心の惑星
まるい心は
傷もなく対称で
尖らずに穏やかだ
太陽のような唯一の焦点を中心に
静かに回るぶれない円軌道
それは安定という名の孤独かもしれない
ひしゃげた心は
近づきすぎて熱くなり
離れすぎて冷たくなる
想いをもう一つの焦点として
言葉を歪める楕円軌道
それでも周る現実を描く心かもしれない
二つの心が
弾き合ってみては
リズミカルに緩めてみたり
互いを中心にして踊る
連星の描く ダンスの軌道
重力でなく真心で結ばれているのかもしれない
お読みいただきありがとうございます。
注釈
(1) 太陽系の楕円軌道では、二つの焦点のうち一つがほぼ太陽の位置に対応します。もう一つの焦点は、惑星が軌道運動を始めたときの位置と速度によって決まります。つまり、軌道のかたちは惑星側の初期条件に依存しており、それを「惑星の想い」として詩的に表現しました。
(2) 地球と太陽のような惑星系でも、厳密には両者が互いの重心を周回しています。ただし、太陽の質量が圧倒的に大きいため、太陽はほとんど動かないように見えます。
(3) 恒星には、単独で存在するもの(太陽のような恒星)よりも、連星系として存在するものの方が多いとされる場合があります。特に中質量以上の恒星では、星形成の過程で複数の星が同時に生まれやすく、連星になる確率が高いと考えられています。一方で、宇宙に最も多く存在する低質量星(赤色矮星など)は単独星であることが多く、全体としては単独星が多数派である可能性もあります。