ブランドバッグ
自分だけ参考書が決まらず凹んだが、買い物したりご飯食べたりできたし皆で記念写真も撮った。
そして、帰り道は付近の事故物件を大島てるで検索しながら皆で巡礼した。
ヒロと昔は隣町まで口裂け女が佇むと言う電信柱を探しに行ったりしてたなあ〜とか思い出に浸る。
「ごめん、2人共降りてきてくれる?」父の耕三とデートに行ってたはずの月子さんが2階の2人に階下から声を掛けた。
「どうしたんですか?」楊世と顔を見合わせながら居間に降りた。
「今、帰ってきたら玄関にこの紙袋があったの。
あなた達帰った時はあった?」ご大層な紙袋だ。
開けると高価そうな斜めがけのバッグが出てきた。
メンズものだ。
「こんなの無かったよ!てか、気持ち悪いよ!
交番に届けたら?」夏希も楊世も引く。
「それが、こんな手紙付いてたのよ…」そこにはインスタグラムのアドレス書かれたメモと「楊世君に似合うと思うよ。」とメッセージが。
「え〜っ、クラスにまだ親しい子いないよ、僕。
誰だよ?まず、なんでモノくれるの?
訳分からないよ!」楊世が首を振る。
「そうよね。お母さんは、昔お父さんにコレされた事あるからゾッとしたわ。」月子さんは、元の旦那さんかと怯えていたようだ。
アドレスを検索すると、
「あっ、この子同じクラスの…何だっけ?
まだ名前は知らないや。」どうも同じクラスの女の子らしい。
「なんで家知ってるんだろうね?なんか恐いね…」夏希はそっちが恐い。
宅配便ではないので、実際に家に来てドアノブに掛けているのだ。
楊世はグーグ〇検索でそれが30万するものだとすぐ調べた。
「やばい子だね。自分で買った訳じゃないだろうし。
誰に買わせたんだ?」父の耕三が危ぶんでいる。
「インスタで明日学校で返すと連絡しといた方が良いよ。」父に言われて楊世が、すぐメールを送る。
とすぐに返信が来た。
「メンズだから自分使えないし困るとか言ってる…」楊世がオロオロする。
「ダメよ!押し負けたら!お母さんは、ブランドバッグや花でどんどん追い込まれて根負けして結婚してしまったし!」月子さんが楊世に必死で忠告してる。
直接だと断られるから、実家にどんどん送りつけられたらしい。
月子さんの実家は銀座で割烹料理屋で元旦那は上客だから親も断れなかったのだ。こうやって渡す気なのか?
卑怯だな…
飲み屋で飲み物オーダーしといて、女の子が運んで来たら
「君用だよ。飲みな。」って飲ませようとするオヤジみたいだ。
「『知るか!ボケ!迷惑だ!』と返信しときな!」夏希が言った。
「月子さん、楊世くんだけだと心配なんで、私が返すの付き添いますよ!任せて下さい!」夏希が胸を叩いた。
せっかく明日はオカルト倶楽部最初の活動日だと言うのに…
夏希はブツブツ言いながら、そのオヤジ女子のインスタを見た。
高校生なのになぜか乾杯ばっかりしてるし、オフショル腹出しだし、金太郎かい?
顔はすげぇ美人だ。
そう言えば、サキが「うちの中から上の顔の子は港区女子予備軍らしい。」とか言ってた。
隣が港区だから先輩達から美人の子はオヤジ飲み会に誘われるらしい。
女子大生なるとまず入学祝いとか言って100万くらいカバンを買ってくれるらしい。
そんなこんなで金銭感覚が18歳で狂うみたいだ。
「この子もそれかなあ〜?
周りに変な大人居るとこうなっちゃうのか?」
明日はバシッと突っ返すしかない!
住所知ってたら親と住んでる家に直接返したい!
が、今は昔みたいに住所分からない。
学校に言いつけたいが、オカルト倶楽部のメンバーにケチが付くのがイヤだ。
「私が言っちゃる。」夏希はすっかり戦闘モードに入った。