複合魔法の習得
ヘルハウンドとの死闘から一夜。
リオは小屋の前で深呼吸した。
(昨日……僕は“魔法が通じない”って思い知った……
初級魔法じゃ……上級モンスターには届かない……)
紅牙・改は強くなった。
だが、魔法はまだ“初級”のまま。
(僕……もっと魔法を強くしたい……
もっと……上の魔法を……!)
そのとき、エルミナが現れた。
「リオ。
今日は“複合魔法”を教えます」
リオは目を見開いた。
「複合魔法……!
それって……二つの魔法を同時に使うってこと?」
エルミナは静かに頷いた。
「ええ。
複合魔法は“魔法の応用”ではありません。
“魔法の進化”です」
リオの胸が高鳴る。
(魔法の……進化……!)
エルミナはリオを魔素湖へ連れていった。
湖面は青く輝き、
魔素がゆっくりと流れている。
「複合魔法は、
魔素の流れを“二つ同時に”制御する技術です」
リオは息を呑んだ。
(魔素の流れを……二つ……!?
初級魔法でも大変なのに……!)
エルミナは湖の中央の小島に立ち、
手をかざした。
「まずは“火×風”。
最も扱いやすく、最も危険な複合魔法です」
リオは紅牙を握りしめた。
(火×風……!
火を強くして……風で加速させる……!)
エルミナは言う。
「リオ。
複合魔法は“魔力操作の極致”。
あなたの魔力操作が試されます」
リオは深呼吸した。
(やる……!)
エルミナは赤と緑の魔素球を取り出した。
「リオ。
火と風は相性が良い。
火を“燃やし”、風で“加速”させる。
それが“爆裂系複合魔法”です」
リオは魔素球を握りしめた。
(火の魔素……風の魔素……
二つを……同時に……!)
胸の奥の熱が、
二つの魔素球へ流れていく。
魔素球が赤と緑に輝く。
エルミナは言う。
「術式は――
“燃えよ、駆けよ、火風の精霊”」
リオは手を前に出し、叫んだ。
「燃えよ、駆けよ、火風の精霊――
フレイム・バースト!!」
ボォォォォン!!
爆風が生まれ、
湖面が大きく揺れた。
リオは後ろに吹き飛ばされる。
「うわっ!!」
エルミナが魔力で受け止める。
「リオ、大丈夫ですか?」
「だ、大丈夫……!
でも……すごい威力……!」
エルミナは頷いた。
「ええ。
複合魔法は“初級魔法の数倍”の威力を持ちます。
しかし――」
エルミナはリオの手を取った。
「魔力消費も数倍です」
リオは息を呑んだ。
(確かに……魔力が……一気に減った……!)
エルミナは青と緑の魔素球を取り出した。
「次は“水×風”。
これは“切断系複合魔法”です」
リオは魔素球を握りしめた。
(風で……水を……刃にする……!)
魔力を流す。
魔素球が青と緑に輝く。
「術式――
“流れよ、駆けよ、水風の精霊”」
リオは叫んだ。
「流れよ、駆けよ、水風の精霊――
アクア・スラッシュ!!」
シュバァァァッ!!
水の刃が湖面を切り裂く。
湖面が大きく割れ、
水柱が上がる。
「すごい……!
風魔法より……ずっと速い……!」
エルミナは微笑む。
「ええ。
水×風は“速度と切れ味”が特徴です」
エルミナは赤と茶色の魔素球を取り出した。
「次は“火×土”。
これは“溶解系複合魔法”です」
リオは魔素球を握りしめた。
(火で……土を……溶かす……!)
魔力を流す。
魔素球が赤と茶色に輝く。
「術式――
“燃えよ、溶けよ、火土の精霊”」
リオは叫んだ。
「燃えよ、溶けよ、火土の精霊――
マグマ・ショット!!」
ドロォォォ……!!
赤黒い溶岩弾が生まれ、
湖面に落ちる。
ジュワァァァ……!!
水が蒸発し、
白い蒸気が上がる。
リオは息を呑んだ。
「これ……当たったら……やばい……!」
エルミナは頷く。
「ええ。
火×土は“破壊力”が特徴です」
エルミナは緑と茶色の魔素球を取り出した。
「最後は“風×土”。
これは“粉砕系複合魔法”です」
リオは魔素球を握りしめた。
(風で……土を……砕く……!)
魔力を流す。
魔素球が緑と茶色に輝く。
「術式――
“駆けよ、砕けよ、風土の精霊”」
リオは叫んだ。
「駆けよ、砕けよ、風土の精霊――
ダスト・ブレイカー!!」
ゴゴゴゴゴ……!!
風が土を巻き上げ、
巨大な砂嵐が生まれる。
湖面が削れ、
小島が揺れる。
「すごい……!
これ……防御にも攻撃にも使える……!」
エルミナは微笑む。
「ええ。
風×土は“万能型”です」
リオは複合魔法を連続で使い、
息が荒くなっていた。
「はぁ……はぁ……
すごい……でも……魔力が……!」
エルミナは真剣な表情で言う。
「リオ。
複合魔法は“魔力暴走”の危険があります」
「魔力暴走……?」
「ええ。
二つの魔素を同時に扱うため、
魔力操作が乱れると――」
エルミナは手をかざした。
湖の魔素が暴れ、
小さな爆発が起きる。
ボンッ!!
リオは後ずさった。
「うわっ……!」
「これが“魔力暴走”。
あなた自身が傷つきます」
リオは拳を握った。
(僕……もっと魔力操作を上手くしなきゃ……!)
エルミナはリオの手を取り、
魔素湖の中央に立たせた。
「リオ。
あなたには“複合魔法適性”があります」
「僕に……?」
「ええ。
あなたは魔素の流れを“同時に二つ”感じられる。
これは非常に珍しい才能です」
リオは胸が熱くなった。
(僕……魔法でも……強くなれる……!)
エルミナは言う。
「最後に――
“あなた自身の複合魔法”を作りなさい」
リオは目を閉じた。
(火……風……
僕の得意な属性……
紅牙・改の属性……
僕の魔力……!)
胸の奥の熱が、
二つの魔素へ流れていく。
リオは叫んだ。
「燃えよ、駆けよ、火風の精霊――
フレイム・ストーム!!」
ボォォォォォォン!!
巨大な火風の竜巻が生まれ、
湖面を吹き飛ばす。
エルミナは息を呑んだ。
(この子……本当に……!
複合魔法を……自分で作った……!)
若返りの泉で回復した後、
魔素文字が浮かび上がった。
《ステータス更新》
■ 新スキル
・複合魔法(新規習得)
・火風複合魔法(新規習得)
・魔力操作(C → B)
・魔素制御(新規習得)
■ ステータス
能力前後
MP8295
INT2428
WIS2529
エルミナは言う。
「リオ。
あなたは今日、
“魔法使いとしての第二段階”に入りました」
リオは拳を握った。
「次は……この複合魔法で……もっと強い敵と戦いたい!」
エルミナは微笑む。




