12話
「風よ」
風のスキルを使ってみたがかなり汎用的でなんでもできるっていう印象だ。
武器に風を纏わせ攻撃力を上げたり、全身に風を纏わせると身体能力も少し上がったりなど、他にも色々使えそうなんだが…
「使いこなせる気がしないな…」
MPの消費が少ないのも利点か。
まぁ色々試していこう。
「そろそろ戻るか。そうだ、戻る前にご飯ももらっていこう」
近くにワッフルのお店があったのでいただくことにした。
ゴブリンを倒している報酬ってことで許してもらおう。
「おっそーい!なにしてたのって、何持ってんの!?」
「ワッフル」
ワッフルはインベントリに入らなかったので袋にパンパンに詰め込んできた。
飲み物もちゃんと近くの店でもらってきたのでもう安心だ。
「ずるい!私にもちょうだい!」
「はいよ」
こうなると思ってたからあるだけ持ってきたんだ。
スーパーやコンビニのワッフルしか食べたことなかったけど、お店のワッフルってこんなに美味しいんだな。
「まったく。あんたらには緊張感ってものがないのか?」
「安全なところでぐらい楽にしたいだろ?」
「そうよそうよ!このワッフル美味しいね!」
菫が呆れた顔をしているな。
「食べるか?」
「…1つくれ」
「どうぞ」
なんだ食べたかったのか。
強気な女性でも甘いものを食べるんだな。
「どうやってゴブリンプリーストって野郎を殺したんだ?」
「顔を殴って粉砕した」
「ははっ!漢気あるじゃねーか!」
「いてーよ」
菫が背中をバンバン叩いてくる。
普通に痛い…
「あまり大きくなかったの?」
「かなり大きかったぞ。縦にも横にも」
身長は3mぐらいあってデブだったな。
「えぇ…どうやって殴ったの?」
「ジャンプして床に叩きつけてそれからずっと殴った」
「ぐろいよぉ…」
ワッフルを食べてる手が止まっている。
「食べてるときに聞くなよ」
「気になったんだもん」
それからワッフルを満足するまで食べた。
ちゃんとした休憩をとったのはこれが初めてかな。このまま寝ころんで寝たいな。かなり疲れた。
「ねぇ、まだ戦うの?」
「休憩しよう。寝たい」
「よかったー。私もねむーい」
でもどこで寝ようか?
いくらゴブリンが少ないからって寝るのは怖いんだよな。
「はぁ…寝るだけなら奥で寝な」
「いいのか?」
「寝るだけならな!」
「わかってるよ。ありがとう」
「ありがとう!」
気に入ってもらえたのか?
最初はあんなに嫌われてたのに。
「どこで寝るの?」
「身体が冷えにくそうな場所で寝たいな」
「そうだね。はぁ…ベッドで寝たいな」
「寝れるだけ贅沢だろ」
「そうだけどさぁ…」
13人いると言ってたがどこにいるんだ?
もっと奥にいるのか?
服が汚れそうだと思ってその辺で寝るのは嫌だったけど、この服ってホブゴブリンを倒したときに入手したやつじゃん。汚れていいや。
「ここで寝るつもり?」
「うん。もうどこでもいいやと思ってな」
「えー…」
「他に良さそうな場所を探してきたらどうだ?」
「私もここで寝る」
寝るのか。周りにはケチャップなどの調味料があるのに気にしないんだな。
『あのー、寝るんですか?危険はないんですか?』
テレビ局の人は俺が大きい声を出すなと言ってからそれを守ってあまり話しかけないでいてくれている。
「このあたりまでくるモンスターは弱いし、見張ってくれているし多分大丈夫ですよ」
『多分って…』
「そもそもゴブリンがここまで来た形跡すらないんですよ。俺はもう眠いので寝ますね」
「私も寝まーす」
『はい…わかりました…通話はこのままでお願いしても大丈夫ですか?』
いいよなんでも。寝かせてくれ。
壁にもたれて寝ようとしてたら、みかが俺にもたれてきた。
「おい、なんだよ」
「壁かたいから」
「俺もたいして変わらんだろ」
「いいから。寝させて」
「はぁ、わかったよ」
「ん」
ドキドキして寝れねー!とかそんなもんないですよ?
役得ではあると思う。女の子って感じの香りがするし、柔らかいし温かいし…
この温かさが心地よくていつのまにか寝てしまっていた。




