創世の陰謀
ちょい短いです
よっし、ブルーフェニックスの改造完了!
『些か……やり過ぎではないか?』
「いーのいーの、少しやり過ぎじゃないと感じでないっしょ」
しかし少し人と話すの慣れてきたな、ブルーフェニックスと話し合ってたおかげか。
ま、ブルーフェニックスは人じゃないんだけどね。
ブルーフェニックスはやれやれ、と溜め息をついて蒼炎を撒き散らしながら元の場所に戻った。
台座に乗ってる松明にポッと蒼い炎が灯る。
火の神が座に戻った証だ。
ふーっと一息ついて、意外と神力を消費してることに気づく。
そりゃそうか、ヒロ君との戦闘で双焔と巨大な突風、時空間系の結界とエクスカリバーを創造して移動のために超時空エンジンも創ってブルーフェニックスを諌めるために滅炎紺剣使って色付けた二回分の神への給料……減らないほうがおかしい。
「こりゃ他の神どもに給料与えるだけの量は無いな……」
はぁっと溜め息を漏らす。
一度休息を取り、神力を回復させなければならない。
「しかも最近神どもの所為で少しずつ創造神への信仰が薄れてるっぽいしなぁ、こりゃ意外と給料与え終わるまで時間かかるかもな」
また溜め息を漏らす。さて、ヒロ君がいる町に行くかなっと超時空エンジンを出そうと思い、やめた。
あれって結構神力食うんだよなー。
しゃあない、走っていこう。
地球では身体能力は並だったが、重力が低いこの世界なら某眼鏡少年のように速く、疲れずに走れるだろう。
(まさか重力を適当に設定したことが吉と出る日が来るとはなぁ)
そんなことを思いながら俺は近場の町に向かって走り出した。
*****
『ニャー』
「そっか、まだヒロ君は目覚めないか」
あの後、なんとか日がある内に町に着けた俺は、アイと連絡を取っていた。
『ニャーニャー』
「うーん、もうちょい手加減するべきだったか? いやでもヒロ君強ええんだよ、一定以上手加減したら即死クラスだよ」
『ニャー』
「ま、そうだよな」
会話終了。回線を切る。
泊まった宿屋から街並みを見る。
この世界は……俺が創ったものだ。
なのに、何でこんなにも汚いんだろう。
「それはマスターが1200年もサボってたからに決まってるでしょう」
「だよねー、はっはっは」
後ろから至極当然なことを言われて笑う。
いや、笑い事じゃないけど。
「ま、それでもいいじゃないかサンスン、俺がいなくても世界は回っている」
「貴方がいないと僕たちが大変なんですよ……200年前の暴走まで神様たち抑えてたの僕たちなんですよ」
そう言って体を震わせてるこの微イケメンはサンスン。
山吹色の髪に黒い瞳の俺のお手伝いさん、黒い翼を生やしたりできるのが特徴で、アイと似たような感じのやつだ。
「マジで? それはすまんかったな」
「全く……後でヒスイやラオにも労いの言葉かけといてやってくださいよ」
「あいあい」
ちなみにヒスイってやつもラオってやつもサンスンやアイと同じお手伝いさんだ。
「で、魔族のほうに動きはあったか?」
若干シリアスな空気を醸し出しつつ、俺は訊ねる。
「ええ、大分動きが活発化してましたよ。一匹捕まえて尋問したところ……魔王の復活が判明しました」
「判明……というより確定したってほうが正しいかな、あーめんど」
「ただ人間への侵略はまだ先のことらしいです、何でも『忌むべき邪神』を復活させようとしているみたいで……」
「はあ!? あれはやばいだろ……俺でも全力じゃないと勝てんぞ……」
『忌むべき邪神』
史上最悪の、最高傑作。
「しかし魔王や『忌むべき邪神』に勝てるのはおそらく貴方のみです、早めに叩くのが吉かと」
「…………」
魔王、魔王ねぇ……。
「いや、一人いる」
「え?」
異世界冒険記。ラスボスは魔王ってか?
面白そうじゃん。
「やっぱ魔王を倒すのは勇者だろ、常識的に考えて」
俺が黒い笑みを浮かべると、サンスンは額に手を当てて溜め息を吐いた。
きっとまた、ろくでもないこと考えてんだろうなぁ、とか思ってるんだろうな。