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創世の試合前

「まいったな……」


 早朝の森の中で、1人ごちる。


「待ち合わせの時間決めてなかった……」


 それに場所だって東の森ってだけしか伝えてないし、困った困った。


 しゃーない、アイを使うか。


『聞こえるか? アイ』


 念話で話す。細かく言うと俺とアイを繋ぐ念話のラインを創って話す。


『ニャー』

『よしアイ、もう勇者御一行は起きてるか?』

『ニャン』

『そっか……ヒロ君だけか……』

『ニャフゥン……』

『ん? どうした喘ぎ声なんて出して』

『ニャンニャン』

『そっか、ヒロ君はテクニシャンなのか』

『ニャン』

『双子が起きてきた? じゃあ双子のどっちかを人型の状態で拉致してきてくれ、勿論人型になる姿は見られるなよ?』

『ニャン!』


 念話が切れる。


 さてと、森の外で待ってますか。
















「やっと来たか」


 アイが金髪ツインテイルの方の姫様を降ろすのを横目に見ながら言う。


 姫様若干涙目だ、悪いことしたかな。


 うわっ、ヒロ君メッチャ睨んでるし、怖えーよ。


「そう怖い顔すんなよ、異世界の勇者」


 怖いので愛想笑いしながら前に進む。


 勿論上手く笑えてる自信は無いが。


 ヒロ君も前に出てくる。


 うーん……表情が固いねぇ……もっとフレンドリーに接したいんだが……そうだ。


「そうだな、まずはお互い自己紹介と行こうか」


 お互いを知ることで多少は警戒が解けるかもしれんしな。


 適度な位置で立ち止まる。お互いの攻撃射程の少し手前。


「俺の名前はクレット、職業は新米旅人だ」


 ちなみに旅人になったのは今この瞬間だ。


「新米?」

「今日決めたからな」


 厳密には今だけどな。


 あと何故レイトじゃないかっていうと、理由は二つある。

 一つは保険、王様に露見するとメンドイ。

 もう一つはレイトって反対から読むとトイレだからだ。

 それだけと言えばそれだけだが、何か気づいたら嫌になった。


「オレはヒロ、ヒロ・アオイ、言っとくが勇者じゃないぞ、ただのしがない新米旅人だ」

「奇遇だな」

「ああ」


 ヒロ・アオイ……日本人だろうから青井宏? 青井浩? 蒼井浩? 蒼井弘? まあ何でもいいか。


 とにかく本題に入ろう。


「なあヒロ君、勝負しないか?」


 勿論試合だけど。


「お前がどれほどのものか見たい、ちなみにお前に拒否権は無いからな」


 拒否しても攻撃してやるし。


 ポケットに手を突っ込み、如何にもそこから取り出したかのように朱色の双剣を創り出す。


「武器はいるか? 貸すくらいなら出来るが」

「あ、じゃあ鉄甲くれ」

「あつかましい奴だな、普通そこは遠慮するだろ」

「刀相手に素手で闘えるはずねーだろ」


 そりゃそうか、俺はポケットから取り出すように演出しながら鉄甲を創り出す。


 モデルは某狩りゲームの暁丸【皇】の腕装備、これをヒロ君に投げ渡す。


「いい鉄甲だな」


 ヒロ君は鉄甲を填めながら言った。


 てかあれ? 地球から来たならこの暁丸【皇】になんらかの反応を示すと思ったんだがな……。


「だろ? とある巨大龍から剥ぎ取った素材から出来たものだからな」


 ここまで言えばなんらかの反応を示すと思ったが、ヒロ君はほぅっと感嘆の息を吐くだけだった。


 もしかしたらモンハンやったことないのかな? 珍しい。


「けどまあこの刀も同じ素材だから互角だ」


 双焔を軽く振る。


 やはり何の反応も無い。


「さて、そろそろ行くぞ?」

「おう」


 刀を構える。右手を上段に、左手を中段に、左足を相手に向ける。


 試合、開始!

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