15話
「来い」
「余裕だな」
いつも通り突っ込み短刀を振ろうとすると盾が目の前にきた。
想定通りなので盾ごと斬りさくつもりだったが簡単に受け止められた。
「ゴブリンプリーストの結界よりも硬いな」
「我の方が強いからな」
気が抜けないな。
後ろに回り、斬りつけるが鎧に傷がつくだけだった。
「速いな」
大剣を躱し、一度距離をとった。
今までの奴の数倍強いし、短刀は予想通りあまり役にたたない。
指輪の力はまだ使わない。
油断したところに叩き込んでやりたいが、油断なんてしそうにない。どうしよう…
「どうした。もう終わりか?」
速さだけなら俺の方が上。
それなら風を足にだけ集中させ、もう捉えさせない。
正面や横、後ろ。攻めても攻めても効いている気がしない。
いや、鎧にはダメージが入っている。
何回か同じ場所を攻撃したので一部分だけほんの少し肌が見えている。
「面白い。さっきよりも速いな」
「余裕だな」
「当たり前だ。誇り高き戦士に敗北などない」
「ふっ、誇りねぇ」
そういえばあのホブゴブリンに誇りはないのか聞かれたな。
そんなに誇りって大事なものなのか?
「なにがおかしい?」
「あんたのとこのホブゴブリンに誇りのない人間って言われたのを思いだしてな」
「彼か。もしかして君が殺したのか?」
「さぁ?」
「そうか。ならば、敵討ちといこう」
やばい、煽りすぎた。
そのデカさと鎧を着て走るなよ!
「あぶねっ!」
「いつまで逃げられるかな?」
「舐めんな!」
「むっ」
攻めに出てくれたおかげで攻撃が通りやすくなった。
短刀を斬り上げるよう振ると兜に深めの傷がついた。
今のうちだな。
鎧が壊れて肌が見えている場所に回り、短刀を突き刺した。
「火よ、風よ!」
「ぐわぁぁっ!」
短刀に火属性を付与し風を纏わせ、火力を上げた。
「やっと効いたみたいだな?」
「やってくれる…」
本当に効いたのか?普通に立ち上がったぞ?
「これでは見にくいな」
兜をとりゴブリンジェネラルの顔が丸見えになった。
凛々しい顔をしているゴブリンだな。
「名はなんと言うのだ?」
「名前?燈黒翔琉だ。なんでそんなこと聞くんだよ」
「人間には名があるということを知って気になった。気になった相手の名をことを聞くのは普通なのだろう?」
映画に毒されすぎだろこのゴブリン…
「燈黒翔琉よ、君には敬意を払い、我も本気を出すとしよう!」
手を抜いててあの強さか〜…嫌になるな。
「はぁぁぁっ!」
「おいおい、マジかよ…」
ゴブリンジェネラルから紫色の禍々しいオーラが出ている。
ゴンッ!
盾を捨てた?
「行くぞ、燈黒翔琉」
「はやっ…」
「フンッ!…これを躱すか」
いきなりスピードが上がった。
まだ俺よりは遅いからなんとかなっているがどうする?
「フンッ」
「当てないと勝てないぞ?」
「避けてばかりでは勝てぬぞ?」
言ってくれる…少しでも怒ったり動揺してくれたらやりやすいんだけど。
「火よ」
バレたなら温存する理由もない。
全力でいこう。
「あのような攻撃はもうくらわんぞ」
「くっ」
躱して攻撃を繰り返しているがさっきよりも激しすぎる!
3回は絶対に死ねてるぞ!
「はっ!」
「しまっ…!」
ドガンッ!
…あー、くそ。くらっちまった。
短刀を盾にしたのに殴るだけでこの威力ってどうなってんだよ。
「翔琉!生きてるの!?」
「…残念ながら生きてるよ」
「残念じゃないよバカ!」
みかが近付いてきそうだったが、俺が手を振ると動きを止めた。
「終わりか?」
「ふざけんな。お前を殺すまで終わらねーよ」
「思ったより元気ではないか!さぁ死合おうぞ!」
なんでそんなに元気で嬉しそうなんだよ…
「痛い…」
なんとか立ち上がれたが全身が痛い。
腕が血だらけで、頭から血が垂れてくる。
足元は自分の血が少し溜まっている。
まさか人生で自分が血まみれになるとは思わなかった。
「翔琉…!」
「絶対来るなよ!」
「でも!」
「いいから!俺が死んだら逃げろ!」
「いや!」
大きい声を出させないでくれ。しんどい、疲れる。
「このような状況でも痴話喧嘩か」
「うるせーよ」
どうすれば勝てる?
次は殴って…いや、馬鹿だな。
どうして真正面から戦ってんだ?
