蒼聖のプロローグ
もう1人の主人公のプロローグです
西暦4001年――――
人類は兵器を棄てた。
西暦3000年から4000年まで続いた通称“千年戦争”は人類の人口を5分の1まで減らし、アフリカ大陸完全消滅、日本列島とユーラシア大陸半壊、北アメリカ大陸南アメリカ大陸共に荒廃という最悪の結果を残しながらも戦争に参加した者が得るものは何も無かった。
誰かが言った、「これは大量虐殺兵器の存在が招いた結果だ」、と。
誰かが言った、「一度原点に戻ってみるべきだ」、と。
全人類がそれに賛同し、頷いた。
全人類で行われた武装放棄、かつて無い規模で行われたそれは世界中から武器を無くすことに成功し、世界は1000年ぶりの平和を手にした。
例えそれが一時しのぎでも、例えそれが仮初めだったとしても。
人々は歓喜した。
そんな時代で18歳の誕生日を迎えたオレの名前は蒼井 浩、今時珍しい黒髪黒眼の生粋の日本人だ。
尤も今は倭国人だが、大量に人が死んだ戦時中を18年間も生き残った子供は物凄く珍しいだろう。
そんなオレは今1人寂しく誕生日パーティー。2000年程前に書かれたという古文書に載っていた“マ○ドナルド”というふぁーすとふーど店を再現したとこでハンバーガーというものを食べている。
「……結構美味いな」
パンとパンの間に肉とピクルスとかが挟まってるだけのモノだが普通に美味い、幾分か量が少ないのが欠点か。
ま、安いからいいけど。
包み紙を丸めて、トレイに乗せる。
そしてトレイを返却して包み紙をゴミ箱へダスト。
店を出る。
一歩出ると蔓延するムワッとした空気。
此処は東北地方と沖縄が消えた元日本で“倭”という国だ。オレが住んでるとこはその中で名古屋県(元愛知県)というとこで、2000年代の始めらへんをモチーフとして作られた街である。
夏は嫌い、子供の頃の記憶を思い出しちゃうから。
灼熱の烈火が街も人も森林も全てを焼き、逃げ惑う人達が叫び、核兵器が複数個落ちてくる戦争。そして――――
……思い出すと鬱になる、やめよう。
熱されたアスファルトの上をスニーカーで闊歩する。
辺りに人気が無くなった、近道の裏路地に入ったのだ。
ちょっと臭いが此処を抜ければすぐにオレの住むアパート、歩を速める。
もうすぐ裏路地を抜けるときにオレの目の前に黒い穴が出現した。
「――――っ!」
すぐにブレーキをかけるオレだが歩くスピードを結構速めてたため急には止まれず、オレは黒い穴に入っていった。
オレが入った瞬間黒い穴は閉じられ、辺りが真っ黒になる。
「何だ……コレ――――」
オレの意識は闇に落ちた。
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