドの身体の中で、
魔素が渦巻いている。
(あそこ……!
魔素が集まってる……!
次の爆発は……あの瞬間……!)
ヘルハウンドが突進する。
リオは横へ飛ぶ。
ズシッ!!
爆発が起きる。
ドォォォォン!!
だが、リオは避けた。
(見える……!
魔素の流れが……!)
エルミナは震えた。
(この子……
魔素爆裂の予兆を……見切っている……!?)
ヘルハウンドが最後の突進を仕掛ける。
リオは紅牙を構えた。
(僕は……もう逃げない……!
あの日の僕とは……違う……!)
魔力が身体を巡る。
芯が通る。
重力が味方になる。
紅牙が輝く。
リオは踏み込んだ。
ズシッ!!
重力七倍の世界での踏み込み。
剣を“抜く”ように振る。
魔力を“流す”。
三重複合を“無詠唱”で重ねる。
「フレイム・ブレイカー!!」
ドォォォォン!!
爆裂球がヘルハウンドを包む。
リオは叫んだ。
「うおおおおおっ!!」
紅牙を振り下ろす。
ズバァァァァッ!!
ヘルハウンドの身体が光に包まれ、
霧散した。
リオは膝をついた。
「はぁ……はぁ……!」
エルミナが駆け寄る。
「リオ……!
あなた……本当に……!」
エルミナの目に涙が浮かんでいた。
若返りの泉で回復した後、
魔素文字が浮かび上がった。
《ステータス更新》
■ 新スキル
・魔力流し(強化)
・剣術(A → S)
・武術(B → A)
・三重複合(最上位)
・魔素視(A → S)
・環境適応(強化)
■ ステータス
能力前後
STR3338
VIT3338
AGI2833
SPD2833
MP145160
INT4550
WIS4855
エルミナは言う。
「リオ。
あなたは今日、
“上級モンスターを正面から倒せる戦士”になりました」
リオは紅牙を握りしめた。




