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創世の試合

遅れてすいません!

 まずヒロ君は軽くジョブを放ってきた。


 それを軽く避ける……なんてまねは俺には出来ないから、俺の中に『高い反射神経』を創造し、反射で避ける。


 そして連撃してきたがそれも全て反射でいなすか避けたりして事なきを得た。


「早いな」


 褒めとく。俺に能力が無かったらもうすでに終わってるよ。


「お褒めいただき光栄だね……と」


 鉄甲が双焔に当たる。静かな森に甲高い金属音が響いた。


「はぁっ!」


 ヒロ君が掛け声と共に回し蹴りを放った。


「ふっ」

 それを辛うじて屈んでかわす。


 あっぶねーな、俺の創った反射神経を上回りかけた。


 一旦距離を取った瞬間、ヒロ君が追撃しに突っ込んできた。


 やっべ、びっくりしたから武器投げっちゃった。


 今から創造するとポケットに手を突っ込まなきゃいかんから殺られるよなぁ……。


 しゃあない。


「blast」


 めちゃくちゃすごい風を創造。


 うん、漠然としかイメージしてないのにちゃんと創造されるのがすごいよね。


 俺の手から放たれた風はヒロ君に直撃し、ヒロ君は光の速さで森の遙か向こうに飛んでいった。


「…………」


 うーん、流石は地球人。俺もだけど魔力耐性がハンパなく低い。


「…………」

「…………」


 お、姫様二人が唖然としてる。

 そうだな、この二人には説明しとくか。


「えーと、ルリさんにメルさんだっけ」

「え、あ、はい」

「……、そうよ」


 俺が話しかけると姫様二人はハッとしたように返事をくれた。


「えっとだな「ちょ、ちょっとアンタ!」」


 セリフを遮られた、ちょっとイラッとしながら声の発信源を見る。


 金髪ツインテイルの方だった。


「何だ?」

「うっ、何で最近ふてぶてしいやつとの遭遇率が高いのよ……じゃなくて、何なのよ今の! blastって風魔法の中でも中の下がいいとこの魔法よ!? なんであんな威力が出るのよ!?」


 へーそうなんだ、知らんかった。


 てかblastって適当に言っただけだしあんま関係ないんだよな。


「いや、あれはヒロ君の体質の所為だ」

「体質?」


 まあ、俺が放ったのはただの風だけど説明するにはちょうどいい。


「ヒロ君はな……魔力を一切持ってないんだ」

「え!?」


 金髪ツインが驚嘆の声をあげる。


 まあ俺も魔力は持ってないんだけどな。


 地球人は皆魔力を持たずに生まれるんだよなー。


「しかも今まで一度も魔力に触れたことが無いから魔力耐性も極端に低い、その分身体能力はニホンに住むやつらの2、3倍はあるけどな」


「…………」

「…………」


 双子は唖然としてしまってる。


 当然だよな、今まで人間が魔力を持ってるのは当たり前だと思ってたのにそれを持たない人間が現れたってのは相当な驚きだ。


「……何で、貴方はそんなにヒロさんのことに詳しいのですか?」


 銀髪ロングが問う。まあ当然の疑問だろうな。


「……さあね」


 今日のところは適当に誤魔化しとこう。


 ちょうどヒロ君も来たみたいだし。


「お、意外と早かったな」


 横を見ると全身傷だらけのヒロ君が草木を掻き分け現れた。


 銀髪ロングが何か言いたげだったが無視、ヒロ君と向き合う。


「さ、続きをやろうか」


 さっきは勢いで風創っちゃってごめんねーっと心の中で謝りながらポケットから双焔を取り出すように創る。


「ああ安心しろよ、さっきみたいにもう魔法は使わないから、

そして――」


 殺気を創造する。そしてそれをヒロ君にぶつけながら言う。



「本気を見せてみろよ」



 あからさまじゃねえか、ヒロ君。


 手加減してんじゃねーよ、丸わかりなんだよ。


 そんなことを思いながら、双焔を構える。


 おかしいんだよな、さっきから。

 俺は確かに高い反射神経を創ってるが元々素人だ、ヒロ君は何かの武術をやってるだろうに俺にはまだ傷一つ着いてない。


 手加減されてるようで、気持ち悪い。


「……生憎とオレの本気は……、オレの武術は――」


 ふむ、何だ? 空手か? 少林寺拳法か?


「――殺人術だ」


 ……………………は? ホワイ? 


 ワンモアプリーズ……殺人術?


