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フリーターの俺に世界が救えると思いますか?  作者: 干物


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3/11

3話


「はぁ、疲れた」


新しく獲得した隠密を試しつつゴブリンを15体仕留めた。


隠密は自分の気配を限界まで消すことができた。だが、攻撃をしたり、大きい音をだしたりしてしまうと解けてしまう。


そのことにさえ気をつけていれば近付いても気付かれることはなかった。


レベルも上がったのでステータスも更新した。


ーーーーーーーーーーーーーーーーー



名前:燈黒 翔琉 レベル:5


職業:暗殺者


HP:250 MP:140


筋力:16 防御力:1


速度:10 知能:2


感覚:3 運:1


スキルポイント:0


<スキル>

隠密



ーーーーーーーーーーーーーーーーー


レベルが上がるにつれ、身体が軽くなる感じがして心地良い。


それにゴブリンを殺していくうちに、あの気持ち悪い感覚にも慣れてきた。


見ないようにしていた人間の死体や、血の匂いにもだんだんと慣れてきてしまった。


「こんなことしてたらおかしくならない方がおかしいよな」


ははっ…


自然と乾いたような笑いが出た。


「とりあえず戻ろう…怒られそうだ…」


多分、30分ぐらい経っている。

戻りたくない…絶対に怒られる…


通った道を戻っていると、ドア越しに怒鳴り声が聞こえてきた。


近付きたくねぇ…


そんなことを思いつつ、ドアを開けるとみんなが一斉にこっちを見た。


「すみません、遅くなり…」

「遅いねん!なにしてたん!?」

「本当にすみません…」


川口さんが怖すぎる…


「翔琉くん、なにかあったん?ケガでもしたん?」

「いえ、外に出るために近くの化物を殺してました。今すぐに行けば安全に外まで行けそうです」

「ほんまか!?」


みんなの顔がようやく明るくなった。


川口さんもホッとした顔をしている。


「はい、思っているよりも化物が多いのですぐに出た方がいいです」

「わかった。みんな!すぐに出よう!翔琉くん、最後までごめん。道は任せた」

「はい、大丈夫です。行きましょう」


先頭を走り、安全を確保してからみんなに来てもらうことになった。


社員専用通路を抜け、共通通路まで来た。

まだゴブリンは近くにいない、今のうちだ。


「燈黒君、ちょっと、待って…!」

「どうしました?」

「久しぶりに走ったから、ハァハァ…息を整えさせて!」

「わかりました。僕は今のうちに出口までが安全か見てきます」


そりゃ疲れるよな。普段走ることなんて少ないだろうし。


みんなが息を整えているうちに、隠密を使い出口の方まで確認しに行ったが問題が発生した。


「デカいゴブリン。あれがホブゴブリンっていうやつか」


普通のゴブリンとは迫力が違うな。

身長は余裕で2m以上あり、太くてゴツイ木の棍棒を持っている。


殺せるか?

いや、一度戻ろう。


「ということがあったんですが、どうしますか?僕が囮になって出口から化物を離した隙に逃げますか?」

「デカイ化物が出口の前に陣取ってる…か」

「燈黒君が倒せるんやろ?じゃあすぐに倒してきてや!」


川口さんの無茶振りきたー!

薄々気付いてたけど俺の心配はいっさいないのねー!あははー!


「すぐに倒せる自信はありません。戦ってる途中で新しく化物が来る可能性があるので…」

「じゃあさっき自分で言ってたし、燈黒君が化物のことを引き付けてるうちに私達が逃げたらいいやん!早く行ってきて!」


おほほほほほ〜

自分が言うのと他人が言うのとで何故こんなにも違いがあるのでしょう!

いいんですけどね!


「川口さん、さっきから翔琉くんに対して言い過ぎです」

「燈黒君にしかできひんねんからしょうがないやん!」

「僕は大丈夫です。それに僕一人の方が逃げやすいので気にしないでください」

「翔琉くん…」


店長が心配そうに見てくる。

そういう目を向けられると自分ぐ可哀想な思いをしていることを実感してしまう…


「燈黒!」


桜崎さんが肩を組んできた。


「すまんな、貧乏くじばっか引かせてしまって」

「気にしないでください。皆さんが生きて外に出られるように頑張ります」

「すまん。ありがとう」


30歳ぐらい年齢が離れてる人にここまで言われるとムズムズする。

頑張ろうという気持ちが湧いてくる。


「はやくして!」


そろそろ泣いていいかな?

