表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/25

蒼聖の戦闘

テストがまだ終わってないのに投下、土日があるから(多分)大丈夫なのさ!

 小手調べとしてジャブを軽く打ち込む。


 クレットは薄く、脆そうな双剣で弾くなんてマネはせず、身体を傾けて避けた。


 すかさず連撃。しかし全て避けるか逸らされるかして外れた。


「早いな」


 クレットが言う。


「お褒めいただき光栄だね……と」


 この世界に入ってきてから相当身体能力が上がったんだけど……こいつはこの世界でも別格っぽいな。剣も相当良いものっぽいし。鉄甲も。


 静かな森に金属音が響き渡る。


「はぁっ!」

 回し蹴り。

「ふっ!」

 屈んで避けられる。


 身体能力だけなら……勝ってる。

 行ける!


 そう思い、地面を踏みしめ加速した瞬間――


 ――目の前に朱い剣が現れた。


「――――っ!」


 鉄甲で払いのける。

 得物を投げるなんて――非常識な……!


 クレットはオレの射程圏から離れていた。

 両手を突き出し、ボソッと何かを唱えた。


「blast」


 瞬間――莫大な風がオレを蹂躙した。






 樹をなぎ倒し、草を刈り、岩を粉砕するも尚止まらず。


 どこまで吹き飛ばされるのか不安になりながらも空を切る。


 そして――巨大な岩壁に突き当たり、岩盤を削って岩壁の中へ、岩の中を突き進み、少ししたら止まった。


「っぁ~」


 かなり痛い。いや、樹とか岩とかにぶつかっても全く痛くないんだけどあのクレットが放ったblastっていう魔法? 多分魔法、がヤバかった。全身が引き裂かれるかと思った。


「ぬぅぁあああああああああ!」


 力を振り絞り、粘土くらいの硬さの岩壁を崩して脱出する。


 全身が痛むが、元の場所へ戻ろう。あそこにはメルもルリもいる、クレットは悪い奴じゃなかったっぽいが万が一だ。

 それに双子は仮にも王女、使い道は幾らでもある。


 痛む身体を引きずって歩く。オレが吹き飛んできた跡が道みたいになっていてわりと早く着いた。


「お、意外と早かったな」


 白髪の2枚目、クレットが腕を組んで待っていた。ニヤニヤと笑みを浮かべている。


 メルとルリには何もしてないようだ。一安心。


「さ、続きをやろうか」


 そう言ってクレットはさっきと同じ朱い双剣を構える。


「ああ安心しろよ、さっきみたいに魔法はもう使わないから」


 そして――とクレットは続ける。


「本気を見せてみろよ」


 ゾクッと悪寒が背筋を駆け巡る。


 殺気。純粋な殺気。


 戦時中でも、こんなの感じたことが無いぞ……!


「……生憎とオレの本気は……オレの武術は殺人術だ、試合では……」

「いいよ」

「……は?」

「殺人術でも何でもいいよ、本気で来なきゃ殺す」


「…………」


 目を瞑り、静かに開ける。


 そんなに見たいなら――見せてやろう。


 “蒼井 浩”ではなく……“幸せな子供達ハッピーチルドレン”唯一の生き残りとしてのオレを……!





 地面を蹴る。全身のバネをフルに使い、構えられたら双剣をかいくぐっての前蹴りをお見舞いする。


「……!」


 クレットの顔に焦燥が浮かぶが、腹を掠めただけで避けられた。


 振り下ろされた朱い剣を鉄甲で弾き、金的。


 完璧な角度で決まったが、何かで防御してるのか、全く反応を見せなかった。


 一歩下がる。するとクレットは追撃してきた。


 双剣で×印を描くように一閃、いや二閃か?


 オレはそれを屈んで避ける。そしてそのまま裏拳の態勢へ。

 だがそれはフェイク。


 思惑通り裏拳への防御姿勢をとったクレットを見て跳ぶ。力任せに跳ぶ。


 きっとクレットにはオレが突然消えたように見えただろう。


 拳を重ね、ハンマーを作る。

 そのまま重力と鉄甲の硬さで威力が何乗にもなったハンマーを振り落とす!


 ――そこに、明確な殺意を込めて。





 ――拳は空を切った。


「……は?」


 思わず間抜けな声が出る。


 バカな、反応できる筈がない。タイミングもフェイントも完璧だった。


 なのに、なのに何で、何でオレの後ろにクレットはいるんだ?


「褒めといてやるよヒロ君、おそらく君はこの世界では最強の身体能力を持っている」


 後ろを振り返る。クレットは朱い剣ではなく、黄金に光る蒼い宝石が埋め込まれた剣を持っていた。


「だから……それに敬意を称し、俺の本気の一角を見せてやろう」


 黄金の剣の輝きが増す。


「喰らえ、始祖聖剣エクスカリバー


 次の瞬間、オレは巨大な光に呑み込まれた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