女子高生
父、耕三と月子さんにもキツくキツく怒られた。
しかし、月子さんは楊世が関わっていたので犯人が見つかってホッとしたようだ。
夏希的には、危ない橋を渡ったが、まあ同好会の面目は立った!と自負している。
そして、あんなに焦燥感を感じていた空洞が何か満たされて来ている気がする。
今夜はまた夕飯は2人だ。
月子さんが店を閉めるまで店内の酔客に目を光らせるつもりだろう、耕三は。
「今日のお味噌汁も美味しいよ。」夏希はなぜか緊張している。
なぜかこの頃は2人だけの留守番がドキドキするのだ。
「今夜はお吸い物なんだけど…まあ、完食してるから美味しかったんだよね。おかわり要る?」楊世が夏希の方に手を伸ばす。
「わあ~っ!」夏希が後ずさる。
部屋に貼ってたレオンのポスターが手を前に差し出すポーズだったのだが、それソックリに見えたのだ。
「なに?どうしたの?この頃おかしくない?」楊世がいぶかしそうに夏希を見る。
ダメなのだ。
あの「大丈夫?夏希」の声と抱きしめられた身体の感触がよみがえってパニクるのだ。
顔は女の子みたいに整って綺麗だけど身体は細身に見えて違う。
手も全然大きくて指が長くて…エロい。
「なんで先に向かって細くならないの?」
節がしっかりしてて均等な太さで…しっかり物を掴むのに適した指先なのだ。
この手で抱かれたのかあ〜
と想像するだけでお腹がムズムズする。
レオンのポスターやアクスタに囲まれてるだけで過呼吸気味にはなったが、お腹はムズムズしなかった。
「刺激的過ぎるよ…お留守番が…」しばらく空洞を感じるヒマは無さそうだ。
あの日、門脇光に呼び出されて来栖舞はイライラしながら
渡り廊下を渡って大学の5階まで階段を登った。
「もう2度と会わないし連絡しないから最後に顔が見たい。
30万はもうチャラで良いからと。」
肝心の楊世とせっかくインスタが繋がったが、返す返すとばかり言われる。
知り合いのホストより数倍顔がいい!
まあ、2人だけで会えれば落とす自信はある。
教室では全く2人きりになれないのだ!
「せっかく近場の金づるなるかと思ったら、院生って金無いんだもん。ダメじゃん。勝どきのリーマンに乗り換えよう。」
風通しなのか今日は、非常階段への扉が開いている。
「この頃、暖かくなったもんね〜またすぐ梅雨で髪が大変だけど。」
来栖舞は2人で撮影会したり手繋ぎとキスまでは許してる教室へ入った。