気持ちよく行かせてほしいよ…


まぁ、それはもういいか。

覚悟を決めていこう。


「隠密」


自分の気配を消し、ホブゴブリンに近付く。


武器は短刀のみ。ゴブリンを倒しているときにボロボロのナイフを6本入手したが、今はまだ使わない。


ホブゴブリンのすぐそばまで来たがまだ気付かれない。隠密は便利で良いな。


どこを狙おうか?

一撃で仕留められる気はしない。

それなら確実に目を潰すか。


ホブゴブリン目掛けて跳び、片目を斬りつけた。


「なにっ!?」


だが避けられてしまった。


「アブ…ナイ…オマエ…ダレ…ダ」

「しゃべった!?」

「ニンゲン…コロス…!」


離したことに驚いていると、棍棒をおもいきり振り回してきたので慌てて後ろに跳んで避けた。


「お前、話せるのか?」

「オデ…ツヨイ…オマエ…ケハイ…バレバレ…ヨワイ…」

「はぁ?」

「オデ…ココデ…3バンメ…二…ツヨイ…」

「だからなんなんだよ」


ここで3番目?

こいつより強いのがあと2体ってわけか。


まぁすぐに逃げるし関係ないな。


「オデ…!ツヨイ…!オマエ…!コロス…!」

「やってみろよ」


短刀を構えるとホブゴブリンが突進してきたのを横に跳び避けると、棍棒を振り回してきた。


それを出口から離れるように後ろに跳んで避けたり、横に跳んだりして大袈裟に逃げながら避け続ける。


別に勝たなくていいからな。

避けるのに専念すればいい。

出口から離れよう。


「ニゲテ…バカリ…ヤッパリ…ヨワイッ!」

「流石3番目だな。動きが遅くて避けやすいよ」

「コロスッ!グオオオオオオオオッ!」


煽り耐性がなさすぎるな。

猪突猛進すぎて誘導しやすいから助かるよ。


店長には俺がナイフを投げたら出口を走るようにお願いしてある。


「ほらこっちだ!」


グサッ


「コンナモノ…キカナイッ!」


出口からかなり離れたのでボロボロのナイフを投げた。


よし。店長達は出口に向けて走ってるな。


「きゃああああああああっ!」


まずい、おばさまの山岡さんが転んでしまい、転んだ先にあった死体を見て叫んでしまった。


そしてホブゴブリンが叫び声がしたを向いた。


「ニンゲンッ!コロスゥゥゥゥゥゥゥッ!」


まずいな、まずすぎる…

ホブゴブリンが山岡さんに向かって一直線に走っている。


全速力で走る。間に合ってくれ!


ホブゴブリンが棍棒を振り下ろし、山岡さんに当たる直前で割って入ることができた。


短刀を盾にしなんとか耐えているが、いつ潰されてもおかしくない。


「くそっ!バカ力かよっ!」

「ひ、燈黒くん!」

「はやく逃げてください!」

「む、むり…腰が…抜けて…」


ドゴンッ!


このまま力比べをしても押し潰されるだけなので、なんとか棍棒を横に受け流すことができた。


今しかない!