慢心だな。みかに慢心するなと言っておきながら自分がするなんて。
自分が強くなって浮かれてた。スキルも増えたしなんとかなると思ってた。
「ふぅ、やめだ」
「もう諦めるのか?」
「お前を殺すまで終わらねーって言っただろ。お前の土俵で戦うのをやめんだよ」
「どういうことだ?」
「煙幕」
広すぎず狭すぎないこの場所を煙幕で暗闇に変えた。
「隠密」
「気配を消しても無駄だ!」
「本当に?」
背後から耳を斬り落とした。
「無駄じゃないみたいだな?」
「くっ、出てこい!」
「出てこいって言われて出ていくバカがどこにいるんだよ」
ゴブリンからのドロップ品であるボロボロのナイフに火と風を纏わせ投げつける。
ボガンッ!
「グッ…!」
「ナイフならまだまだあるぞ?」
「卑怯だぞ、燈黒翔琉!我と…!」
「もうくらわないんじゃなかったか?」
火と風を纏わせたナイフを全力で投げ着弾すると爆発するのでいい攻撃手段になった。
ナイフを投げ続け隙を待とうと思っていたが意外とはやかったな。
火と風を纏わせた一撃をくらわせた。
「グゥゥゥゥッ…燈黒翔琉!正々堂々戦え!」
ボガンッボガンッ!
正々堂々?戦うわけないだろ。
勝つためならなんでもするし、なんでも使う。
「グァァァァァァァッ!」
火と風を纏わせている短刀で片目を潰した。
「グォォォォォォォォォッ!」
大剣を振り回し煙幕をなぎ払おうとするが、煙幕を使い続け暗闇を維持する。
「燈黒翔琉ッ!」
「そんなに大声を出すと出血死するぞ」
「そこかッ!」
大振りの大剣を躱した。
今までにない絶好のチャンス!
ゴブリンジェネラルの腹に短刀を突き刺す。
「火よ、風よ!」
「グァァァァァァァッ!」
腹周辺の鎧が砕けちったがまだ生きている。
「風よ!」
右手にだけ集中して風を纏わせる。
相手は無防備。
「これで終わりだ!」
まだ火を纏っている短刀を風を纏わせた拳で全力で殴りつけた。
ドガァァァァンッ
煙が消え、その場に残っていたのは上半身が吹き飛び下半身だけが残ったゴブリンジェネラルであった。
「はぁ…はぁ…。なんで身体が消えねぇんだ?」
「翔琉!すごい、すごいよ!」
「痛いって!抱きつくな!」
身体中ボロボロなのに力いっぱい抱きつかれてかなり痛い…
そんなことよりも奴だ。レベルが上がっていないしまだ生きてるはずだ。
「離せって!あいつはまだ生きてる!」
「え?」
「レベルが上がってないだろ?あいつが死んでない証拠だ!」
「えー!?これで生きてたら化物すぎない!?」
上半身が吹き飛んだであろう場所へ探しにいくと声が聞こえた。
「我は…負けた…のか…」
「しぶといな」
「燈黒…翔琉…」
「なんだよ。卑怯だって言いたいのか?非力な俺はあの戦い方じゃないと…」
「非力…ククッ…我をこのような目に合わせて…非力か…ハハハッ!」
嘘だろ…?
顔と片腕しかほとんど残ってないのにどうして笑えるんだ?
「まだやるつもりか?」
「ククッ、我はもう戦えぬ…。見ればわかるだろ?」
元気に笑ってたら再生でもするのかと思うだろうが。
「燈黒翔琉よ…我は楽しかったぞ…」
「卑怯な人間に負けたのにか?」
「君は強かった…卑怯とは言ったがあれは君の立派な戦術…誇るがいい」
「卑怯だとか誇れだとか、なんなんだよ」
「我らにとっては大事なことだ…気にするな…」
「そーかよ。最期の最期まで誇り高き立派な戦士様だな」
「フッ、最後に戦ったのが君でよかったよ、燈黒翔琉。…さらばだ」
【レベルアップしました】
【レベルアップしました】
【レベルアップしました】
【レベルアップしました】
【ボスを討伐しました】
【特別報酬:漆黒のパンツを入手しました】
【特別報酬:漆黒のブーツを入手しました】
【特別報酬:黒刀を入手しました】
【条件を達成しました】
【中級職:忍に転職しました】
【スキル:空蝉を獲得しました】
【スキル:まきびしを獲得しました】
【ゲートの主を討伐したことにより、入場制限を解除します】
【日本の残りのゲートの主は4/5体です】
おいおい、なんなんだよこれ!?
…あーもう無理無理。むりむりむりむり。
レベルが上がって傷が塞がったからって疲労まで回復するわけじゃない。
もう限界なんだよ!
休ませてくれ!
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名前:燈黒 翔琉 レベル:19
職業:忍
HP:675 MP:290
筋力:39 防御力:1
速度:20 知能:2
感覚:20 運:1
スキルポイント:20
<スキル>
隠密 煙幕 風 空蝉 まきびし
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