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エピローグ
産まれて初めて誰かをおんぶした。
その小さな身体は冷たく、首元にかかるわずかな吐息が無ければ生きているかも分からない。
修司はとにかく急いだ。早くこの子を暖かいところへ。
修司はとにかく悔やんだ。なぜ、自分はもっと早くに動かなかったのだろう。
修司はとにかく憎んだ。あいつらさえいなければ、この子がこんな目に遭うことは無かったのに。
そして修司は決意した。
この子を護ろう。自分とこの子を護っていこう。たとえ、誰を謀り傷つけることになっても。世間に背を向けることになっても。
寒椿が、修司の後を追うように落ちていった。