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創世の連絡

『マスター』

「ん? アイか? 何だ」


 翌日、朝食として9個目のハンバーガーを食べている俺にアイから連絡が入った。


『ヒロがマスターに訊きたいことがあるって……、耳もリンクさせていいですか?』

「……! 繋げてくれ」


 ピリピリっと俺の耳に電気が走る。


 しばらくすると、今アイが聴いているであろう音が俺の耳に入ってきた。


『アイ、もう繋がってるのか?』

『にゅ』


 ヒロ君の声が聞こえる。


『あー、クレット、聞こえるか?』

「聞こえてるよ」

『聞こえてるよ』


 アイが俺の言葉を反復する。


『ええっと、オレさ、暴走している神様たちを倒すために旅をしてんだけど……手伝ってくれないか?』

「倒す……? 殺すってことか?」

『倒す……? 殺すってことか?』

『え? ええっと……』

『殺しません』


 お、この声は銀髪の姫様……メルだっけか。


『私とルリは王族です、その秘伝ワザを使えば弱っている神くらいなら封印可能です』

「封印……ね、それで俺も弱らせるの手伝えと」

『封印……ね、それで俺も弱らせるの手伝えと』


 あー、確か初代の王族に色々秘伝に技伝えたな……。


『勿論お礼はいくらでもします、どうかお助けください』

「……ふっ」

『……ふっ』


 俺は不敵に笑う。


「姫様の……いや、麗しき女性の頼みとあっちゃあ聴かないわけにはいかないなぁ……」

『姫様の……いや、麗しき女性の頼みとあっちゃあ聴かないわけにはいかないなぁ……』

『それでは……!』

「だが断る」

『だが断る』


 一度言ってみたかった。


 唖然としているであろう一行に俺は続けて声をかける。


「俺はあくまで脇役でサポートで創る者だ、主人公でメインで戦うのはお前の仕事だよ、ヒロ君」

『俺はあくまで脇役でサポートで創る者だ、主人公でメインで戦うのはお前の仕事だよ、ヒロ君』


 アイが告げ、沈黙が流れる。


 まあ俺の言ってることは理解できないだろうな、現時点・・・では。


『どういう意味だよ、それ、それにお前が解決できるなら解決すればいいじゃねえか』


 しばらくしてヒロ君が声を出した。


 解決できる……ていうか俺原因の雇い主なんだけどな。


「それじゃ面白くない、それにこれはお前のためでもあるんだ」

『それじゃ面白くない、それにこれはお前のためでもあるんだ』


 とりあえず、それっぽいこと言って誤魔化す。


『クレットさん、私からもお願いします。どうかこの世界を救ってください』


 世界を救う……ね、そういうのはいつだって神の仕事じゃなく、勇者の仕事だよ。


「だが断る……って言ってるだろ? ま、ヒロ君が人間の身で神様に勝てるくらいのサポートはしてやるから安心しろ」

『だが断る……って言ってるだろ? ま、ヒロ君が人間の身で神様に勝てるくらいのサポートはしてやるから安心しろ』


 主に八百長とかで。


『はあ……じゃあもういいよ、その代わりそのサポートってやつはちゃんとしろよ』

「ん」


 こいつ……、


「ああ、任せろ。それじゃあな」

『ん、ああ、任せろ。それじゃあな』


 回線を切る。


 12個目のハンバーガーを咀嚼し、俺は立ち上がる。


「サンスン」


 呼ぶと、バサバサっと羽根を撒き散らしながらオレンジ色の身体に黒い羽根と瞳をした趣味の悪い色のカラスが窓から入ってきた。


「……貴方がこの色で創ったんでしょうが」

「カッとなってやった、許せ」


 そのカラスは突然変異し、オレンジ色の髪に黒い瞳の微イケメン、サンスンへと変化した。


「まあいいじゃん、人型の時の違和感はあまり(・・・)無い」

「少しあるんですね……」

「ほら、俺って日本人だし、黒は当然として金や茶はまだ違和感無いんだけどオレンジは無いわー、趣味悪」

「そういえば僕いじられ役として創造されたんでしたね……まあいいです、要件は何ですか?」

「いや、新八っぽいのを創ろうと思っただけなんだがな。まあいいや、要件は……まず魔族の動きから聴こうか」

「一晩じゃそんなに変わりませんよ……でも『忌むべき邪神』復活までの期間がわかりました」

「へえ、いつだ?」

「大体あと一年と思われます」


 一年……か、結構短いな。


「……そうか、サンスン」

「はい?」

「お前は引き続き魔族の調査を頼む、俺は一旦座へ帰る」

「……何故、座へ?」

「神力の回復が遅い、信仰が薄れてるみたいだな……ちっ」


 全開の十分の一も無い、これじゃあ『忌むべき邪神』どころか魔王にも勝てない。


「そんなわけでヒスイとラオにも言っといてくれ、アイは俺が連絡しとくから」

「了解です」


 バサッと羽根が散ったと思ったら、もうサンスンの姿は無かった。


 それを確認すると、俺は次元の扉を開き、座に帰った。

座というのは神様の普段いる別世界です。

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