 ち ょ っ と ま て



 即座に『自分以外の時間が止まった空間』を周囲に創造。

 世界から音が消え、色が消える。


 しかしどういうことだ? 殺人術?

 現代日本でそれは有り得ないだろ常識的に考えて。てことはヒロ君がただ厨二病ってだけ? 


 ああもうわけわかめ!


 こういう時は創造神のおっさんに訊こう。それが一番手っ取り早い。


 俺は『創造神のおっさんと念話するためのライン』を創造し、話しかける。


『おいおっさん! ヒロ君が殺人術覚えてるらしいんだけどどういうこと!』

『むぁ? ああお主か、それはそうじゃろ』

『へ?』

『お主が地球から離れて幾千の時が経ってるのじゃよ? 戦争が起こって当然じゃろうが』

『……な!?』

『……詳しくはヒロ君の経歴でも見ればいい、じゃあラインを切るぞい』


 プツンと、何かが切れる感触がした。


 それは俺が創ったラインが切られた音だと理解し、ヒロ君を見る。


 停まっている。時間が止まってるし、当然だが。


 俺は『視認している人間の経歴をゲームのキャラ名鑑みたいに紹介している図』を創造。


 ブウンっとスクリーンが浮かび上がる。

 そこにはヒロ君が辿ってきた全てが書いてあった。






 ――『幸せな子供達ハッピーチルドレン』ねぇ……。


 ヤバい、地球滅ぼしたくなってきた。


 まあそれは今度にしとこう、とりあえず今は『自分以外の時間が止まった空間』を『破壊』を創造することで破壊する。


 時空間系の物質を創造すると神力の消費が激しい。


 世界に音が戻り、色が還ってきた。


「いいよ」

「……は?」


 ヒロ君が呆気に取られた顔をする。

 でも俺はヒロ君の本気がどれほどのもんなのか見ておく必要がある。


 だから――


「殺人術でも何でもいいよ、本気で来なきゃ殺す」


「…………」


 ヒロ君は軽く呆けた後、静かに目を綴じ、開けた。


 そこにはさっきまでの普通の青年らしさは無くなり、凶暴な殺人鬼みたいな青年がいた。


 そして、気づいた時にはヒロ君が懐に入っていた。


「――――!」


 反射でかわす。けどかわしきれずに腹に蹴りが掠った。


 すかさず剣を振り落とすが、鉄甲で軽く弾かれた。


 ――相手を殺そうと思えば思うほど強くなる殺人術……【HC流殺人術】――か。


 ヒロ君が俺の股も間に脚を差し込み上に振り上げる。


 金的……ってやべー!


 急いで世界のルールに『自分は金的でダメージを受けないというルール』を創造。

 ヒロ君の脚が股間に当たった感触はしたが痛くはなかった。


 セーフ。金的が全く効いてないのに驚いたのか、ヒロ君が一歩下がる。


 追撃。×を描くように剣を交差させる。


 屈んで避けられた。しかも速攻で反撃してきやがる。


 ヒロ君は俺に背を向けるくらい腰を捻っている。裏拳か?


 ヒロ君の拳が来る位置を予想してそこに双焔を構える。


 しかし次の瞬間ヒロ君が視界から消えた。


 どこだ? と辺りを見渡し、気付く。


 上か――――!


 かかと落としかハンマーか跳び蹴りか何かは分からないがおそらく何か攻撃を仕掛けてくるだろう。


 防御はどんな攻撃か分からないし無理。つまりやることは回避!


 超時空エンジン創造!


 ヒュンとワープのような速度でヒロ君の後ろに回り込む。


 黒く歪な形の車のエンジンらしき物体――超時空エンジンは一応俺の切り札だし見られないように速攻で『破壊』を創造して破壊した。


「褒めといてやるよヒロ君、おそらく君はこの世界では最強の身体能力を持ってる」

 いや、前の世界でも最強に近かったかな、どうしても近代兵器には負けてたみたいだけど。


 そんなことを考えながら一振りの剣を創造する。


 黄金の刃に、黄金の柄、鍔、そして蒼く光る宝石。


 始祖聖剣エクスカリバー


 俺が初めて創った聖剣だ。


 これの能力は……まあ色々あるが、今回はその色々の中の一つを見せよう。


始祖エクス……」


 標準は呆けてるヒロ君、威力は気絶程度、注ぎ込む力は神力!


聖剣カリバー!」


 注いだ神力は、質量を持つ光として放たれた。

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