はじまり
朝、教室でその女子高生を待ち伏せたが現れなかった。
何回もインスタのアドレスにメールしたが返信なしだった。
クラスのラインから連絡するとやっと返信が。
放課後、非常階段に1人で来いと。
他の子に見られたくないと。
「今日は記念すべきオカルト倶楽部の第一回なのに!
何ケチつけてくれんのよ!
仕方ない。2人も呼ぼう。」夏希はサキとヒロに知らせる。「1人で来いとか、どの立場でモノ言ってんだ!
全員で問い詰めてやる!」これが夏希の発想だ。アルバイターとしてトラブルに巻き込まれない極意かもしれない。
「内緒とか1人とか」言う奴にロクな人間いない…
「なんか悪い。
本当に容姿なんか災いの元だよね。」楊世がため息をつく。嫌味がないのが凄い。
「ほんとアイドルなりたいとか俳優とか目指さない人以外には、無用の長物かもね。
私なんか全くそんな経験ないもん!」心底自慢したい。
それくらい気持ち悪い。
「おい、第一回から怪しいな、オカルト倶楽部」ヒロは何だか楽しそうだ。
「大丈夫?あの子、かなり遊んでると有名だよ。
オヤジ転がし自慢してるみたいだし。」サキは不安そうだ。
滅多に使われない非常階段へ。
新設校だが、ここは併設の大学院との境い目なので
ほとんど使われないのだ。
大学院は極端に人の出入りが少ないし、高校の方から窓に人影見るのも珍しいくらいだ。
落ち葉やゴミがそのまま放置されてる。
どれくらい人の出入りが少ないか分かる。
階段を登っていく。
「なんか上に人が居る気配無くない?」サキが見上げながら言う。
確かに人が居ると物音と、言うか気配がするものだ。
昨日寄った大島てるの、事故物件の方がまだ気配があった。
5階建ての4階部分まで来たが、全く気配がない。
先頭はなぜかヒロが買って出てくれた。
「明るい内は任せてくれ。夜は夏希な!」そういう担当らしい。
踊り場手前でヒロが止まった。
「あ〜っ、とうとう…見たな。」ヒロが呟く。
その次の楊世も「あっ」と言ったまま凍りついてる。
「2人共どうしたのよ?」夏希は2人を乗り越えて前に出た。
インスタの女の子が制服で倒れている。
顔はあっち側向いてるので分からない。
が、首がドス赤く鬱血していた。
「これ、死んでるよな…絶対。」ヒロが指差して夏希に言う。
「うん、とうとう私達本物見たみたい…サキ?」
1番後のサキに声を掛ける。
「アンタは見ない方が良いよ。警察に連絡してくれる?」夏希がサキにお願いした。
「先生には?」楊世が聞く。
「これは先生方の手に余るよ。警察来たら先生も来るから。私達はジッとしてよう。
それより周りに何かモノ落ちてない?
足跡とか?
できる限り携帯で現場写して!」
4人は警察来るまで写真を撮りまくった。