筋力を重点的に上げた。それを信じて本気で殴る。


「グオォォォッ!」


無防備だったとはいえ、ホブゴブリンが吹き飛んだ。


「マジかよ…」

「え、え…?」


山岡さんもビックリしている。


「山岡さん俺に捕まれ!運んだる!」


いつのまにか桜崎さんが来ており、山岡さんをおんぶしていた。


「燈黒!お前もこい!」

「は、はい!」


ホブゴブリンはまだ来ない。

なんとか外に出られそうだ。


ドンッ


「は?」


見えない壁がある。


「燈黒?どうした!はやくこい!」


桜崎さんと山岡さんはもう外にいるし、店長達も外に見える。


「これ以上先に進めないです」

「はぁ!?何言ってんねん!」


桜崎さんが俺の腕を掴み引っ張るが、見えない壁にぶつかるだけだ。とても痛い。


「うそやろ…」

「僕は出られないみたいなので他の人を助けに行きます」

「何言ってんねん!おい!戻ってこい!」

「すみません。僕には僕のできることをします」

「燈黒…お前…」


桜崎さんが立ち止まった。


「お前…死んだら許さんからな。飯ぐらい奢らせろ」

「ありがとうございます。楽しみにしてますね」

「ニンゲンッ!」


ホブゴブリンが来た。

そりゃ生きてるよな。


「じゃあ行ってきます」

「おう。待ってるからな」


桜崎さんは外に出て行った。


「ニンゲンッ!イタカッタゾッ!」

「あんなので吹き飛ぶとか大したことないな」

「シネェェェェェェェェェッ!」


棍棒を振り回してくるのを避け、斬りつける。


「硬いな」

「ヨワイッ!」


棍棒を振り回しているのを全て避ける。

速度を上げていてよかった。


「ニゲテ…バカリ…!」


棍棒を振り回す激しさが増していく。


「ウガァッ!」

「やばっ…!」


短刀が棍棒に掠っただけで吹き飛ばされてしまった。


「シネェェェェェェェェェッ!」

「あぶねっ…!」


身を低くして避けるが、2発目がくる。


「ウガァァァァァァァッ!」


全力で横に跳び、なんとか避けることができた。


まともにくらったら防御力も上げていないし一撃で死ねるな。


短刀も回収することができたが、どうしようか。


近くの服屋に入ってみる。

中は狭いが、大きめの布があった。


「ニゲルナッ!タタカエッ!」


ホブゴブリンもついてきた。


ついてきたホブゴブリンに大きな布を投げつけ隠密を使用し、全力で近付き、左足のアキレス腱を斬り裂いた。


「グゥゥ…ヒキョウ…モノ…!」

「こんな子供騙しみたいな手に引っかかるなんてな!大したことなさすぎだぜ!」


叫びながら棍棒を振り回し、周りの物を吹き飛ばしてしまった。


「コレデ…コザイク…デキナイッ!」

「じゃあ別の場所に移動するわ」

「マテェェェェェェッ!」


さっきと比べると足が遅くなった。

でも殴り合うのは怖いな。


今度は広めの服屋に入って色々使えそうな物を探していると、ホブゴブリンがようやく来た。


「よぉ、遅かったな」

「ヒキョウ…モノ…!オマエ二…ホコリ…ハ…ナイノカッ!」

「誇り?そんなものいらん」

「ニンゲン…ヤハリ…シネッ!」


信じられないようなものを見たような顔をしたあと、先程と同じように棍棒を振り回して周りの物を吹き飛ばしはじめた。


「コレデ…ドウダ!」

「戦いやすくなったな」

「グッ…!」


棍棒を振り回している間に、隠密を使用し近付き、右足のアキレス腱辺りを斬りさいた。


「学習しないな」

「グゥゥゥゥゥゥゥ…」


ホブゴブリンは跪き、俺のことを睨みながらゆっくり立ち上がった。


「どうした?大人しくなったな?」

「グゥ…ニンゲン…ヒキョウ…」

「そうかよ」


ビニール袋に服などをまとめていた物を投げつけ、相手の視界を遮る。


「隠密」

「ドコダァ…!」


動きが遅いので斬って離れてを繰り返す。


隠密を使用、目隠し用の服、そしてただ全力で走って斬る。


隠密を使用していると敵に認識されずらくなるらしい。ただ服を投げ視界を遮っているだけでホブゴブリンは俺のことを捉えきれない。


最初は攻撃したら効果がなくなると思っていたが、敵に位置を完全に把握されない限りは効果があるみたいだ。便利なスキルだな。


「グオオオオオオオオッ!」


敵の攻撃を避けながら攻撃を続けていると叫びだした。


空気が震えるほどの咆哮ってこういうことを言うんだろう。


それにコイツ、完全にブチ切れたな。

足の痛みも忘れたのか普通に立っている。


「コロス」

「さてさて。どうやって殺せばいいんだろうな」


さっきの攻撃で敵は血まみれではあるが、致命傷になるような傷は与えることができていない。


こっちは一発でもまともにくらえば即死だろう。


「死ぬまで斬るしかないよな」


最初はゴブリン1体を倒しただけで気分が悪くなったのにな。


あんなに死体を見たり、ゴブリンを狩ってたらおかしくならない方がおかしいよな。


短時間で変わってしまった自分がおかしくて笑ってしまう。


「それじゃ、初めての殺し合いをするか」


覚悟を決め、短刀を握りしめ前に構えた。


自分が殺されるかもしれない。


それでも俺はこの状況を、少し楽しんでいた。






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