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蒼聖の理由

 ――爆音が聞こえる。


 ――人の叫び声が聞こえる。


 日本語喋ろよ。何言ってんのかわかんねえ。


 意味不明の言葉で必死に命乞いをする目の前の一般人らしき男の首を切る。


 男は血飛沫を飛ばしながら地面に伏した。


 また一つ、爆弾が落ちてきた。今度はオレの頭上に。


 駆ける。一瞬遅れて背後で爆発音が鳴り響いた。


 血の焼ける臭いがする。オレは物陰に隠れていたガイコクジンの女の子を見つけて即座に殺した。


 嗚呼。もうやめてくれ。


 これが夢なんてことわかってるんだよ。


 だからもう、やめてくれ。醒めてくれ。


 そう思いながら、オレは実の兄を刺した。







*****







「――……」


 ゆっくりと目を開ける。


 ……まだ異世界こっち来てそう何日も経ってないのにもう二回も気絶するとか……。


「アリルじゃあるまいし……そう何度も気絶してらんねーよな」


 よっこらせと上半身を起こす。


 周りを見渡すと、ここが先日泊まった宿屋だとわかった。今は誰もいないようだ。

 独り言が聴かれてなくてよかった、と少し安堵する。


「あれ」


 ガチャリとドアが開いて、ルリとアイが入ってきた。


「なんだ、もう起きてるじゃん」

「にゅ」


 トテテとアイが寄ってきて、頭を撫でろと行動で示してきたので撫でてやる。


 ルリはもう慣れたのかそのことには何も言わず、容態の心配をしてきたので。


「大丈夫」


 と答えておいた。まあ本当に大丈夫だし。


「メルは?」

「お手洗いよ」


 成る程。


「ま、何はともあれこれで神たちにも勝てるかもな」

「ん? なんで?」

「アイの強さ見たろ? こいつと俺がいればどうにかなるかも……」

「確かにすごい技だったわね、トーテンクロイツだっけ」


 アイがコクンと頷く。


「……まあ私の力じゃ神様には勝てないけどにぇ」

「……あれでも勝てないの?」

「でもマスターが勝負になる程度にはサポートしてくれてるはず……あとは頑張り次第で勝てる」


 おお、クレット動いてくれてるのか。


「それは心強いな」

「に、マスターはサポートに関しては超一流」


 へー。


「お待たせしました」


 と、メルが入ってきた。


「おや、もう大丈夫なんですか?」

「おう、ばっちし」


 ベッドから降りて立ち上がり、身体を動かして大丈夫なことをアピールする。


「そうですか……ではヒロさん」

「ん?」

「覚悟は、出来てますか?」


 …………。

 それは、神と戦う覚悟はできたか、ということなのだろう。


 今までの敵……といってもこっちの世界での実戦経験は少ないが、間違いなく最強だろうな。


 でも……


「できてるさ、オレは神を倒すために呼ばれたんだろ?」

「……義務感で動いてるなら、ご遠慮します」

「義務感なんかじゃないさ」


 そんなもの、最初から持っちゃいない。


「ではヒロさん、質問します。貴方は何のために戦うのですか」


 相手の都合も考えずに、一方的に呼んどいて、帰す方法は無し。

 そんなやつらのために戦う。


 ……確かに、オレは何のために戦ってるんだろうな。


 うーん。


「よくわかんね」


 オレのセリフにルリとメルが目を見開く。

 そりゃそうだ、理由も無しに命をかけるなんてばからしい。


 ――だから、


「だから、それをこの旅で見つけようと思ってるんだよ」


 ……うーん、言ったはいいものの、ちょっとキザっぽいかな?


 でもメルは「ふむ」と頷き、

「わかりました」


 とだけ言って、出発の準備をしにルリとアイを連れて部屋を出て行った。


 さて、オレも荷造りするかな、といっても、荷物ほとんど無いけど。




 ……あ、鉄甲どこいった?

12月13日大幅修正……というか書きなおし

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