8話
「戦闘職ってことはもう翔琉一人で戦わなくてすみそうだね!」
「ケガ人に無理させる訳にいかないだろ?」
「でもレベルアップしたらHPもMPも全回復するよ?」
「え?そうなのか?」
「なんで知らないのよ…」
呆れたような目で見られている…
ダメージをくらった戦闘はホブゴブリン戦だけだったし、痛みを感じないのはアドレナリンがでてるせいだと思っていた。
「あのー、悪いんだけどさ…」
蓮太郎がなにか言いづらそうにしている。
「その、だな…すまん!俺はもう戦えない…」
「え!?どうして!?矢がなくなっちゃったとか?」
「矢は関係ない。ただその…」
「言いにくかったら言わなくていいぞ。戦えないならしょうがない。食品売り場までは俺らがちゃんと送るから安心していい」
「すまない。助かるよ…」
戦えない理由は怖いからだろうな。
元気なように見えるが周りを常に異常なまでに警戒している。
みかもなんとなく理由がわかったんだろう。
それ以上何も聞かなかった。
1階に降り、食品売り場へ向かう。
食品売り場までの通路はゴブリンと戦っていないのでまだ少しだけ残っていた。
「っ…!」
ゴブリンを見るたびに蓮太郎の身体が震える。
相当なトラウマを植え付けられたんだな。
「翔琉は怖くないのか?」
「ゴブリンか?」
「あ、あぁ」
「怖かった。でも、流石に慣れたな」
「…翔琉、気を付けろ。3階に化物みたいな強さのゴブリンがいた。そいつらに俺達は…」
負けたのか…
あのホブゴブリンが3番なら2番目に強い相手か?それとも1番か?
「ちなみにゴブリンの種類は?」
「ゴブリンプリーストだ。奴は多彩なスキルを使って俺の友達を次々殺していった」
「何人で戦ったんだ?」
「4人だ…全員友達で、しかも覚醒者になって浮かれてた。その結果、俺だけが生き残ることになってしまった…」
「そうか。色々聞いてごめんな」
「いや、いい。翔琉は死なないでくれよ。俺はもう…ダメだ。どうしても戦えない…」
こればっかりはしょうがないな。
無理に戦わせて死なせる方が気分が悪い。
「食品売り場だな。腹も減ったしなにか食べたいな」
「たしかに〜!もうお腹すいたし喉も乾いた!」
蓮太郎が苦笑いしている。
無銭飲食を気にしている場合じゃないからな。好きなものを食べよう!
「蓮太郎!あんた、どの面下げて戻ってきた!」
「菫さん…すみません…」
「かずきは?」
「…すみません」
すみれと呼ばれたガタイの良い女性が鬼のような顔をしている。
怖いな…できれば関わりたくない…
みかも俺の後ろに回り隠れている。
「そこの男と女!名前と職業は!」
「燈黒翔琉、暗殺者だ。こっちは桜井みか、付与士だ。あなたは?」
「私は大狼 菫。職業は盗賊だ。何しにきた?」
「蓮太郎を届けるのと食料調達をしにきた」
「そうか、では帰れ」
ん?今帰れって言った?
聞き間違いか?
「え?帰れって言わなかった?」
「みかはこっちに来てもいい。だが、男のお前は駄目だ!」
「え!?なんでよ!?」
「いつまでこの状況が続くかわからないのに、大切な食料を無闇やたらと食べられたらたまんないからね!それに、燈黒翔琉だっけ?あんた戦えるんならその辺の店から撮ってくればいいじゃないか!」
「たしかに」
「ちょっと、翔琉!」
それもそうか。変に揉め事に巻き込まれたくないし、ここは引くか。
「あぁそうだ、ここには何人ぐらいいるんだ?」
「13人、全員女だ。だが戦えないからここに隠れてるんだ」
「あなたは強そうだけど?」
「ゴブリンが来たら私が殺してる」
逞しいなぁ…
「言っとくが、私はここから離れるつもりはないからね!」
「わかってる。みかはどうする?ここでご飯食べてくか?」
「翔琉はどうするつもり?」
「俺は近くの店に行くよ」
「じゃあ私も翔琉と行く!」
「決まりだね。さっさとどっかに行ってくれ!ゴブリン共が寄ってくる」
言い方に棘があるなぁ…
まぁこの人も知人が死んだのを知って機嫌が悪いんだろう。
何か強そうな気配が近付いてきたな。
あのホブゴブリンよりも圧がある。
「あ、ぁ、なんだこれ!?」
蓮太郎の腕に紋章が浮かび、赤く光り輝いている。
「熱い、あづい、あづぃぃぃぃぃっ!」
「蓮太郎!しっかりしろ!」
「た、だずげ…」
ボシュンっという音と共に蓮太郎が弾け飛んだ。




