空洞に
「さあ、今日は冒険したしマックもやっと来れたし
後は勉強だね。」皆でそろそろ帰ろうと勝どき方面へ出れるエスカレーターに乗った。
2列あるので別れて乗った。
1列にはヒロが乗り次にサキが。もう1列に楊世が乗り夏希が乗ろうとした時、思いっきり背中を推された。
「キャアアアアアーーーッ!!!」サキが悲鳴を上げる。
声に振り返った楊世の上に夏希が落ちていく。
時がスローモーションで流れるようにゆっくりに感じた。
楊世は3段くらい落ちながらも夏希を支えてくれた。
「大丈夫?夏希?」
急に楊世の声が身体の中に響く。
『エッ、なんで?どうして?』夏希は驚く。
「ごめんネ!急に誰かに背中押されたの!」身体を離そうとしたが、そのまま降りるまで楊世がしっかり抱いていてくれた。
心配そうに先に降りた2人が待っていてくれた。
「メガネの中肉中背来たよ!やっぱり!」サキが言う。
ヒロとサキは逃げて行く男の顔をしっかり見たらしい。
「あっちは、夏希に写真撮られて顔見られたと思ってんだよ!
次はアンタが狙われてるんだよ!」サキが興奮して話す。
楊世が夏希の手を握った。
『エッ、エッエエエ〜』そのまま月島署へ引っ張って行かれた。
月島署で長谷川さんにエラく怒られた。
「相手は人殺してるんだよ!何考えてるんだ!」4人並べて怒られたが、夏希が1番怒られた。
「オカルト倶楽部起こしたので自分で犯人探したかっです〜」と告白してより怒られた。
来栖舞のラインはケルベロスと言うアプリで盗聴されて遠隔操作できる事。
インスタグラムで数十人の男性がブロックされている事が分かっていた。
「だからインスタにいくら送っても分からなかったんだ。」
夏希が納得した。
「あの高校は首都大でも、あるからね。
大学院の方はほとんど人が居なかったので盲点だった。
しかし、どうやって2人は知り合ったんだろう?」
長谷川が聞いてきたが、4人も答えられなかった。
大学側とは一切関わりが無いのだ。
「しかし、難しいな。法律を学んでいるのなら、もう弁護士を準備始めてるだろうし。
黙秘権を行使されたら手も足も出ない。
まずは君への暴行で、引っ張って来るしかないな。
だが、それではすぐ釈放になる。
凶器があっても彼がやった証拠は無い。
これは、長い戦いになるな…」
月島署はにわかに慌ただしくなった。
逮捕されたのは、門脇光。
首都大の法科大学院の3年である。コロナ期で就職活動がうまく行かず私立大学の経済学部から法科大学院へ入った。
法学部出身でないものは3年のコースになる。
3年間の学費は公立だと250万、私立なら400万になる。
それが大学の学費に上乗せになるのだ。
門脇は割高巨大日〇大学なので600万+250万である。
そして年齢は25歳になっていた。
司法試験は最難関試験だ。
昭和は10年掛けて受験した者がいた試験だ。
来栖舞との馴れ初めは素直に自供した。
インスタグラムで併設校の高校生である事がチャットで分かったので会うことに。
大学は人が殆どいないのでいくらでも会える。
で、彼女がお金に困っていると。
親の手術で30万がどうしても要ると。
もういい年なので学費の振り込みは親から任されていた。
3年の後期分30万がちょうど手元にあった。
学校からの督促日までには返す約束で貸したのだと。
門脇光としては付き合っていたと証言しているが、
ラインで男とやりとりしてるのを嫉妬してアプリで盗聴操作できるようにしたらしい。
それに怒った来栖舞がインスタをブロックした。
督促日も金は戻らず、彼は法科大学院中退となってしまった。
つまり司法試験を受ける資格すら失ったのだ。
そして、30万は転校生の関心買いたいためのプレゼント代だった事を知る。
殺人容疑に関しては全面否認した。
これから状況証拠を積み上げて行くしかない。