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部活

「あのさ、昨日刑事が家来たんだよね。」夏希がオカルト倶楽部で話す。

「え〜っ、このごろ報道少なくなったなとは思ってたけど。」サキが驚く。

「やっぱり俺らが怪しいとか?」ヒロはビビる。

「もう1回、携帯の写メ皆でじっくり見ようよ!

見落してる事があるかも?」楊世が皆に声掛けする。

撮りすぎて飛ばしたり消したりしたのもある。

もう一度皆でじっくり見る。

まとめてアルバムにしてるのを1枚づつ丹念に見る。

「これさ、もしかしたら人かな?」サキが自分越しにある大学院側の窓の反射下にワイシャツみたいなものが見えると言う。

「私が撮ったのだ。皆が遺体側の方ばかり写メってるから後の方向いて撮ったの。サキにピントが合って

後ボヤケて分かんないね。」夏希が思い出しながら言う。

「窓の上は空が反射してるけど、下に…4階かな?」サキが拡大して凝らして見てる。

「僕のピンボケ直せるから加工してみるよ。」楊世が修正してくれる。

「どう?こんな感じ」画面を見せて貰う。

「あっ、本当だ!これ絶対人だよ!顔が反射で分からないから気づかなかった!

こっち見てるよ!絶対!」ヒロが驚く。

「大学院なんて人見かけた事ないもんね〜廊下なんか歩いてる人見たことない。

これ、絶対レアだわ。」サキも驚く。

年に数回教授が授業する時、高校生も呼んでくれる。

しかし、ほとんど人気のない大学院だ。

「都立大学のサテライト校だよね。

何のためにあるんだろね?」夏希も3年間疑問だった。


「あのさ…帰りにちょっと覗いてみようか?」夏希が提案する。

「え〜何か高校生が間違って入らないように入り口にポール立ってるじゃん!良いの?」サキが心配する。

「え〜面白そう!

1人だと恐いけど、4人なら行ってみたいな。」

実は、大学事務局は高校とまとめて同じ入り口にあるので特に入るのに人の視線は無いのだ。

ただ長い通路をまっすぐ歩いて行けば、階段を登れば写真の人物が居た辺りに行けるのだ。


「やっぱり人気ないよね〜全く会わないよ!

誰もいないんじゃない?」小声でサキが言う。

と長い通路を渡り終わった所に図書室のようなものがあった。

中には数人人が勉強していた。

「居たよ〜でも、皆真剣に勉強してるよ。」

空調の音と鉛筆の音しかしない。

皆、すごい集中して勉強しているようだ。

並んでる本は、皆法律関係のものばかりだ。

「邪魔なるよ。上、行こう?」そっと階段を登る。

2階上がると問題の4階だ。

建物の中央辺りまで廊下を歩く。

「やっぱり、ココから俺らを見てたんだ!

ほら、よく見える!」ヒロが指さす方に非常階段が見える。

4階から5階へ向かう踊り場に遺体はあった。

だから、ココから見ると踊り場手前の人間を背中から見れる。

踊り場の人間からは、背中の方なので気がいかない。

ベストポジションなのだ。

人間斜め上は見ても斜め下、それも背面は見ない。

「360°写しといてムダじゃなかったわ!」夏希は自分を起点に360°を10枚くらい撮影してた。

まあほとんどボツだが。

「ここからの非常階段も写しとこうよ。」楊世が言って撮影していた。

「もし、月島署の長谷川さんに話す機会があったら

説明なるし。」初めに撮影した話をしてないから言いにくいが。

まさか、こんなに事件が長引くと思ってなかった。

それも凶器も遺体も携帯も揃っているのに犯人が絞り込めない。

それは、もし容疑者が捕まっても状況証拠だけで裁判が難航する事も表してる。

オカルト倶楽部も月島署に協力しないと犯人に辿り着けない可能性が出てきた。

階段で降りようとした時、階下に長い人影が一瞬見えた。夕暮れなので人影が長くて見えてしまった。

階段を降りる音が響く。

ヒロが追いかけようとしたが、すぐに静かになってしまった。

「多分、図書室の誰かだよね…あそこで勉強してた誰かが私達の後つけてた…」

夏希が言うと一同がうなづいた。

帰りにもう一度、図書室を覗く。

皆、ほとんど白のワイシャツかそれにジャケットだった。そして、中肉中背…

「顔が分からないし、身体や服装も特徴ないと全然だな。」ヒロが長い渡り廊下を歩きながら嘆く。

「でも、あの中に犯人が居ると言う事じゃない?

まあ、裁判大変だろうけど。

もうゴム手は完全に消去されてるだろうし。」夏希が残念そうに言う。

「そこの運河にポイとかする奴なら、可能性あるけどなあ〜」学校前には隅田川に入る運河がある。

「アンタが犯人ならね〜」サキが軽口を叩く。

何食わぬ顔で「高校生立ち入り禁止」のポールをすり抜けて下駄箱から玄関ホールへ。

高校の方の事務室に近寄る。

「あの〜ここの大学院って、何入ってるんですか〜?

卒業するまで謎のままになりそうなんで♪」

笑いながら夏希が声を掛ける。

「え〜とね〜、都立大学の〜法科大学院?って事になってるね。」調べてくれた職員さんも良く知らないようだ。

「最近出来たんだよ。なんか、流行りで。

でも司法試験も毎年変更点が多くて学生さんも振り回されて大変だよ。」上司らしい人が説明してくれたが、

高校生にはそれでもイマイチ分からないままだった。




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